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裏切り者には容赦しねぇ!!!

 -宿屋の外-


 統哉が眠ったのを確認した三波は、こっそり部屋を抜け出して宿の外に出ていた。周囲を見回し、誰もいないと思い、耳に何かをつけた。


 「定時連絡、こちらサード。 本日、ターゲットに接触成功、行動を共にしております。」


 「強さの秘訣は聞き出せたのか?」


 「いえ、しかしスキルのせいだと話しており、おそらくユニークスキルの類いではないかと」


 三波の連絡相手の男は、不愉快そうな顔をすると


 「強さの秘訣はもうよい、ユニークスキルではあのお(・・・・)の領分だ」


 「はっ、ではこれで」


 「待て、奴をあのお方にお渡しする、死んでもよい、連れてくるのだ」


 「仰せのままに、豚人王様」


 耳につけた物を外し、部屋に戻ろうと振り返ると、そこには統哉がいた。三波は極力平静を装って


 「どうした統哉、お前も散歩か?」


 と言ってみるが、統哉は三波を睨み付けたまま動かない。すると統哉がゆっくりと口を開いた。


 「お前、豚人王とか言う奴と何か話してたな、何が目的だ?」


 「っち、もう気付いたか。言わなくてもわかるだろ? お前だよ」


 「俺の何が目的だって聞いてるんだよ」


 底冷えするような声で言う統哉、対して三波は気にせず続ける


 「それは言えないな」


 「ならば無理矢理にでも聞き出すだけだ」


 そう言って指をバキバキ鳴らす統哉、


 「やれるもんならやってみろよ」


 挑発的に構える三波、


 次の瞬間、統哉の体がぶれた、三波が後ろに回し蹴りをいれる。そこには右腕で蹴りを受け止めた統哉、


 「ほーお、この動きを捉えるか」


 「レベル七百ってのはそんなもんか?」


 「まさか、これは本気でやらんと駄目か?」


 と言うと三波の目の前に膝が迫る、間一髪、体を反らして回避する。体を戻すとそこに統哉はいない。すると、様々な方向から拳がとんでくる、それを流してやり過ごそうとするが徐々に速度が上がる拳についていけなくなってくる、ついに脇腹に一発喰らうと吹き飛ぶ三波。


 「お前、本当にレベル百か?」


 「レベルは百だ、でも、今の戦闘能力は四百を越えている」


 「何っ!!?」


 言うが早いか急加速して統哉に肉薄する三波、腰に差していた短剣で統哉の左腕を突き刺す。


 「ぐっ...」


 「話は終わりだ、もう終わりにしよう」


 「ああ、そうだな」


 「何っ!?」


 三波が驚くのにも無理はない、統哉の左腕が治っているのだ、短剣など刺さらなかったと言わんばかりに、


 「馬鹿な!? 確かに短剣を刺した筈だ!!」


 「ああ、刺さったぜ、もう治したけどな」


 「あり得ない...まさか、治癒魔法でも使えない限り...いや、不可能だ、あんな傷、一瞬で治せる筈がない!! レベル九の聖属性魔法でも一分はかかる傷だぞ!!」


 すごい剣幕で怒鳴りつける三波に、飄々と声をかける


 「俺は聖属性魔法じゃなくて闇属性魔法を使って()したからな」


 「ま、まさか、お前時間を...?」


 「そう、俺の左腕の時間を、レベル九闇属性魔法«暗黒回帰(ブラックアウト)» で巻き戻したのさ。それじゃ、種明かしも済んだことだし、お前らの目的をきかせて貰おうかな」


 「ひっ、や、止めてくれ」


 「は? ざけんなよ? 俺がもしそんな事言ってたら止めたのか? 止めないよなぁ? なら俺も止めない

«悪夢(ナイトメア)»」


 レベル八闇属性魔法、«悪夢(ナイトメア)» 対象を催眠状態にする魔法で、いろいろ応用が利く。今回は自白させる為に使った。


 「お前らが俺を狙う目的は何だ?」


 「はい、私達は、邪神王様に、強力なユニークスキルを持った者を捧げる事、豚人王様が邪神になるための生け贄となりうる人間を探す事です」


 「邪神王はどこにいる?」


 「わかりません」


 「豚人王はどこにいる?」


 「ここから十二時間程北へ走ったところに豚人王様が治める国があります。」


 「よし、次の目的地は暫定で豚人王の国だな、宿に帰るぞ」


 「はい」


 従順な人形と化した三波を連れて宿に戻る統哉であった。どう伝えたものか考えながら。

 


 

お読み下さりありがとうございます。

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