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ダンジョンメイキング~吸血鬼と作るダンジョン王国〜  作者: 数独好き
第一章 ダンジョンマスターと吸血鬼
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第二十三話 吸血鬼救出作戦②〜移動編〜

 


 バルコンの背で揺られる事数時間、ようやく不明けの森を抜ける事が出来た。

 危険領域として扱われる事だけあった、何度かやばそうなモンスターに出会ったが、どいつも妖精たちが上手く目くらませを食らわせることで何とかやり過ごすことが出来た。

 それに昨日一昨日と妖精達が精力的にモンスターを狩ってくれたお蔭か特に隠れる事無く進んだにも関わらず数回出会うだけで済んだのは思わぬ副産物だった。


「何もないな……」


 不明けの森の外は見渡す限りの草原だ。時折草食獣だと思われる生物がいるが俺達……正確にはバルコンの存在を知覚すると同時に逃げ出していた。


「取りあえずは私が逃げ出した場所まで行くわよ」


 ノワールの先導に従い「走れ」と命令してバルコンを走らせる。手綱を握り「走れ」と言うと走りだし、手前に引きながら固定すると止まる。止まる時は行動で示すのは走ってる途中だと他の音で聞き逃す可能性があるのと、俺が騎乗しているのとノワールが騎乗しているので命令が混同しないようにだ。

 森を抜けて速度を抑える必要が無くなったのでバルコンには何の憂いも無く全力で走らせることが出来る。


 ノワールが逃げ出したと言う場所まではそう時間も掛からず着くことが出来た。まあ考えて見れば当然か、ノワールの身体能力は飛び抜けて高い訳でも無いし逆にそこまで距離があったら逃げ出すことは出来なかったはずだ。


「ここか……」

「ええ、野営の際に陽動を引き受けてくれた人がいて、それに乗じて上手く脱出してのだけど……」

「予想通り足跡が残ってるな。雨が降らなかったのが幸いしたか」


 後を追う為の手段を得た俺達は再び移動を開始した。足跡を辿って全力でバルコンを走らせる。体感だが時速40キロぐらいは出てそうだ。


 そのまま数時間程走らせて空が暗くなった辺りで今日が終わりにした。多少無理すればもう少しくらいは頑張れるだろうが、まだ初日だ。変に無理して体調を崩す方が問題だ。

 マジックバックからダンジョンコアを取り出しテントを召喚する。手間を省くために組みあがった状態でだ。少しでも体力の消耗は抑えるべきだろう。

 そして見張りに新しいモンスターを召喚し、近づいてきたモンスターや人がいたら追い払うよう命令してからテントに入り毛布に包まった。




「……朝か」


 今はそれなりに暖かい季節で寝ている間にそれなりに汗を掻いていた為それなりに不快に感じてしまう。ここ数日は毎日欠かさずお風呂に入っていたため余計にそう感じてしまう。防寒対策が必要無いのは有難いのだがそれでもいい気分にはなれない。


 立ち上がって軽く伸びをする。その際関節からポキポキと音が鳴るがテントで毛布に包まって寝ていた為だろう。肉体的な疲労はそこまででも無いようだし何の問題も無く活動できるだろう。

 ノワールはまだ寝ているので今の内に手早く着替えてしまう。服を脱いで濡れタオルを召喚して身体を拭いていく。その後服を着なおしてからノワールを起こしてテントの外に出る。


「グルルルル……」

「おー見張りありがとな」


 外に出ると巨大な犬型のモンスターが出迎えてくれる。昨日の夜に召喚したオルトロスと言う犬型のモンスターだ。

 四足歩行ながら高さで2メートル、とかなりの大きさだ。犬型のモンスターだけあって速度もバルコンよりも早いのだが、その速度により乗り心地が安定しないため採用を見送られたモンスターである。戦闘力も中々に高く下手なモンスターなら簡単に蹂躙するだけの強さを持っている。


「……おはよう」

「起きたか。少ししたら出ようと思うんだが……平気か?」


 ノワールの顔は昨日より僅かに悪くなってる気がする。数時間の移動、しかも魔力による強化の併用を必要とする程度の揺れはノワールにはそれなりに堪えたようだ。


「少し疲れただけよ。それより早く行きましょ」

「……そうだな」


 だが顔色が悪いとは言っても心なし、少しだけ体調が悪そうかと言った程度なので本人が平気だと言ったならば深く追及は出来ない。

 ダンジョンコアで朝食用のパンを取り出して食べてから移動を開始する。テントは勿体無いがここで破棄だ。片付ける時間が惜しいので魔法で燃やしてしまう。見張りに使っていたオルトロルもDPに変換してしまう。

 そしてバルコンの元に向かうがバルコンは昨日一日中走らせた疲労が抜けていないように見える。少し悩んだ末速度の維持のため殺してDPに変えてしまい新しいのに乗り換えた。




 二日、三日と旅路は順調に進んで行った。足跡の痕跡は少しずつ新しくなり、軍隊との距離は確かに縮みつつあった。そんな時、問題が起きた。


「おい、大丈夫か!?」


 朝、先に目が覚めた俺がいつも通り服を着替え、ノワールを起こすため声を掛けたのだが、目が覚めず、魘されている様子をみせたのだ。


「熱は……少し熱いくらいか。無理をし過ぎたな」


 額に手を当てて熱がある事を確認した俺はマジックバックからダンジョンコアを取り出す。ある物を召喚するためだ。


「……ゼロ? ああごめんなさい。少し寝過ごしたわね。今起きるわ」

「いいから、寝てろ。それより今薬を用意するから出すから」

「そこまでしなくても平気よ。確かに少し身体が熱いけど大した問題でも……んん」


 直ぐに身体を起こそうとするノワールを引き留める。そして召喚した小瓶の蓋を開けてノワールの口に突っ込む。

 ノワールの表情が驚愕に変わるが無視して飲ませた。するとノワールの表情が目に見えて良くなっていく。


「いきなり何するのよ……しかもそれエクリサーじゃ無い」

「時間が無いからな。それより体調が悪いなら早めに言えよな」

「いえ、ただの風邪にそれを使うなんて聞いたことが無いのだけど」

「それなら今知ったな。それより安静にしてろ。さっきまで風邪を引いてたのは事実なんだから」


 そう言って無理に横にならせる。エクリサー、またの名を完全回復薬と呼ばれるそれはまさに万能の薬であり治療薬でもある。どんな病でも治すことが出来、また身体の一部……例えば手足を失っていたとしても瞬く間に直してしまうような代物である。当然、ただの風邪など敵では無く瞬く間に治してしまった。流石国宝級の代物、俺に取ってはDPを消費すれば召喚出来るものでしか無いが。


「それにしても何でそこまで疲れてたんだ? 確かにそれなりに体力を使うが魔力で強化してれば問題無い筈だろ」

「その魔力が限界になったみたい。一応それなりに節約しながら使ってたのだけどね」

「それなら声を掛けてくれれば良かっただろ」

「一日二日で声を掛けたらゼロの方が貧血になってしまうじゃない。何とか一回、……せめて二回以内に収めたかったのよ」

「それもそうか、ならどうするか」


 速度は維持したい。だが、今のままだとノワールに負担が掛かってしまう。俺の血液も有限である以上吸血行為は最低限に抑えないと色々きつい。貧血は思考能力や運動能力にも関わるからこれからの事を考えると避けたいところだ。



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