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ダンジョンメイキング~吸血鬼と作るダンジョン王国〜  作者: 数独好き
第一章 ダンジョンマスターと吸血鬼
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第三十一話 帰還

 投稿再開します。前に一度投降した内容とはキャラの性格、立場、設定など多くの点が変わっていると思いますがご了承下さい。


 そして三日後、結果として全体の九割近くはそのままついて来るようだ。離脱者には約束した通りしばらくは生活に困らない程度の食糧とテントなど最低限生活に必要な物だけを渡して別れる事となった。村と言う閉じられた社会で外部の者が受け入れて貰うには生半可な努力では足りないだろうが、それを選んだのは彼らなのだから俺が関わる事では無いだろう。


「ゼロ! お帰り~」

「ああ、ただいま」


 五十人あまりの人が去って行った後、しばらくしてフェスカが多数の妖精を率いてやって来た。あらかじめ作戦が成功して戻って来たら迎えに来るように頼んでおいたのだ。

 フェスカ達に来て貰ったのはダンジョンまでの道のりでの護衛を頼むためだ。不明けの森はモンスターが蔓延る危険地帯の一つ、この人数が安全にダンジョンまで辿り着くには身の安全を守ってくれる存在が必要になる。


「それでダンジョンの方はどうだ? 問題は無かったか?」

「…………………何も無かったよ」

「目を合わせて言ってくれ」


 再開したフェスカにダンジョンの様子を聞くと、目を逸らして明後日の方を向くと言う分かり易すぎる嘘をつかれた。今のダンジョンの土地は全て妖精族の領土にしようと考えてるのでよっぽどの事が無ければ怒ったりはしないが……


「で、何があった?」

「え、と……みんなが張り切り過ぎちゃって……ついね」

「危険などはあるか?」

「それは大丈夫!……多分」


 ……不安だがみんなも待っているしここでの追及は辞めておくか。


 妖精族に護衛をして貰いながらダンジョンに移動する。人数が人数なだけにそれなりに時間は掛かってしまう。だが運がいい事に殆どモンスターと遭遇する事は無かった。妖精たちのお蔭で命の危険は殆ど無いと言ってもわざわざ危険な目に遭いたいとは思わない。それに魔力を欠片も使えない無力な人も連れている現状では特にだ。


「中々運がいいな。この調子なら一度も出会わずにダンジョンまで辿り着けるかもしれないな」

「そうね、それにしても生物の気配も薄い……ねぇ、フェスカ何か知らない?」

「し、知らない。知らないよ!」

「「………………………」」


 隣に歩いていたノワールの質問にフェスカはこれまた分かり易い反応をする。分かり易すぎて演技では無いかと邪推してしまいそうだ。だがフェスカにそんな真似が出来ない事は短い付き合いだが分かっているつもりだ。

 ノワールと目配せしてお互い頷き合う。取りあえずフェスカを問い詰める事か確定だ。


「なあ、最近森で何かあったのか?」

「え?、べ、別に何もないよ……」

「そうか……なら何が原因でモンスターが減ったんだ?」

「まあ、そんなに攻める必要も無いでしょ。モンスターが減っても困る事なんて無いのだから」

「それはそうだが……」

「そ、そうだよね!」

「ええ、それで狩りは楽しかった?」

「うん!!……あ」


 一瞬だったな。お世辞にも騙し合いに向いていると言えないフェスカと交渉などを得意とするノワールではこの結果は目に見えていたかもしれないが、それにしても早い。


「周辺のモンスター全て狩り尽くしたのか……相変わらず出鱈目な種族だな」

「まあ、実害は無いから問題無いじゃない。それで、そのモンスターの素材はどうしたの?」

「え、えーと、最初の頃はしっかりと剥ぎ取ってたんだけど……ね」


 アハハと乾いた笑い声を上げながら誤魔化そうとするフェスカ、大量のモンスター、その素材の殆どを無駄にしてしまったみたいだ。……現金換算でどれくらいの損失だろうか。

 不明けの森のモンスターは強力なものが多い、強ければ素材の値段が高いという訳では無いが、強力なモンスターの素材ほど手に入れにくいのでその分値段が上がり易いのも事実だ。

 そう考えると周囲のモンスターが居なくなるほどのモンスターの素材……どれ程の値段になったのか見当も付かない。


「まあ損をしたのはフェスカ達だから細かくどうこう言おうとは思わないが……勿体ないな」

「うわーん!だってみんな言っても聞いてくれないんだもん!!」

「フェスカ……頑張ってね。応援してるから」


 面倒な事はやろうとしない快楽主義な傾向がある妖精族に細かい作業を任せても長続きはしないだろう。フェスカもその性質はしっかりと受け継いではいるものの、まとめ役としての責任感も多少は持ち合わせているようでそれなりに苦労しているようだ。

