私はもう、死んでいる
投稿遅れて申し訳ありません!
-宿屋 (朝)-
人形三波と部屋から出た統哉は、二人に状況の説明をしていた。
「という訳で、こいつの人形状態を解くのは危険かと思うんだが、どう思う?」
あかねは、真剣な顔で
「私は良いと思う、三波君が裏でその、豚人王? って奴と繋がってたのなら、勝手に連絡されて大変になるのも嫌だし。豚人王に気付かれる前にやっちゃった方が楽だしね」
「風音はどう思う?」
「······」
反応が無いのがおかしいと思い、訝しむ統哉と心配して声をかけるあかね。
「どうしたの風音?」
「ふふふふふ、アーッハハハハハ、まさか三波が失敗するなんてね、あなたの力を舐めていたようね。認識を改めさせて貰うわ」
「お前も豚人王の手先か?」
風音の豹変にも動じずに言う統哉。
「ええ、でも私は三波とは違って体を借りてるだけよ」
「っまさか!」
「ええ、もう菅原風音の精神は死んでるわよ。ずーっと一緒にいたのに気付かないんですもの。面白くてしょうがなかったわよ」
三日月のような口で笑う風音を乗っ取ったなにか。
「お前ら、あんまり俺を怒らせるなよ。手が出ちゃうだろ?」
不敵に笑う統哉、どっちも悪役にしか見えない為、二人があかねを狙うような構図になってしまった。
「ふふふ、あんまり私を舐めないで欲しいわね。私だって三波より強いのよ?」
「へぇ! そりゃぁ楽しみだな」
「まさか、私とやり合おうっての?」
「やる気ないのか? 俺はやる気満々何だが?」
「ここは引かせて貰うわ」
そう言うと、風音の姿がかききえた。すると、統哉はつまらなそうに
「ちぇ、逃げられたか」
と言った。あかねに声をかけようとすると、あかねは膝から崩れ落ちた。
「おい!? 大丈夫か!? あかね!!」
「うっ、ひぐっ、うっううぅ」
その日、あかねは泣いた。朝食も昼食も食べずに泣きじゃくった。その間、統哉は慈母のように慰め、頭を撫でたりした。
その甲斐あって、夕方になってやっと立ち直った。
「ごめんね統哉君、迷惑かけちゃって」
「いや、いいよ、風音のこと、相当ショックだったんだろ。しょうがないって」
「うん、ありがとう、統哉君」
そう言うと、二人は微笑み合った。
「立ち直ったばかりで悪いんだけど、今後、どうするか話して置きたいんだ」
「わかった」
「これから、豚人王のところに殴り込みに行こうと思うんだけど、あかねのレベルは百三だ。これでは三波にも勝てない。そこで! あかねのレベルを上げたいと思います! 二日で四百くらいまで!」
「え? 今さらっととんでもない事が聞こえたような気が...二日で四百くらいまで上げる? 魔王でも倒すの?」
「いいえ! そんな事はしなくてオーケー! 熊狩りに行きます!」
「え? 熊狩りでレベル四百まで上げるの? というか上がるの?」
「え? 上がるよ?」
「どうしてそんなに上がるの?」
「それはね、俺のユニークスキル! 経験値増加と必要経験値低下があるからです。因みにこのスキルの効果はパーティーメンバーにも適応されます!」
「で、そのスキルの効果はどのくらいあるの?」
「効果は合計で二百倍!」
「に、二百倍!? そんなに上がるの!? 確かにそれなら出来るかも!」
「それでは明日から頑張ろう!」
「おー!!」
その頃、お人形三波は部屋の隅に体育座りで鎮座していた。
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