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ダンジョンメイキング~吸血鬼と作るダンジョン王国〜  作者: 数独好き
第一章 ダンジョンマスターと吸血鬼
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第五話 生活環境を整えよう。


「取りあえず飯にするか」

「そうね」


 たった10pt。されど10ptだ。0と違って10ptあれば飯にありつくことが出来る。


「取りあえず一人5ptだ。文句は?」

「無いわ」


 ダンジョンコアに触れて食べたいものを探していく。一々音声で聞くのも面倒なので、普段は白いプレートのようなものを浮かび上げさせて操作できるようにした。それでも操作できるのは俺だけみたいだからノワールは俺の後ろか横から覗き込むといった形になっている。


「ねえ、このハンバーグってどんな料理なの?」

「んー肉をすり潰して丸めて焼いた料理だな」

「ならこのカレーは?」

「色々具材を入れた鍋を香辛料で味付けた辛いスープ?」

「何で疑問形なのよ?」

「いや、どんな料理かっての知識はあるけど食べた記憶が無いから上手く説明できないんだよ。大体こんな料理ってのは分かるんだが実際の味は分からないだよ」


 実際に同じ立場の人にしか理解できないだろうな。知識ではある(しっている)のだが実感がない(わからない)この感覚は


「ふーん。なら私はこのハンバーグとパンにするわ」

「じゃあ俺はカレーライスだな」


 早速ダンジョンコアに言ってDPを消費しハンバーグを用意する。きっちりフォークとナイフまでついててサービスがいい。

 続けてカレーライスも頼む。香辛料の香ばしい香りが食欲を誘う。


「…………」

「どうした?」

「そのカレーライスと言ったわね。匂いはいいけどあまり見た目は良く無いわね」

「そうか? 知識だと子供から大人。大多数に好まれてる料理って出てたんだが?」

「まあ確かに……私が初めて見たから気になるのであってよく食べるのならそこまで気にしないのかしら?」

「まあ気になるなら一口食べてみるか?」

「……マナー違反よ」


 興味はあるようだがマナー違反だと言われ断られた。DPが無いせいでテーブルすら無く床に座って食べてるのだからそこまで気にする必要は無いと思うんだがな。

 まあ無理して食べさせる理由がある訳でも無いので気になるなら今度頼めばいいだろ、と考えて何も言わなかった。


 さて、実食の時間だ。知識で分かるのは所詮知識上の物でしかない。料理の名前、材料、調理方法は分かっていても実感として知っているとは言えないのだ。恐る恐るといった様子スプーンを手に取った。


 一口サイズに掬いゆっくりと口に運ぶ。まず感じたのは辛さだ。だが辛いだけでは無い、溶けだしている肉や野菜の味、更には香辛料の香りも上手く混じり合いとても美味しい。

 ノワールの方を見ると驚愕といった表情でハンバーグを見つめている。その様子を見るに十分に満足いったらしい。


「……まさかダンジョンでのご飯がこんなに美味しいとは」

「ダンジョンのというより日本のと言った方が正しいと思うがな」


 それでも美味しい。これなら他の料理も十分期待できそうだ。ただ一番の理由は空腹なお陰だと思う。聞けばここ数日まともに食べていないらしいのでお腹の減り具合は俺よりも上だろう。

 ゆっくりと噛みしめる様に食事を味わい。雑談をした後は特にやる事も無くなったので、少し早いが今日はもう休むことにしたのだった。




 ダンジョンマスター生活二日目の朝は身体の痛みから始まった。どうにも硬い床で寝たのがいけなかったようだ。


「おはよう。まだ起きないようだったら実力行使も辞さない予定だったわよ」

「お前はほんとに元王女か。それにしてもやっぱ寝具の類は必要だな。身体が痛くてしょうがない」


 お互い軽い皮肉を交わしながらもDPを使って朝食を用意する。今日は節約して朝はパンだけだ。数日まともに食べていないというノワールの為、に昨日は多少贅沢をしたが二人が毎食5pt食べるとすると三食取るだけで合計30pt、ほかに何も無くなってしまう。


「今日は取りあえず生活環境を整えようと思う。朝食で4pt使ったから後は26ptこれを使って何を用意するか決めたいと思う」

「取りあえず夕食分にも4ptは欲しいわね」

「夕食?昼は?」

「昼も食べるの?」


 昼飯は要らないのかと聞いたら逆に食べるのかと聞き返されてしまった。どうもこっちでは二食が普通らしい。王族でも二食が普通って事は食糧事情はあまり良くは無さそうだな、ダンジョンが無限に生産できると知られたら確かに危険だな。まあ、ノワールの国が特に貧しいみたいだが。


「日本では三食が基本らしいから食べるものだと思ってた」

「余裕があるなら食べたいけど、今は我慢すべきでしょうね。私の国は戦時中は殆ど二食になるわね。残った分は出来るだけ戦場に立つ人に回すのよ」

「まあ戦争中は食べる量も普段より増えるらしいから当然なのか?」

「どうでしょうね。食に困るとそれだけで不満が出るからホントは常に三食がいいのでしょうけどね」

「それもそうだな」


 雑談もそこそこに本題に入る。


「取りあえずトイレは必須だろ。後は毛布か?」

「テーブルと椅子も必用でしょ。後は……お風呂と個室かしら?」


 個室ってのは何となく分かる。異性とずっと同じ空間ってのは中々に堪えるだろうしな。男の俺でもそう感じるのだ。女性で、しかも王女であったと言うノワールはもっと辛いだろう。


「お風呂か……確かに欲しいが優先順位としてはそこまで先か?」

「清潔にしないと病気になるわよ」

「それは知ってるが、それでも他に揃えるべきものがあると思うが?」

「現状でどちらかが風邪を引いただけで私たちは致命傷よ。DPで薬を頼むにも治るまで継続的にとなると中々の出費になるわよ」

「確かに……単純な数値だけでなく、安全性や危険性なども考えるべきだな」


 少し考えが足りなかった。数値以外の面も考慮するべきだな。


 その後も詳しく話し合い。


「よし、結論としては直ぐに必要な物が風呂とトイレと毛布。今直ぐに必要という訳ではないが出来れば欲しいものが家具類と個室って事か……夕食の分を除いたら22ptでどこまで出来るかだな」


 取りあえずカタログを開いて必要そうなものを見ていく。


 日用品は他のものよりもDPが低めに設定してあるのだが、それは最低限の物であればという但し書きが付く。ようはある一定以上の生活をしたいのであればDPを貯めろといっているのだろう。

 まあそれでも最低限のものなら簡単に揃える事が出来るから意味でも今の俺達にはありがたい。


 取りあえず10pt使ってトイレを設置し、4pt使って安物の毛布を二枚用意する。後の残りの8ptは直ぐに必要となる小物類を揃えるのに使われた。




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