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ダンジョンメイキング~吸血鬼と作るダンジョン王国〜  作者: 数独好き
第一章 ダンジョンマスターと吸血鬼
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第十四話 ボードゲーム

 ダンジョンマスター生活十二日目。


 ノワールの残りの魔力を考えて今日のジャイアントベアー狩りは休みだ。俺から血を吸えば回復すると言っても俺の血も有限なので適度に休憩を挟む必要がある。

 それに戦いに慣れつつあるとは言っても未だ初心者である事に代わりは無い。魔法が使える事を除けばただの人である俺はモンスターに比べて非常に脆弱だ。一度の失敗で簡単に命を失ってしまうだろう。なので休息をしっかり取る事は重要だ。


 狩りは休みだが、午前中はしっかりと魔法の練習や剣の素振りなどをして過ごした、そして昼食(DPに余裕が出来て来たから解禁された)を取った後、食休みも兼ねて休憩している。

 個室が出来たとはいえ、俺もノワールも外にいることの方が多い。真っ白な空間と言ってもシートか何かを引いてその上にテーブルと椅子を用意すればそこまで気になる事でも無い。

 ついでに紅茶と簡単なお菓子でも添えればそれこそお茶会の様な物にするのもそう難しくは無いのだ。


「……暇ね」

「本読んでるだろ」

「それでも一日中ってのは飽きるのよ。何かする事でも無いの?」

「ボードゲームでもするか?」

「昨日も寝る間でやったでしょ」

「だが他にやる事も無いだろ」


 俺はもうこれ以上やったら筋肉痛になるくらい武器を振ったので運動は出来ない。魔法に関しては全ての事に並行して練習するようにしているので問題ない。

 ちなみに昨夜の戦績は全戦全勝した。記憶は無いがそれなりに経験があるらしく。初心者であるノワールに負ける事は無かったのだ。回を繰り返し少しずつハンデを付けていったのだが結局黒星を付けられることは無かった。

 しばらくの問答の末、結局オセロをする事になった。文句を言っても結局暇なのはお互い様なのだ。他に出来る事も無い以上、この結末は決まっていたのかもしれない。

 オセロを選んだ理由は、昨日ノワールが最も惜しい所までいった種目だからだ。ルールがシンプルで一回の勝負に掛かる時間が短く回数を重ねられる。最も疲れないとは言わないが。


「一手時間五秒以内、待ったは無し」

「それでいいわ」


 簡単にルールを決めて打ち始める。ノワールは呑み込みが早く大抵の内容を一度説明しただけで覚えてしまう。昨夜のみで三つのボードゲーム、全てのルールを覚えて戦えるまでになった事からもそれは分かるだろう。

 全ての戦いで一度目は勝てないものと割り切って、こちらの戦術の分析し二度目には拙いながらも模倣してくるような相手なのだ。


 パチパチ、


 だが、それでも負けるまでには至らない。いくら呑み込みが早くても、それだけで勝てる程甘くは無い。今後は分からなくても今現在の強さなら俺の方が圧倒的に上である。


 パチパチ、


 一手五秒のルールは俺に優位に働く。考える時間が短ければ短いほど経験の差が如実に表れるからだ。最も、俺が現在進行形で魔法の訓練に意識を割いている事を考えれば五分五分かもしれないが。


 パチパチ、


「ねえ、さっき読んでた本で気になった事があったのだけど」

「へえ、どんな内容だ?」


 場面が俺の優位に進んでいる時にノワールが番外戦を仕掛けて来た。オセロの方で勝負手を仕掛けると同時に質問形式の会話を挟む事でこちらの思考を妨害しに来たのだ。

 俺はそれに対して引き伸ばす様な答えを返しつつも頭を働かせる。さっきまで小競り合いをしていた場所とは違う場所に打たれたので出来るだけ考える時間が欲しい。だが、その回答も予測したかのように言葉を紡がれ回答を要求される。会話の方には時間制限など無いので無視してしまえばそれまでだが、それだと負けた気分にさせられる。それにこれも訓練だと言われればそれまでなので意地でも全てをどうにかしてみせる。

 知恵熱で頭がどうにかしてしまいそうになりながらも、勝負手を打ってきたのとはまた別の場所に勝負手を打ち返す。先ほどの場所は取られてしまうがこちらも十分取り返せる。打ち返しながらも返答し、今度は逆にこちらから質問をぶつける。魔法の練習をしていない分俺よりマシとは言ってもノワール自身、オセロは昨日が初めてだ。五秒と言う制限に加えて質問をされたのではそれなりに負荷が掛かるだろう。

 ノワールは俺の勝負手に応じるのを諦め、素直に先程の当たりを付けば場所を攻めて来た。俺も打ち返すがお互い奪い合った為、先程の攻防は互角、定石の分だけ俺が優位と所だろうか?

 だがオセロでの優位など他のボードゲームに比べたら簡単に覆るものでしかない。現に俺が大多数を占めているがノワールの白が断点の様に黒の中に混ざっている。後からじわじわと取り返す気なのだろう。

 だが、そんな事ノワールより経験が多い俺が分からないわけが無い。結果的に取り返しにくいように工夫している。


「終わりだな。黒38白26、俺の勝ちだ」

「……そうみたいね」


 少しだけ表情を変化させて悔しがるノワール。一回ごとに差を詰められて居るがそれでもまだ負けてやる気は無い。俺に優位な一手五秒ルールも逆手に取られてしまったが、それでも勝ちは譲らなかった。

 ボードゲーム一つにお互い小細工を重ね過ぎてると思うが、これはノワールの提案だ。ノワールに勝ち目を作ると同時に俺の対応能力を鍛えるのだとか、いくつもの事を同時に考えられるようになると交渉などに役に立つと言われたが、毎度知恵熱が出そうなくらい頭が一杯一杯になるから勘弁して欲しいんだが……オセロならまだいいが、将棋やチェスだともっと大変だ。










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