ミュンストル防衛戦3
ミュンストルの街中央部。
「逃がさない!」
凛とした声とともに、ティアが自身のアウラで形作られた弦を引き絞る。
狙うは一体のハーピー。ミュンストルの住民であろう小さな女の子をその足で掴み、町から飛び出そうとしていた。
少女に当てないように細心の注意を払いながらも、ティアが己の魔力を解き放つ。白く尾を引きながら奔る光の矢は、ハーピーの頭部を一撃で貫いた。
「ファリン、お願い!」
「まかせるニャ!」
ティアが指示を出すよりも前に走り出していたファリンが、近くに建つ家屋の屋根へと駆け上がる。その勢いのまま屋根の縁を大きく蹴り、ハーピーの魔の手から解放された少女を助けるべく空中へと舞い上がった。
ハーピーに捕まっていた少女はどうやら気を失っているようだ。悲鳴一つ上げないまま、重力に引かれて落ちていく。
そんな少女を空中で見事に捕まえたファリンは、そのままクルリと空中で一回転。飛び出した勢いそのままに放物線を描いて、通りの反対側の建物に猫のごとく軽快な着地を決めた。
普段のファリンならそのまま華麗にポーズでも決めるところだが、今回は要救助者がいたため自重したようだ。落ち着いた様子で助け出した少女の容体を確認する。
「ファリン!」
「ニャ!」
心配そうに駆け寄ってきたティアに、ファリンが満面の笑みでガッツポーズを決める。どうやら少女の体には特に大きなケガなどは無いらしい。一応、ティアも簡単に確認をしてみるが、見たところ特に問題はなさそうだ。
「良かった……なんとか間に合ったみたいね」
少女の顔を見つめてティアが安堵の息を吐く。
ファリンも無事に少女を助けられたことが嬉しいのだろう。猫尻尾を元気に揺らしていた。
「このままギルドに向かいましょう。あそこは避難所になっているし、簡易的なものだけど治療設備もある。この子を保護してもらわないと……」
ファリンの頭を称賛の代わりに一度だけ優しく撫でた後、ティアは持っていた魔弓をファリンに手渡す。ファリンは両手に鉤爪の付いた手甲をしていて危ないので、少女を運ぶのはティアの役目だ。
気を失ったままの少女を優しく抱き上げたあと、立ち上がってギルドのある方角を見つめる。
「じゃあ、ギルドに着くまで魔物の相手をお願いね」
「まっかせるニャ~!」
鉤爪付の手甲を付けた右手を高々と掲げて、ファリンはティアを先導するように走りだす。こんな時でも明るい態度を崩さない妹に笑みを向けて、ティアもそのあとを追った。
「おめえら、大丈夫だったのか!? バードレオはどうした?」
ギルドに到着した二人が、先ほど助けた少女をギルド職員に預けていると、少し離れたところからしわがれた男の声が聞こえてきた。
その声に振り向くと、そこには白いゴワゴワとした髭を生やした男がこちらに向かってドシドシと歩み寄ってくるところだった。白髪と髭のせいで白いライオンのようにも見える。
その男はこのミュンストルの町のギルドマスター、グラフだ。ティア達はミュンストルに着いてすぐ、防衛のための緊急依頼受諾の際に一度だけ顔を合わせている。
ガルドラッドのマスターであるシルヴェーヌと異なり、かなりガタイの良い筋肉質の男性だ。丸太のような両腕には長年の戦いの痕がくっきりと残っており、その肉体からは年を取ってなお衰えを感じさせないだけの強さを感じさせる。
作戦会議の時、ティア達のランクと黒の翼の功績、さらにティアの使用武器などから、二人の配置場所について指示を出したのがこの男だ。その若さと容姿から、ティア達の実力を疑う者が多かった中、迷うことなくティアとファリンに難敵の相手を任せたその判断力と決断の速さは、さすがは歴戦の雄といったところか。
「大丈夫です。バードレオならさっき仕留めましたから」
「本当か! そりゃ僥倖だ! 何せ報告じゃ、壁の上にいた連中はあんたたち以外全員、バードレオにビビって逃げたって聞いてたからな」
