第二十一話 アンダーコア
「ねえ、話って何?」
「ああ、少し相談したい事があるんだ」
しばらく考えた末、一度フェスカを呼んでアンダーコアの事を話して見る事にした。妖精族に情報の秘匿などを求めても無駄だと思っているので、当たり障りの無い。それこそ外部に漏れても問題無い部分のみだが。
リスクはあるがそれでもアンダーコアの能力は魅力的だ。俺一人が能力使える状況と言うのはリスクが小さい代わりに広げられる勢力の限界も小さいと言うだ。ノワールの仲間を助け出す。悪い言い方をすれば他国に喧嘩を売るような行動をする以上、それは好ましい事では無い。
だがいざアンダーコアを譲渡するとなると誰にと言う問題も出て来る。アンダーコアを個人に渡せばそれだけで成功が約束されるようなものだ。その人の能力など関係ない。適当に売り物になるそうなものを召喚して売るだけで生きるに苦労はしないだけの生活が出来るようになってしまうのだから。
だからアンダーコアを譲渡するとなれば理由が必要になる。多くの人間が納得できるようなそれ相応の理由が。
「それって、ゼロみたいに色んな物を生み出せたり出来るって事!!凄い欲しい!!」
「一応いくつか条件は付けるからな。これはフェスカ個人にで無くこれから作る妖精族の集落に貸し出している事にする。それとそれが使える範囲は予め決められた場所でだけで、回数には制限が付くただフェスカ達に貸し出している土地に住んでる人数や生活水準によって変動する、ダンジョンから出ていくと決めたならそれを返して貰う」
「いいよ!!全然問題ないよ!!それで直ぐに貰えるの!?」
「ちょっと待ってくれ。一応契約書をつくったからこれにサインしてからだな」
今後はもっと細かく煮詰めていく必要があると思うが大体こんなものだろう。一つ目の妖精族に貸し出す事とする。と言うのは個人の暴走を抑える為、個人に渡すのでなく種族の代表として渡すと言う形にすることによって不適切だと判断した場合には更迭する事が出来る為にだ。それでも暴走する人間は出るだろうが抑止力程度にはなるだろう。
二つ目、使えるのは決められた範囲のみと言うのは、どの種族にも渡すのでなく、その地域を治める事を頼んだ代表に渡そうと考えているからだ。ダンジョンマスターの能力は都市を発展させる為に途轍もなく優秀だ。モンスターの召喚も防衛戦力として考えれば申し分ない。
三つ目、回数に制限と言うのはアンダーコアに流すDPの制限の事だ。アンダーコアを使うためにはダンジョンコアと同じようにDPが必要となる。その配分を決めるのは俺なのだが、規模が大きくなればなる程必要となるDPは増えるだろうと考えてこのような形にした。生活水準も含めたのはただ人口数だけで決めるとただ数だけ揃えようとする人間が出ると思ったからだ、人口数による固定DP+住んでいる人間の生活水準、生活環境による追加DP、とすればそれを改善しようとする試みも生まれるだろう。人口数によってDPを決めるのは簡単だが生活水準などの項目を入れるとなると判断は難しくなるが、今後の事を考えると是非とも入れたいと考えている。まあこれは妖精族にはあまり関係ないだろうな。生活に必要な物が限りなく少ない、環境を整える必要も無いのだから。
四つ目、これは言うまでも無いだろう。ダンジョンから出ていくならアンダーコアを返して貰う。ダンジョンに住まないと言うのに利益を得る事など許す気は無い。一応俺からアンダーコアの機能を停止する事も可能なのだが、文字で示しておく事は今後の事を考えると必要だろう。
「んー、決められた範囲ってどこまでなの?」
「世界樹のレプリカを中心に数キロ辺りまでだな。これから住む人が増える様なら考えるが多分あまり変わらないだろ」
簡単な問答の末、嬉々とした様子で契約書にサインしたフェスカに召喚したアンダーコアを渡す。アンダーコアに必要なDPはそれなりに多いが妖精族が住んでる今では一日あればお釣りが出る程度だ。
アンダーコア流すDP量としては人口×1ptに目安に考えている。種族によって入るDPは違うだろうが妖精族は確実に多い。一律に揃える為にも余裕をもっておきたかったのだ。それに妖精族は必要な事でなく娯楽にDPを使うのが目に見えている。それに対して文句を言うつもりは無いが、思う所が無い訳でも無いのでこのような形にしている。一応地域内でモンスターなどを狩るとその1%がアンダーコアに流れるようになっているのでそれを使ってDPを得てもいい。俺も召喚出来るモンスターの種類が増やせるしDPを獲得できる。妖精族にしても大して難しい事でも無いのでお互いにとって得のある提案だ。
「じゃ、早速みんなのとこに行ってくるねー」
「限りがあるから考えて使えよ」
まあ、無理だろうがな。そう思いながら「うおー」と声を上げて仲間の元に向かうフェスカを見送った。そしてそれから手元にある紙に目を向ける。
「さて、そろそろ本格的に考えないとな」
「ええ、戦力は整いつつあるし、留守の間の防衛も妖精たちがどうにかしてくれるでしょう。多分襲撃などまったく想定していないでしょうから勝算は十分にあると思うわよ」
「妖精達が住んでくれるようになったからDPは時間が経つほど貯まる。だが時間を掛け過ぎれば救出は難しくなる。軍の移動速度と作戦に必要なDPを考えると……決行は三日後か四日後って所か」
紙には『吸血鬼救出作戦』と書かれている。
次も3日後の15時の予定です。




