え、俺TUEEEじゃん
城から追い出された統哉は、途方に暮れる間もなく、生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされたのだった。
「先ずは食料調達しないとなぁ。」
(城下町の探索は諦めるか、俺を追い出した国だしな! とりあえず森で食べられそうな物でも探すか)
実は、この国の東には「龍の森」と呼ばれる広大な森林がある。だが、ここに出現するモンスターは高レベルの為、中堅以上の実力者にならないと、生きて帰って来れないと言われている、武器も防具も着けていないレベル1の一般人が探索に行く場所ではない。
もちろん、無知な統哉は知らなかったが。
統哉が、「あんな国滅べば良いのに」とか「あんな奴が王女か、この国ヤベェな」とか考えている内に、龍の森にたどり着いた統哉、その辺の草むらから良さげな物を探して森の奥に入って行った。すると、そこそこにきれいな小川が流れていたので、そこに寝床を作ることにした、拾い集めた草を敷いただけのドラ * エで言う「藁のベッド」的な物を作った。
その日は、拾った木の実を食べる方法を探すことにした。ドングリ的な木の実、松ぼっくりの開く前みたいな形の木の実、何かの種、先ずはそれぞれ丸かじりしてみた。
「無理ではないからこれでしばらく食い繋ぐ!」
普通食べない木の実シリーズで飢える心配がなくなった統哉は、寝た。
次の日、同じ木の実を探して、食べて、寝る。
さらに次の日、同じ木の実を探して、食べて、寝る。
またその次の日、同じ木の実を探して、食べて、寝る。
この繰り返しで1ヶ月程が過ぎた頃、モンスターに出会った、
「っ熊!?」
統哉が出会ったのはフラッシュベア、その名の通り、爪から激しい光を放つ熊である。しかし、この森に出現するモンスターの中では低レベルに分類される、その上うまい、運気ステータスの高さは伊達じゃない。まぁレベル1では勝てないのが事実だが。
「ガァァァァ!!!!!」
フラッシュベアはこちらを見ると、突進してきた。そこは、流石の運気、フラッシュベアが走る振動で木から落ちてきた尖った木の実が目に刺さり、悶えるフラッシュベア。そこを逃すまいと観察眼を発動し、見つけた弱点、腹に爪先と拳を叩き込むが、フラッシュベアも負けじと腕を振り抜く、しかし片目が潰れた為、距離感が掴めず外す。その隙に懐に飛び込み、体重を乗せた拳で鳩尾に一撃。綺麗に決まった一撃でフラッシュベアは気を失った。
「オラァ! どうだ!」
気を失っている内に首に太い木の枝を刺しトドメを刺した、
「こんなんで良いだろ、って何か目眩がする······」
目が覚めると、もう朝だった。
「何だったんだあれは」
そう思い木の実をかじった。
そんな生活を続けること二年、統也は二年ぶりにステータスを見た。すると、
東雲統哉 十六歳
称号 サバイバラー
職業 魔獣使いLv657
HP 18630
MP 9640
攻撃力 10450
防御力 8560
魔力 6430
抵抗 8630
俊敏 19630
スキル、魔法
拳闘術Lv10
闇属性魔法Lv5
魔物使役Lv7
観察眼Lv10
投擲術Lv8
限界突破Lv7
«ユニーク»
経験値増加
必要経験値低下
「って、強くなりすぎだろ! ユニークの経験値増加と必要経験値低下って効果めちゃくちゃ高ぇじゃねぇか!!」
統哉は増えても二倍、減っても半減だと思っていたのだが、実は、経験値増加は、手に入る経験値が十倍に、必要経験値低下は、レベルアップに必要な経験値が二十分の一になるチート紛いの超強力スキルだったのだ。スキルを使用していない為、スキルレベルがあまり上がっていないが、もし使っていたら全てのスキルがレベル10になっていたであろうレベルである。統哉、ドンマイ!
「今、あいつらレベルどんくらいになったんだろう?」
今、勇者のレベルは百程度の為レベル一の時には三倍程あった差は覆され、統哉が勇者の二倍程度のステータスを持つようになった。この頃、統哉は考えもしなかった、もうすぐ勇者達と再会する事になるなんて。