 かと言って助けようとは思えないが、巻き込まれたく無いのは俺も一緒だ。



 不明けの森の中を歩く事三日間、ようやくダンジョンの入り口がの場所が見えて来た。感慨深く感じつつも後ろから着いて来ている人達に声を掛けダンジョンへの扉を開ける。

 するとそこには元の面影など全くない。沢山の木々に囲まれた空間だった。流石に不明けの森ほどではない。だが数多くの木々が覆い茂った十分に森と呼べるだけの規模である。


「フェスカ説明」


 ダンジョン内に何かしたことは察していたが、特に問い詰める事は無かったのだが、流石にこれは見過ごせない。


「えっと、前まで真っ白だったから少しでも住みやすい場所にしようってみんなで……」

「そうか……何か生物の気配がするのは幻聴か?」

「あ、うん。色々捕まえて来たよ」

「モンスターは?」

「……………えっと大丈夫。そこまで強いのは捕まえて無いから」


 妖精族の感覚での強くないとか信用できないんだが……ここは妖精族の領地として扱うつもりだから、モンスターが住んでいたとしてもそれは構わない。俺の考えではダンジョンと言う巨大空間を領地として幾つかに区切りそれぞれ代表に統治して貰う形にするつもりだ。

 その規模を考えれば自然とモンスターは自生し始める事も考えていたし、妖精達がやった事はそれを早めただけに過ぎない。

 だがモンスターが生息している事はそこに住む人間にとって脅威になる。安全な地で街を建設するのに比べて危険な地で街を建てるのでは難易度といった点で大きく変わるのだ。


「どうするの? 予定より少し距離を離す?」

「それと後回しにしようと考えていた城壁を早めに用意しよう。それで当面は問題無いだろ」


 城壁さえ用意すれば飛行能力を持ったモンスター以外の侵入は防げる。強力なモンスターが数多く存在するこの世界ではある程度発展した街は全て城壁に囲まれているのが基本だったりする。

 現状ではサイズの大きなモンスターが入り込むことが出来ない。このダンジョンでは後回しにしていい物だと考えていたのだが、既にモンスターが自生し始めてるとなると考えは変わる。


「予想外の出費だな。だが順番が変わっただけと考えればまだマシか……」


 ダンジョンと言う閉じられた空間で人がストレスを感じない環境をつくる。それには相応の高さと広さ、風や太陽と言った自然を感じられる環境が必要となる。それらをどうにかする術はダンジョン内に街を作ると言う構想を建てた段階で考えていたので解決策は用意してある。

 だが、それには莫大な量のDPが必要となるのだ。例で言うなら疑似的な太陽を用意するのに100万ptとかだろうか。文字通り桁が違う。

 現状でのダンジョン内の収入は一日2万と少し、最初の頃と比べればかなり多いがそれでも足りているとは言い難い。それなのにこれから作り上げようとする街を取り囲むだけの城壁、それ相応のDPが必要になるだろう。


 いつまでも話し込んでいるわけにはいかないので、貯まっていたDPを使いダンジョンを拡張していく。俺がダンジョンから離れている間にもDPは貯まり続けているみたいなので、それなりの量のDPが残っている。


「こんなものだな」

「そうね」


 広げる事を重視したので景観としては少々物足りないが、まあいいだろう。

 予定している場所に街の基礎部となる箇所を遠隔で召喚してあるので後はそこに向かうだけだ。フェスカに声を掛けて立ち去る旨を伝えた後、俺達は移動を開始した。

 そして三日ほどで目的の場所へ辿り着く。全員が騎乗して三日とそれなりの距離だが、モンスターが生息している地からは距離を離したいと考えてしまうのは普通だろう。俺に着いて来てくれた人の大半が非戦闘員なのでそちらの身の安全を優先したい。


 街の基礎部に辿り着いた俺が最初にした事は全員の仮住まいの準備だ。街の基礎部とは言っても現状ではほとんど何も無い様な物だ。まずはそれをどうにかしなければならない。

 その後はDPが貯めて次々と簡単な小屋を召喚する事を繰り返した。下手に凝った家だとかなりのDPが必要になってしまうので最低限の設備で済むに困らない程度の作りとなっている。

 トイレや風呂などの水道を必要とする設備は共用のものを幾つか設置する事で対処している。工事などしなくてもDPを使えば用意する事は出来るのだが、そちらも小屋に組み込むとなると必要なDPが跳ね上がってしまうからだ。

 それに小屋はあくまで仮住まい。将来的にはもっとしっかりした家に住んで貰いたいと考えているので便利にし過ぎてもどうかと言う判断からだ。

 最低限の衣食住に困らない生活は保障する。それ以上は各々の努力でどうにかして貰わなければならない。可能だからと言って全てを俺でどうにかしてしまうのは健全な社会とは言えないだろう。



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