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ダンジョンメイキング~吸血鬼と作るダンジョン王国〜  作者: 数独好き
第一章 ダンジョンマスターと吸血鬼
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第三十四話 戦争への応手


 慌ただしい日々は続きへステア王国が小さいが街と呼べるような規模にまで発展していった。大規模な農業区を用意したのだが、これが思いのほか上手く行ったのだ。

 最近だと農業や畜産業以外にも細々とした商売をする人も出始めていて、街ではちょっとした競売も起きて居たりする。物が売れるようにお互い工夫を凝らす様子が見て取れるのだ。

 偶にある休日をノワールと一緒に街に出向いたりすると、その度に様子が様変わりしている程だ。


 だがそんな日常も唐突に終わりが来る。忘れてはいけないのはこの世界は戦乱の時代、血を血で争うような戦いが頻繁に起こってる時代と言う事だ。

 ダンジョンの外で戦争の兆しが見え始めたのだ。前回の戦いから約一年、サンドニア王国は再び動き出したのだった。


 地上で戦争の兆しが見え始めたことにより、俺は意見を求める為この国での主要な役目を担っている人全員に収集を掛けた。

 参加者は俺、ノワール、アルテリオ、クリストン、クルト、それに加え今回はフェスカにも参加して貰ってる。今回は内容が内容の為、アンダーコアを経由して今回の会議への参加を求めたのだ。

 その全てが優れた魔法使いである妖精族はダンジョン内での最大戦力である。やや継続戦闘能力に難があり安定した戦力とは言えないのが欠点だが、それを含めて十分すぎる程に強力な戦力である。戦争が起きるとなればその協力の有無はダンジョン内の戦力に直に直結する。


 妖精族は俺が住居を置く街に住んでいる住民とは違い俺に依存してはいない勢力だ。俺が上で妖精族がが下と言う上下関係はあるがその関係は王と臣下と言うよりは雇用関係に近い。一方的な命令は出来ない相手なのだ。

 一応俺は妖精族に友人認定されているらしいので多少無茶な望みでも聞いてくれるかもしれないが、それを過信し利用しようと考えたら、直ぐにこの縁は切れてしまうだろう。だから俺はよっぽどの事が無い限りは持ちつつ持たれつつの関係を維持しようと考えている。


「さて、今日集まって貰ったのは他でもない。サンドニア王国の出兵について意見を求める為だ」


 俺の言葉に真剣な表情をする一同。


「目的は何だと思われますか?」


 俺の言葉に反応し最初に発言をしたのは騎士であるクリストン、戦争に参戦するとなれば真っ先に戦場に立つ事になる以上もっとも真剣みが強い人物である。


「その前にまず俺がサンドニア王国の出兵をしった経緯から話そうと思う。まず俺は外での情勢を知るために使い魔を放っていた。知能が低く簡単な事しか分からない奴だがやらないよりはマシだと考えてだ。

 そしてその使い魔から大量の人が移動しているとの報告がった。その情報を元に調べて行った所、それがサンドニア王国の軍隊だと言う事が分かったんだ。その軍は北から南に向かって南下していた。そこまれが今日までに分かった事だ」


 ここより北にある国などサンドニア王国しか存在しないので、その軍隊はサンドニア王国の軍である事が容易に想像が着く。そして軍隊を出撃させる理由などさほど多くは無い。それこそモンスターの駆除や戦争くらいだろう。

 そしてモンスターの駆除は基本的に人が多く住む街の周囲でしか行われたりはしない。そんな場所にまで遠征するとしたら、それはもう戦争の前触れと言ってもいいだろう。そうなると重要なのはその相手なのだが……


「状況的に考えてサンドニア王国の目的はガンガニア王国だと考えている。エルランド王国を占領したことによって二面作戦が可能になったから、それをしようとでもしているのだろう」


 ガンガニア王国を狙っていると考えたのは単純にサンドニア王国と直接領土が接しているのはその国だけだからだ、エルランド王国を占領した事で一応オスカ連邦と接しているが、占領して一年も経たない現状ではまだ統治が安定していないだろう。サンドニア王国はエルランド王国の首都を落として占領しただけでその支配はまだ全域には及んでいない。村に住んでいる人の中には未だにエルランド王国の人間であると考えている人もいるくらいだ。この世界は情報の速度が遅く辺鄙な村に住んでいる人だと情報を知るがの数年後とかもざらにある。

 そんな彼らに統治する人間が変わったと知らせる為の軍を動かした可能性もあるが、軍隊の進行方向はそう考えるには見当違いの方向に進んでいた。此方を勘違いさせるための擬態の可能性もあるが、既に占領した国の領地を回るのにそんな回りくどい真似をする可能性は低い。