ティアからの報告に、深いしわと古い傷跡が刻まれた顔を緩ませるグラフ。どうやらバードレオの襲撃から撤退した冒険者達から色々と報告は受けていたらしい。別にあの場にいた全員が怯えて逃げたわけではないのだが、残念ながら今は彼らの弁護をしている暇はない。
「町の被害状況は?」
「一応、冒険者や軍の連中が駆けずり回って侵入した魔物はかなり退治出来たらしい。ここ以外にも避難所になっている場所がいくつかあるんだが、魔物の侵入を許した割には、思ったよりも死人や怪我人の数は少ないって話だ。ただ、行方のわからねぇ奴もかなり多いから安心はできねぇがな」
ティアの問いに、グラフが渋い顔をしながらその豊かな髭を指で弄ぶ。
死傷者が少ないのは、やはり魔物の群れが女帝の駒だからだろう。行方のわからない人達は、皆魔物に連れ去られたということか。
さすがのティア達も、町に散らばった魔物を全て倒して回るのは不可能だ。侵入したのは今のところ低ランクの魔物とはいえ、二人で倒しきるには数が多すぎる。他の冒険者や兵士達も奮闘しているようだが、やはり助けられない人も出てくるだろう。
(この町を守り切ったら、すぐに女帝の討伐隊を出すことになるでしょうね……できるだけ早く助けられるといいのだけど……)
命を奪われる心配は無いとはいえ、捕らえられている間の苦痛を考えると胸が痛む。アネットのこともあるし、一刻も早く女帝の討伐を果たすことをティアは改めて心に誓った。
ちなみに、このグラフにはまだ女帝のことは伝えていない。状況証拠だけで、まだ確たる証拠があるわけではないし、伝えたところでどうなるわけでもない。今は魔物の群れから町を守ることが最優先なのだから。
「前線の状況は?」
「……残念ながら、そっちの情報は何も入ってねぇな」
重苦しい様子で口を開いたグラフに、ティアが首を傾げる。
「伝令役がいるはずでは?」
「ああ……定期的にこっちに報告が来るはずなんだが……」
この町の防衛は、本来ミュンストルの軍の仕事だ。だが、今回の防衛戦では冒険者ギルドからも大勢冒険者を派遣している。そのギルドのマスターであるグラフに、戦線の情報が何も入ってきていないのは明らかに不自然だ。
考えられる可能性のどれもが碌でもないものばかりだ。グラフとティアの間に不穏な空気が流れる。
「流石におかしいと思ってな……さっきギルドから二人、偵察に向かわせたところ――」
グラフの説明の途中のことだった。
ギルドの外、かなり遠くの方から、何か大きな物同士がぶつかったような音が響いてきたのは――
「今の何?」
「た、大砲の音?」
「怖いよぉ……」
突然の轟音に、ギルドの中に避難していた人々の間に不安と恐怖が膨れ上がっていく。それを宥めようと声を張り上げるギルド職員達を横目に、ティアとファリン、それにグラフの三人が足早にギルドの外へと向かう。
「今のは砲撃音じゃねぇな」
「ええ、おそらく……前線ではすでに魔物との交戦が始まっているはずです。乱戦状態で大砲なんて撃てば、味方も巻き込むことになります。余程錯乱でもしていない限りそんなことにはならないと思いますが……」
ティアの推測にグラフが頷きを返す。混乱を加速させないよう、落ち着いた表情をしているが、その心中は穏やかではないだろう。
ギルドの扉をやや乱暴に押し開けて、グラフが外に飛び出す。そのまま大きく地面を蹴ると、近くの街灯や建物の窓枠などを利用して跳び上がっていった。ティアとファリンもそれに続く。
そして近隣で一番高い建物の屋根に上がった三人が見たのは――
「……嘘だろ、おい……?」
町の北側の壁、ミュンストルからガルドラッドに向かう側の大門に大穴が開いている光景と――
「あんな奴までいるニャんて……」
その大穴を開けた元凶である大型の魔物が、ミュンストルの町を悠然と闊歩している姿だった。
「ダイナドラン……」
そんな光景を呆然と眺めていたティアの口から、その魔物の名が零れる。
ダイナドランとは、火山地帯や熱帯の荒野などに棲む大型の魔物だ。その見た目を簡単に言うなら二足歩行の巨大なトカゲだ。
