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ダンジョンメイキング~吸血鬼と作るダンジョン王国〜  作者: 数独好き
第一章 ダンジョンマスターと吸血鬼
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第十六話 妖精族

「結局の所、仲間にする事は出来そうなのか?」

「仲間にするだけなら難しくは無いでしょうね。面白そうと思ったなら喜んで協力してくれるわよ。ただな行動や作戦などといった方面では全く期待できないけど……」

「……そうか、後は妖精族についてだな、好奇心旺盛で楽しい事が好きなのは分かったんだが、具体的にはどんな事が好きなんだ?食べ物の好みとかあるのか?」

「悪戯なんかも好きだったわね。後は狩りなんかも遊び感覚でやってたはずよ。……食べ物は甘い物が好きで辛い物なんかは嫌いね」


 子供舌で悪戯好き、イメージが完全に子供みたいな種族で固定されつつあるんだが……まあ大体どんな種族かは分かった。不安はあるがここで勧誘しないって選択肢は無い。そもそも俺達は選ぶことが出来る程

余裕がある訳じゃ無いからな……

 ある意味渡り船なのかも知れない。どう頑張ってもノワールの仲間の救出は絶望的だと思われていた中で妖精族とであるというのは……



 ダンジョンを出てしばらくは無言で歩き続けた。ダンジョンの外のモンスターはどれも俺達より格上だ。万全の準備をして先手を取れるダンジョンなら兎も角外での不意の遭遇戦では勝ち目が薄い。それを理解しているから歩みは自然と慎重なものになる。

 幸いなことに特にモンスターと出会う事無く、妖精たちがいるであろう場所にまでたどり着くことが出来た。


「ようやくだな……」

「ええ。……話は私からするわ」

「頼む」


 元々知り合いらしいので俺よりもよっぽど向いているだろう。

 ある程度近づいてからは、息を潜めるのをやめて堂々と妖精族のいる方に歩いていく。下手に隠れて出会い頭に魔法を喰らって死ぬのはごめんだ。それなら最初からこちらの存在を相手に知らせておいた方がいい。まずは会話が出来る状態までもっていく。話はそれからだ。


 妖精達の姿が見えたと同時にノワールが声を掛ける。妖精は俺たちの存在に気が付いてたらしく。無警戒に近づいて来た。


「おー姫様だー」「姫様久しぶりー」「久しぶりー」「元気だったー」「あははは元気だねー」「ねえねえ何でここにいるのー」「珍しー」「珍しー」「こっちの人は誰ー」「あ、男の人だー」「ホントだー」「でも悪い感じはしないねー」「そうだねー」


 ……何というか想像以上に騒がしいな。小学校低学年……下手したら幼稚園並だ。


「久しぶりね。フェスカは居るかしら?」


「いるよー」「呼ぶー?」「呼んじゃうー?」「どうするー?」「どうしちゃうー?」「どうしちゃうのー?」「呼んでくるー?」「呼んでこよー」「あははは」「私行って来るー」「私もー」「私も行くー」「みんなで行こー」「「「おー!」」」


 居るかって聞いただけで全員呼びにいってしまった……何というか凄いな……後ここの周囲だけ妙に明るいのは魔法で明るくしてもしてるのか?

 フェスカとは妖精族の纏め役みたいな感じの人らしい。実質的な権力とかは無いが最終的な決定権を持っていて話し合いとかならフェスカに伝えるのが手っ取り早いのだという。


 少し待つと妖精たちは一斉に戻って来た。……どれがフェスカだ?服装もみんな同じで判別出来ないのだが……そう思っていると一人の妖精が前に出て来た。この子か。妖精族に共通した金色の髪を三つ編みに纏めてる。


「おー久しぶり。姫様元気にしてたー?」

「まあ元気かと言われたら元気ね。色々あったけどね……」

「そうみたいだねー。会いに行ったらヒトばっかいたんだもん驚いたよ」

「やっぱり占拠されてたのね……」


 フェスカは他の妖精達より話し方がやや落ち着いきがある。それでも子供っぽいが他の妖精達ほど支離滅裂じゃ無いだけ話しやすそうだ。


「人間さん名前なにー」「教えてー」「教えてよー」「ねーねー」「教えてー」「何から始まるのー」「あれー魔力多くないー」「ホントだー」「ホントだねー」「魔力多いねー」「私達より多いー」「すごいすごーい」


 ノワールとフェスカが難しい話をし始めたからか妖精たちが俺に集まり始めたのだ。言葉を返すとそれに対して更に質問が増えていく。正直凄い大変だ。自分から聞いといて勝手に自己完結するのも多いのも拍車を掛ける。


「……飴でも食べるか?」


 ほら、と言ってポケットにしまっていた飴を取り出す。一袋で5pt中身は三十個ほど入っている。安いかと言われると微妙だが甘い物好きだとあらかじめ聞いていたので用意しておいたのだ。


 飴って何かと聞かれたので果物の味がする砂糖の塊って言ったらすごい勢いで欲しがった。一人一つなって言って配っていくとみんな「わー!」って歓声を上げて飴を食べ始めた。いや、俺には小さく感じる飴も妖精たちのサイズからすると結構大きいのか。両手に持ってチビチビ舐めるように食べている。その絵面は可愛らしいのだが、食べ終わった後にまたさっきの質問して来るかと思うと憂鬱だ。

 妖精達が飴を食べるのに夢中になっている間に俺もノワールの会話に混ざる事にした。これからの事を話し合うのだ。出来れば俺も参加したい。


「いまどこまで話が進んでる?」

「協力関係……ダンジョン内で住んで貰う所まで了承して貰ったわよ」

「……早いな。フェスカだったか? ダンジョンってあのダンジョンなんだが大丈夫なのか?」

「んー。でもゼロは私たちを傷つける気なんて無いでしょ?」

「…………」

「それに住む家と食べ物。私たちが知らない遊びを教えてくれるって言ってたもん!」


 ……交渉材料それなのか。いやそれで納得してるのならいいが。


 チラチラと俺の手元にある飴の入った袋を見て来たので一つ渡す。他のみんなは何の臆面も無く欲しいって言ってたからやっぱりフェスカは他の妖精達より精神年齢が高そうだ。だが言葉にしなくても欲しがってるのが簡単に分かってしまう事を見るとまだまだ子供っぽい。他の妖精達が小学校低学年だとしたらこっちは高学年って所か。

 飴を受け取ったフェスカはお礼を言ってからチビチビ食べ始めた。表情がとろける程に美味しそうに食べるな。

 それを見て、また食べたいと言い出す妖精達もいたが、次はダンジョンに着いてからだと言って納得させた。ゴブリンを召喚したせいで地味にptが尽きていたりするのだ。現状ではほとんど何も出来ない。そう告げたら次は早くダンジョンに行くように騒ぎ出したが。


 ダンジョン生活13日目。妖精族が仲間になった。







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