「そしてそれに対して俺達はどう動くべきか、それをこの場で決めたいと考えている。そのために少しでも多くの意見を聞かせて欲しい」


 この言葉をきっかけに様々な意見が飛び交い始めた。主に意見を出すのは俺、ノワール、クルトの三人、残りは決定に従うと言ったスタンスを変えないが、専門的な知識が必要になった時には意見を出してくれるので役にっていない訳では無い。フェスカも戦争に関してそこまで興味があるようには見えないが疑問を率直に口に出すので、それが思わぬ意見となる事もあった。

 議題は尽きない。参戦するのかしないのか、するとしたらどのように? どの程度の戦力で? しないのだとしたら今後の関係は大丈夫なのか? そんな話し合いを続ける事数時間……



「……結論としては情報収集と情報提供に終始すると言う事で構わないか?」


 最終的に出た結論は情報収集、情報提供のみを行うという事だ。現状では俺達は戦力が足りていない。無理すれば加勢して戦果を出すことも不可能では無いが、そうして得られる利益より俺の能力に関する情報を相手に渡すことを避ける事にしたのだ。

 俺の能力に関する情報は文字通り切り札になり得る。この国でも詳細について知っているのは俺以外だとノワール、それと詳しく話した訳では無いが訓練に付き合って貰っている関係でクリストンがそれなりに知っているくらいで後は基本的に秘匿されている。精々が俺が使った能力から推察する事ができるくらいだろうか?

 ダンジョンマスターの代名詞であるモンスターの召喚と街を発展させるうえで必要不可欠であった食料や物資を生み出す力は隠していないが細かい情報については全て機密情報扱いだ。

 俺の能力はこの国の軍事力、生産力、それらに直結している重要な情報だからだ。それをガンガニア王国に恩を売ると言う理由だけで晒すことは避けたい。

 俺が詳しい能力を秘匿している事については全員納得済みだ。情報の重要性を知っているものほど、理解を示してくれているので俺としてもやり易かったりする。

 全員が納得してくれたみたいなので次は実際に動いて貰う人間だが……


「フェスカ、頼めるか?」


 身体が小さく、高位の魔法使いである妖精族は隠密行動にも高い適性を持っている。静かにするのが苦手と言う致命的な欠点があるが、そこは適性がありそうな妖精に任せれば最小限に抑えられる。基本的に似た性質を持つ妖精族にも個性は存在しているのだ。


「んー分かった。でも代わりにDPを頂戴!!」

「了解だ」


 妖精族への依頼は基本的にDPでのやり取りしている。依頼を請け負ってくれたらそれに応じたDPを俺が送るといった形だ。

 そのDPをつかって世界樹のレプリカ付近を次々と改造しているようなのだが、最近だと確認する際少し怖くなってしまうくらいだ。

 偶に逃げ出したモンスターがこっちの街にまで来ているのだが、そのほとんどは城壁に阻まれ特に被害も出ていないので軽く文句を言う程度に収めているが。

 情報収集の方法は俺が召喚したモンスターで定期的に移動経路を把握し伝える事と、大雑把な人数、構成などを伝えれば十分かと考えている。下手に過小評価されて侮られるのは問題だが、力を見せすぎて危険視されるのも困る。その辺の塩梅はかなり難しい。



「さて、もう一方の問題といこうか」


 へステア王国がガンガニア王国への援軍を出せない最たる理由。

 それの説明の為に一枚の地図を取り出す。ただ今までとは書き込まれている情報が色々と違うものだ。

大陸全体が細かく区分され空白地帯も多い、規模の大きなものもあれば小さなものも多い。


「これは大陸全体のダンジョンの分布が描かれた地図だ。お互い詳しい情報は分からず大雑把に規模だけが分かるようになっているらしいな。ここで重要なのはダンジョン同士でも争いが頻繁に起きていると言う事だ」


 ここまでは先ほどの話し合いの途中で概要だけだが話していたので驚くものはない。


「具体的に言うならばダンジョン同士が接触した場合、お互いにその境界を無くすことが可能らしい。俺達が住むダンジョンで言うならば、街からずっと進んだ先にある壁、あれが消失して殺し合うんだ。そういて生き残った方が相手の領土を吸収するとなるといった感じだな」


 この事が分かったのはダンジョンの分布を定期的に確認していたら隣り合っていたダンジョンの片方が急に消失し、もう片方のダンジョンがその領土と同じ分だけ範囲を増した事から知る事がきっかけだ。

 その原因を調べる手目にダンジョンコアに細かく質問を繰り返す事でその結論に達したのだ。ダンジョンの数は大陸内だけでも百を超える数存在し、それぞれが独自に勢力圏を広げている。ダンジョン間の争いと言うのもかなり頻繁に行われている様子でそちらにも警戒も必要となるだろう。