体長五メートルを超えるそれをトカゲと呼ぶなら、だが……
その見た目から、龍と間違われることもあるが、ダイナドランは龍ではない。というのも、龍の最大の特徴であるブレスを吐くことが無いからだ。
だがその強さは龍にも劣らないだろう。石のように硬質な皮膚が物理的なダメージを弾くという。そしてその硬く巨大な体を用いた突進は、岩ですら容易く砕くだけの威力があるらしい。
なお、討伐ランクはバードレオと同じ三級だが、それは危険度がバードレオよりも低いからだ。
ダイナドランは、見た目は凶暴そのものだが至って大人しい魔物だ。自分から人間を襲うこともなく、踏みつぶされることにさえ気を付けていれば、すぐ傍を人間が歩いても全く問題が無い。
というのも、ダイナドランは生き物の肉を食べない。主な食料が土や岩という変わった習性を持っている。学者の研究では、排泄された土からマナが失われていたため、大地に込められている土属性のマナを栄養にしているのではないかという話だ。失われた土のマナは数日で元に戻るため、環境にも害は無いらしい。
ちなみに以前、リオンが本でダイナドランの姿を見た時、『きょうりゅう』とか『てぃらのさうるす』などと呟いていたが、残念ながらその意味は教えてもらえなかった。
「くそっ、ダイナドランがいるなんて、報告にあがってなかったじゃねぇかよ……」
グラフが吐き捨てるようにそう呟く。別に最初に魔物の報告を持ってきた人物を責めているわけではないのだろう。このような異常事態、しかもダイナドランはそもそも個体数が少ないため、その名を知らない者も多い。より有名なミノタウロスやバードレオの方に目が行って、ダイナドランの報告が漏れていたとしても、それは仕方のないことだろう。そもそも五百を超える魔物全てを把握すること自体が無茶な要求というものだ。
「そもそも何でダイナドランがこんな所にいるんだ? しかも人里を襲うなんて……」
そのグラフの問いに対する答えは、ティアもファリンも知っているが、今は悠長に説明をしている場合ではない。
「今は理由よりも、これからの対策を考えましょう。ダイナドランがここにいるということは、防衛線が突破されたということ。まだ他の魔物がやってこないのは、おそらくダイナドランがその圧倒的な防御力と突破力で先行してきたからでしょう。ですが、門が壊された以上、いずれ他の魔物がこの町に入ってくることになります。何とか魔物の侵入を防がないと……」
「……あ、ああ、そうだな」
落ち着いた様子で状況を分析するティアの姿に、グラフが少々バツの悪そうな表情を浮かべる。高ランクとはいえ、まだ十八歳のティアの方が冷静なことに、ギルドマスターとして、また熟練の冒険者として不甲斐なさを感じているのかもしれない。
(まぁ、私も事前に女帝の事を知らなければ、ここまで冷静ではいられなかったでしょうけど……)
今のグラフと同じ状況でも冷静でいられるのは、きっとティアの最愛の人くらいだろう。
「……しばらくの間、お前さん達二人であのデカブツを押さえられるか?」
少しの間、何かを考えるそぶりを見せていたグラフが、ふと顔を上げてティアとファリンの顔をじっと見つめてきた。
「何か策があるんですか?」
「俺の第一属性は土だ。時間さえあれば、門に開いた穴を塞ぐことができる。魔物の大群相手には時間稼ぎにしかならないだろうが、ガルドラッドからの救援までこの町を死守すればいいだけなら何とかなるかもしれん」
確かにギルドマスターになれるほどの実力者が、あとのことを考えずに全力で魔法を使い続ければ、それも可能かもしれない。もっとも敵の中にはまだミノタウロスもいるので安心はできないが、現状それ以外に魔物の侵入を防ぐ手立ては無いだろう。
「だが、穴を塞いでる最中にあいつに突進なんかされりゃ、作りかけの壁なんか積み木みたいに簡単に吹き飛ばされちまう。おまけに、あのデカブツは土や岩を食べるらしいからな。両側からガンガンやられたらいくら俺でもどうしようもねぇ」
「つまり私達はガルドラッドからの救援が来るまで、ダイナドランを門に近づけなければ良いんですね?」
「ああ、そういうことだ」
厄介な役目を押し付けるみたいでわりぃけどな……と、グラフが若干申し訳なさそうに、そう付け足した。作戦とはいえ、ギルドマスターとして、あるいは男として、強敵を若い女性二人に任せるのは心苦しいのかもしれない。
そんな大役を任されたティアとファリンは、一瞬だけ二人で視線を交わしたあと、二人を見つめるグラフに力強く頷いた。
「わかりました。ダイナドランは私達で何とかしてみます」
「ティアとファリンちゃんにまっかせるニャ!」
特に臆する様子も迷う素振りも見せることなく返事をしたティアとファリンに、グラフがわずかに目を丸くする。だが、すぐに表情を緩めると、ボサボサの白髪頭をボリボリと掻く。
「ったく、度胸の据わった嬢ちゃん達だ」
グラフが照れくさそうに二人に背を向けて、だが……と言葉を続ける。
「あんたらみたいなのは絶対良い女になるぜ。俺もかみさんがいなけりゃすぐにでも口説いたんだがなぁ」
大げさなくらいにガッカリした様子を見せるグラフ。それは大任を前にして自分を鼓舞するためでもあり、彼なりの二人に対する激励でもあったのだろう。それと同時に、二人の心意気に必ず応えるという決意がその背中からはっきりと窺うことができた。
その大きな背中を頼もし気に見つめながら、ティアとファリンが告げる。
「すいませんが、心に決めた人がいますので」
「おっちゃんには興味ないニャ~」
「そうかい。そりゃ残念だ」
二人のつれない返事に、グラフはたいそう可笑しそうな笑みを浮かべると、建物の屋根を伝い、ダイナドランを迂回するように門へと走り出した。
「さぁ、私達も行きましょう!」
グラフの背中を見送ったティアが、今なお町を悠然と闊歩するダイナドランへと真っ直ぐに駆けだす。
そんなティアの隣を追走しながら、ファリンが声をかけてきた。
「ティアは大丈夫なのかニャ? もうアウラをかなり消耗してるはずだニャ……」
不安……というよりは、心配そうな眼差しでティアを見上げてくる。
そしてそのファリンの心配は当たっていた。
魔弓というのは、自身の魔力を矢として放つ性質上、アウラの消耗が激しい。バードレオを始めとする外壁での戦いから、町に侵入した飛行型魔物の殲滅と、ティアはこれまでにかなりのアウラを使用していた。
本来であれば、魔弓の刃の部分を用いた接近戦も交えて戦うのだが、今回の相手は空を飛ぶ魔物ばかり。しかも、味方の士気を高める演出などでも、必要以上にアウラを放出してしまった。いくらティアのアウラの量が並みの冒険者を遥かに上回るとはいえ、そろそろ限界が来てもおかしくない。
「大丈夫よ。倒すのは難しいかもしれないけど、時間を稼ぐだけなら何とかなるわ」
だが、可愛い妹の前で泣き言なんて言えない、とばかりにティアいつもの微笑みで応えた。
それでもまだ心配そうな表情を崩さない妹に、「それに……」と前置きをして告げる。
「ファリンが一緒だもの」
心からの信頼を込めて。
そんなティアの一言に、ファリンはその可愛らしい猫目を丸くする。
だが、すぐにニィッと口の端を吊り上げてイタズラな笑みを浮かべた。
「まっかせるニャ! あんなトカゲ、二人で成敗してやるニャ!」
ウニャーッ! と雄叫びをあげて、ファリンが速度を上げる。
すでにダイナドランは目と鼻の先だ。
しかし、向こうはどうやらこちらには気付いていない。どうやら感覚は鈍いらしい。
だからこそファリンは先制攻撃を叩きこむべく一人先行したわけだ。もちろんティアの負担を減らすためでもある。
屋根の上を疾走するファリン。ミュンストルの大通りをドシンドシンと闊歩するダイナドランの無防備な背中に全力の一撃を叩きこむべく、加速を続ける。
「ニャッ!」
気合の乗った掛け声と共にファリンが民家の屋根から跳んだ。獲物を狙う豹のように、その鋭い爪を振るう。
だが……
ギャリィンッ!