 だが、これで腑に落ちた事も確かだ。ダンジョンマスターは強力だ。この能力を悪意を持って使えば人類の滅亡と言うのもあながち絵空事とは呼べない程にだ。なのに現実としてダンジョンマスターは敵だと認識されつつも、その存在にそれほど危機感を感じてはいなかった。

 それはダンジョンマスター同士の争いが原因だったのだろう。同じ能力を持った者同士が戦えばお互い共に消耗するだろう。それによって表立って目立った行動をするダンジョンマスターが減り、結果的に地上でその危険性が認識されることが無かったのだろう。それが分からないような知能が低いダンジョンマスターなら強力な能力を持っていようが有効に使う事ができないだろうし。


「地図の中に示されたこの場所、俺達が住むダンジョンの隣にあたるこの場所を見て欲しい。

 ここは前までは空白地帯だったのだが最近新しいダンジョンが生まれたみたいだ。俺達に対してどのような対応をしてくるかは分からないが、戦いを仕掛けて来る可能性も十分にあると思って欲しい」


 そしてダンジョンマスター同士の戦いには俺も無関心ではいられない。これまでは幸いに戦いに巻き込まれることは無かったのだが、最近になってかなり近い位置に新たなダンジョンが生まれたのだ。こちらから戦いを仕掛ける必要は無いとは言え戦いを仕掛けられる可能性も十分に考えられる。

 これが援軍を出せない最も大きな理由だ。情報の秘匿についても嘘では無いが比重としてはこちらの方が大きかったりする。なにせ戦争を仕掛けられるかもしれないのだ。他の事に手を出す様な余裕は存在しない。


「なあ、そうなったら勝てるのか?」

「そうだな……普通に考えたら苦戦しない筈だ。

 ダンジョンは基本的に時間が経てば経つほど強力になる。だから出来て一月と経っていないダンジョンは普通に考えたらそこまで強敵では無い筈なんだ。だが、ダンジョンマスターの元となる種族によっては苦戦する事になるかもしれない」


 ダンジョンマスターの元となる種族、それが例えばエルフや妖精のような魔法が得意な種族だったりするとかなりの強敵となる。ダンジョンマスターの魔力量は他の種族と比べても桁違いに多い、これは元がどのような種族でもダンジョンマスターになる過程で莫大な魔力を持つようになると言う事なのだ。

 今までは人間側に属する種族がダンジョンマスターになると言う事は聞いた事は無かったらしいのだが、俺と言う例外が存在した以上二人目や三人目がいたとしてもそれほど驚く事では無い。むしろ俺が唯一の例外だと考えるよりはそう考えた方がよっぽど現実的だろう。


「ダンジョンマスター同士の戦いでの勝利条件は、相手のダンジョンマスターを殺すかダンジョンコアを破壊するかのどちらかだ。ダンジョンコアは割と簡単に隠すことが出来るから、実質的にはダンジョンマスターの命を狙い合う戦いになるだろう」


 勝利条件はお互いの命、互いのダンジョンと言う砦を突破して命を取った方の勝利となる。ここでポイントとなるのは自分以外のダンジョンマスターが召喚したモンスターを倒してもそれはDPとしてダンジョンコアに蓄積される事だ。

 全てのDPが還元される訳では無い大体六割前後といった所だ。だがそれでも戦いを長期化させるには十分な値だ。倒したそばから味方側の戦力は増加するが、倒された分だけ敵の戦力も増していく。結果としてある程度拮抗したダンジョン同士の戦いはかなりの長期戦となる事が予想される。


「接触したダンジョンが戦いを仕掛けて来るかは分からない。が、警戒しない訳にはいかない。相手もダンジョンマスターであるから無数のモンスターを召喚できる事はまず間違い無いからだ。先手を取られたなら確実に多くの命が失われる。それを防ぐためにも防衛戦力は必要だ。だが、ガンガニア王国への支援も必要だ。あの国が落とされると、サンドニア王国へ対抗するために戦力を用意できなくなる。最優先はこの街だが、そっちも蔑ろにするわけにはいかない事を全員が理解して欲しい」


 だが俺はどこか楽観していた。戦いを仕掛けられても人がダンジョン内で暮らしている。毎日にDPが回復すると言う優位を持つ俺は負ける可能性は低いと考えていたのだ。

 その考えは間違ってはいない。確かに人が住む事でDPが回復する事は大きなアドバンテージである。だが戦いと言うのは戦略のみで決まる物では無いのだ。物資が常に回復し、DPに余裕が出来るが故に戦力を拡大する事も可能。だがこの世界には数を否定する個が存在する事を忘れてはいけない。

 天災にも例えられるその存在、最強と名高いモンスターがダンジョンマスターになっているなど想像だにもしなかったのだ。



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