金属が固い物を叩いた時特有の不快な音が響く。
「っ!」
渾身の一撃を食らわせたはずのファリンが驚きに目を見開く。
圧倒的な突進の速度と、ファリンの全力を持って振るわれたその刃は、ダイナドランの体を切り裂くことは無かった。一撃は弾かれ、ダイナドランの皮膚にわずかな傷を残しただけだった。
「なんて硬さニャ……岩を叩いたみたいニャ」
また、勢いが付いていた分、反動も凄まじかったのだろう。着地したファリンが右手を押さえて、苦悶の表情を浮かべている。
「ファリン!」
ティアの切迫した大声。その声にファリンがハッと顔を上げると、目の前に巨大な壁が迫っていた。
それはダイナドランの尾。まるで自身に纏わりつく羽虫を払うかのように、巨大な尾を振るう。
「ニャッ!?」
驚きのあまり猫尻尾がピンと立ち上がるファリン。そして敵に追われて木の上に逃げる猫のように、街灯を駆け上り、宙に逃れる。
ダイナドランの薙ぎ払いはファリンが上った街灯や近隣の建物をまとめて吹き飛ばす。尾が通り過ぎた後の町には、まるで暴風にでも晒されたかのような凄惨な光景が広がっていた。
「大丈夫、ファリン?」
「大丈夫ニャ! とんでもないパワーだけど、当たらなければ問題ないのニャ!」
ティアの傍まで避難してきたファリンが、その場でクルリと回って無事をアピールする。
「それにしてもさっきの攻撃で傷一つ付けられないニャんて……」
ファリンの猫耳と尻尾がフニャリと力なく垂れ下がる。自身の渾身の一撃だっただけに、ショックも大きいのだろう。
もともとファリンはあまり腕力が強くない。得意とする戦術も身のこなしやスピード、闇魔法を駆使して敵を翻弄するものだ。あの堅固な皮膚を貫くのは、ファリンには難しいかもしれない。
「あの硬さは確かに想像以上ね……」
ティアも一撃の威力に自信は無い。魔法矢はアウラを込めた分だけ威力も上がるが、今までの戦いでの魔力消費が大きかった。ダイナドランの後にも魔物との戦いが残っている以上、魔力を使い切るのはできれば避けたい。魔法矢の最大射出は最後の手段にすべきだろう。
「でも体の全てがあの硬度ではないはずよ」
体表の全てがあの硬度ならば、ダイナドランは身動きできないだろう。必ず攻撃の通る箇所があるはずだ。
「おそらくお腹の方はそれほどの硬さはないと思うわ。少し危険だけど、まずはそこを狙いましょう。ただし攻撃の回避を最優先に、決して深追いはしないこと」
「了解ニャ!」
お腹の部分を狙うには、ダイナドランの爪や牙の攻撃を掻い潜る必要があった。身軽なファリンがその役を担い、ティアがサポートに回る。
ミュンストルの一角に災害のような惨状を作り上げたダイナドランは、ティアとファリンを追うことも無くその場に留まっている。自身の防御に対する自信の表れか、それともティア達など敵とも思っていないのか……
「あの余裕に満ちた顔……絶対、痛い目見せてやるニャー!」
そんなダイナドランの態度にプライドを刺激されたのだろう。ファリンがウニャー! と気勢を上げてダイナドランへと迫る。
「ガアアアアアッ!」
そんなファリンを仕留めるべく、ダイナドランが大木のような腕を振り下ろす。その巨体からは想像もできないような速度で振り下ろされたそれが大地を抉る。魔導爆弾が爆破したかのような爆音と粉塵が舞い上がり、弾き飛ばされた大地の礫が散弾となって周囲に破壊の嵐を巻き起こす。巻き込まれれば十四歳の女の子の体などひとたまりもないだろう。
だが……
「そんな大振りの攻撃、食らうわけないニャ!」
ダイナドランの懐に潜り込んだファリンが、してやったりとでも言うようにニヤリと笑う。
ティアの光魔法でファリンの姿を少し後方に見せ、ダイナドランの攻撃箇所をズラす。そして振り下ろされたダイナドランの腕を、ファリンは身を屈め、速度を上げて前に進むことで回避したのだ。
「ニャアアアアッ!」
ダイナドランの腹部目掛けてファリンが鉤爪を突き立てる。ティアの想定した通り、腹部の硬度はそれほどでもなかった。右手に付いた四本の刃が突き刺さり、ダイナドランの腹部から血液が零れ落ちる。
「ガアアアアアアアアアッ!」
苦痛の叫びをあげ、ダイナドランが暴れ回る。苦痛にのたうち回っているのか、痛みの原因であるファリンを振り解こうとしているのか。
「ウニャアッ!」
突き立てた右腕一本を軸にダイナドランに振り回されるファリン。まるで風に煽られる果樹園の果実のようにファリンの体が縦横無尽に振られている。
「ガアッ!」
「ニャアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」
ダイナドランが一際大きく体を振る。その反動で鉤爪が抜けた。すっ飛ばされたファリンの鳴き声がミュンストルの町に響き渡る。
「ファリン!」
そんなファリンを先回りしていたティアが受け止める。
「うにゃぁ~……ちょっと深く刺し過ぎたにゃ~……」
本当はすぐに爪を抜いて退避するつもりだったのだろう。ファリンは少し目を回しているようだが、ケガなどは無いようだ。
「でもこれで攻撃の糸口が掴めたわ。あそこを攻撃し続ければいずれ――」
無事を確認したファリンからダイナドランへと視線を移したティアが絶句する。
ファリンにお腹を貫かれたダイナドランが地面を食べていたからだ。ミュンストルの大地に次々と穴が広がっていく。
そして、土を食べていたダイナドランの体に異変が起こった。
「まさか……傷が塞がってる?」
さきほどから血が滴り落ちていたはずの傷口からの出血が止まっていた。そして深々と刻まれたはずの傷跡がキレイさっぱりと消え失せていたのだ。
「大地のマナを摂取することで傷さえ治してしまうなんて……」
「あんなの反則ニャ~」
その光景をティアが戦慄した様子で見つめ、ファリンが嘆きの声を上げる。
一撃を当てるだけでも必死なのに、そのダメージさえも無かったことにされる。そんな状況にティアとファリンの胸に絶望感がこみ上げてくる。
ダイナドランを倒すには、回復する暇を与えないか、敵の回復を上回るだけのダメージを与えるしかない。
だが、前者の方法は二人では手数に欠ける。そして一撃の攻撃力に欠ける二人には後者の方法も困難だ。
この場に他の黒の翼の仲間が一人でもいれば状況は変わっていただろう。
素早いアルがいれば、三人がかりで手数で押し切ることもできた。
ミリルには高威力の魔導具がある。
ジェイグならばダイナドランの硬度に負けない一撃を放てる。
リオンは素早さも一撃の威力も高いので、どちらの方法も可能だろう。
別にティアとファリンの実力が彼らに劣るということではない。ただの相性の問題だ。
ティアもファリンの戦い方はどちらも技巧派だ。そのため二人の相性は良いのだが、今回のような極端な力押しの相手とは相性が悪かった。
(最優先事項は救援が来るまで時間を稼ぐこと……だけどダメージが少なければ、ダイナドランはグラフさんの方に向かってしまうかもしれない。もし他の魔物まで町に入ってきたら私達に勝ち目はないわ。何とかダイナドランを足止めしないと……)
回復を終えたダイナドランを睨みながら、ティアが思考を巡らせる。
すでにダイナドランの中で、二人は排除すべき障害と認識されたようだ。先ほどまでのように相手を待ち構えるのではなく、攻撃を仕掛けるべく敵意を剥き出しにしている。
「ファリン、少しの間だけあいつの注意を引いてくれる?」
ダイナドランの挙動から意識を逸らさないまま、ティアがファリンへと声をかける。
ファリンは不安そうな表情を浮かべながらも、再度ダイナドランへの攻撃を試みるつもりだったようだ。いつでも動き出せるように重心を低く構えていた。
「わかったニャ。あの大トカゲ、引っ搔きまわしてやるニャ」
ティアへの絶大なる信頼ゆえだろう。危険な役目を頼まれたというのに、文句を言うことも、詳細を聞くことも無く頷くファリン。ティアが具体的に何をするつもりかはわからなくても、与えられた使命は必ず達成するという決意がその表情からはっきりと窺えた。
その返事を合図に、二人が同時に動いた。
ティアは斜め後方に下がり、敵との距離を取る。
対してファリンは、ティアとは逆方向。真っ直ぐにダイナドランへと向かうのでなく、敵の注意をティアから逸らすための行動だ。
「ガアアアアアアアアアアアッ!」
ダイナドランも動いた。
その巨大な尻尾で地面を大きく薙ぎ払う。
抉られた大地の礫が、周辺に散らばっていた建物の瓦礫が、へし折られた街灯が、津波のようにファリンへと襲い掛かる。
「ニャアアアッ!」
迫りくる破壊の波を回避すべく、ファリンが傍の家屋の壁を駆け上がった。飛んでくる攻撃の全てを飛び越えることはできないが、より上空の方が波の幕は薄くなるからだ。
「ニャッ! ニャッ! ニャッ!」
空中へと飛び出したファリンの短い掛け声が連続する。
飛んできた一メートルくらいの木材を叩き落とす。
鉄でできた街灯の柱は掴んでダイナドランへと投げ返す。
大きめの岩の塊を足場に、さらに上空へと舞い上がる。
小さな礫などは雷をスパークさせた衝撃で防いだ。
星と月が輝く空でダンスを踊るように、ファリンが破壊の波をかき消していく。
だが、全ての攻撃を回避できたわけではない。防ぎきれなかった小さな石礫や家屋に使われていた釘などが、ファリンの体に無数の傷を刻んでいく。
「ニャアアアアアアアアッ!」
それでもファリンは怯まない。全ての攻撃をやり過ごし、お返しとばかりに特大の雷をダイナドランの頭に落とす。
「ガアアアッ!」
大地のマナを養分としているからか、その岩のような皮膚が弾いたのか、電流によるダメージは無い。だが落雷の衝撃は別なようで、ダイナドランの体が大きく揺らいだ。
「もう一発ニャ!」
先ほどのダイナドランの攻撃で半壊した建物の屋根に着地したファリンが、再度ダイナドランの上方に雷を発生させた。紫色のスパークが弾ける。
「ガアアアアアッ!」
だがダイナドランも大人しく同じ攻撃を受けてくれる相手ではなかった。一撃目の雷の衝撃で前のめりになったまま、ファリンに向かって猛然と突進してきた。
ちょうど頭突きをするよう体勢で迫りくるダイナドランに、ファリンは慌てずに魔法を調整。先ほど発生させた雷をダイナドランの背中目掛けて斜めに落とす。
ズガンッ! という衝撃音がダイナドランの体を揺らした。
しかし、ダイナドランは止まらない。背後からの衝撃でバランスを崩しながらも力強く地を蹴る。
「ガアアアアアアアッ!」
体長五メートルを超える巨体がファリンを押し潰さんとばかりに迫る。
それを見たファリンはダイナドランの動きを冷静に見極め、地面を蹴った。ダイナドランの巨体の横ギリギリをすれ違うよう跳び、ダイナドランの後方へと着地する。
目標を見失ったダイナドランはその勢いのまま、すでに半壊していた建物へと激突した。それでも止まらずに、奥の家屋を次々と粉砕していく。
もっとも木造の家屋にぶつかったところでダイナドランにダメージなどないのだが……
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」
ようやく止まったダイナドランが悔しそうに咆哮を上げる。二度の落雷のせいではなく、ただ敵を仕留められなかったことに怒りを覚えているのだろう。
だが、怒りに吠えるダイナドランとは裏腹に、ファリンの方にも余裕がなかった。
先ほどのような直線的な突進ならいくらでも回避が可能だ。しかし、瓦礫を使った攻撃はそう何度も避けられるものではない。今も、体中細かい傷でいっぱいなのだ。一発で動けなくなるような傷ではないが、ダメージが蓄積されればいずれ追い詰められてしまうだろう。
「ガアアッ!」
ダイナドランがファリンの状態を理解していたのかはわからない。
だが、その瞳に怒りを宿したダイナドランは、体を斜めに向け、その巨大な尾を大きく振りかぶった。
「来るなら来いニャ!」
決意の声とともに、身構えるファリン。
たとえ困難な状況でも、自分はティアを信じて時間を稼ぐだけ。
そんな想いがファリンの体に力を与えている。
そして……
その時は訪れた。
「食らいなさい!」
ティアの凛とした声が響いた。
と同時に眩い光が輝く。それはまるで夜空を流れる大きな彗星。本日最大規模の魔法矢が夜の闇を切り裂いて奔る。
ダイナドランの大きな体では、砲弾のごとき速度で迫る魔法矢を避けることはできなかった。魔力で形作られた彗星は、ダイナドランの右の後ろ足を直撃した。
爆音が轟く。
そして魔法矢の直撃を受けたダイナドランの右足は、片側半分がごっそりと抉られていた。
「グガアアアアアアアアアアアアアアッ!」
ダイナドランの咆哮が響き渡る。
片足の力を失ったダイナドランはバランスを失い、自身が積み上げた瓦礫の山へと倒れ込んだ。
五メートルを超える巨体が倒れた衝撃はかなりのものだった。大地は大きく揺れ、瓦礫や粉塵が激しく舞い上がる。それらはダイナドランの巨体さえも隠してしまうほどだった。
「ファリン!」
そんな光景を見つめていたファリンの青白い顔をした様子のティアが駆け寄ってくる。その顔は傷だらけのファリンを心配しているのだろうが、顔色の悪さは魔力の使い過ぎも原因の一つだ。正直、ファリンとしてはティアの方が心配なのだが、頑固な姉にそのことを告げても強がるだけだろう。
「傷だらけじゃない! すぐに治療するわ」
「これくらい別に平気ニャ」
魔力切れ寸前のくせに回復魔法を使おうとするティアから距離を取るファリン。回復魔法は対象者に触れなければ使えないので、ティアが諦めるまで鬼ごっこを続けるつもりだ。ご褒美のナデナデを貰えないのは残念だが、背に腹は代えられない。
「それにまだあいつの動きを封じただけニャ。早くあいつに止めを刺さニャいと」
治療から逃げ続けるファリンを静かに睨み続けるティアに、ファリンが告げる。一応、ファリン達の目的はダイナドランの足止めなのだが、仕留められるならそれに越したことは無い。
「あれだけ大きな傷なら、あいつもそう簡単に回復できないはずよ」
未だに舞い続ける粉塵の方を見つめてティアが反論する。片足の肉を半分近く吹き飛ばされた以上、起き上がることはできないだろう。もっとも、倒れている状態でも下手に暴れられたら危険なのだが。
ちなみにティアは、本当は片足を丸ごと吹き飛ばすつもりだったらしい。ダイナドランの堅固な皮膚を相手にするには、魔力の量が不十分だったようだ。
他の冒険者から見れば、魔力をかなり消費した状態であれだけの威力を出せるのは十分に凄いことなのだが……
「傷の治療はあいつに止めを刺した後でも大丈夫ニャ。それにあのおっちゃんが門を塞げば、当分魔物は入ってこれニャいんだし、ギルドでゆっくり治療すればいいニャ」
なおもファリンを追いかけるティアの手から逃げつつ、ファリンはダイナドランが倒れている場所へと駆けだす。さすがに敵を目の前にすれば、ティアもファリンを治療しようとはしないだろう。
そうしてようやく薄れてきた粉塵の中へとファリンが入っていく。
その直前の事だった。
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」
巨大な咆哮が粉塵の全てを吹き飛ばした。
そしてその中から、二本の足で立ち上がったダイナドランが姿を現したのだ。
「なん、で……」
かろうじて口から出た言葉は困惑と恐怖の色に染まっていた。
後ろからファリンを追いかけてきたティアも同じように驚愕の表情を浮かべている。
「まさか……もう回復したっていうの?」
信じられないといった様子で、ダイナドランの右足に視線を向ける。
そこには肉の大半が抉り取られたままの足がある。だが、ティアの攻撃を受けた直後よりは傷口は小さくなっている。そして今も現在進行形で回復が進んでいるのだろう。地面に開いた穴に土を入れていくように、徐々に傷口が塞がっている。
「あんな状態で立ち上がれるなんて……」
回復力も驚きだが、それ以上に片足を半分近く失った状態で立ち上がったという事実にティアは戦慄を覚えていた。数々の戦いを経験した二人が、敵を目の前にしてなお呆然としてしまうくらいに。
そしてそれは敵を目の前にした者が見せるには、あまりに致命的な隙であった。
「ガアアッ!」
短い咆哮とともに、ダイナドランがその巨大な尾を薙ぎ払う。
足のダメージがあるせいか、これまでよりも速度もパワーもかなり落ちている。それでも周囲の瓦礫を薙ぎ払い、呆然と立ち尽くしていた二人を弾き飛ばすには十分すぎるほどの威力を持っていた。
「きゃあああああ!」
「くぅ!」
巻き起こった破壊の嵐を前に、二人の少女はなすすべもなく吹き飛ばされた。数十メートル先の地面に叩きつけられ、勢いのままに地面を転がる。そうしてダイナドランから五十メートルほど飛ばされたところで、ようやくティアの体は止まった。
「う……ぁ……ファ、ファリン……」
痛みに呻きながらも、ティアがわずかに顔を上げ、妹の姿を探す。
ファリンはティアよりもダイナドランに近い位置で倒れていた。どうやら街灯の柱にぶつかったらしい。どうやら気を失っているようだ。かすかに動いているので、生きてはいるのだろう。
そのことにわずかに安堵するティア。
だが、それも束の間のこと。
「ガアアアアッ!」
凄まじい破壊の嵐を巻き起こしたばかりの敵が、ドシンドシンと地響きを上げながら、ゆっくりとこちらへ近づいてくる。
その殺意に満ちた眼光は、気を失ったままのファリンに向けられている。
ダイナドランが女帝から受けた命令は、おそらく人間の確保ではなく障害の排除だ。
ならば、障害と認識されたファリンとティアは、女帝の元へ連れ去られることなく殺されてしまうだろう。
(せめてファリンだけでも……)
痛みに軋む体に必死に力を込める。だが、地に着いた手には起き上がるだけの力さえも無い。中途半端に浮かせた上半身が、力を失い地面へと叩きつけられる。
そうしてティアがあがいている間にも、ダイナドランは愛しい妹を踏みつぶそうと歩を進めている。
「やめ、て……」
そんな光景は見たくない、とばかりにティアが最後の魔力を使って光魔法を放つ。空中に発生した光玉が、回復途中のダイナドランの傷口に直撃する。
「ガアアアアアアアアッ!」
なけなしの魔力で放たれた魔法は、すでに穿たれた傷口を痛めつけるには十分な威力があったようだ。ダイナドランが苦悶の声を上げ、その殺意をファリンからティアへと向ける。
それはティアのせめてもの抵抗だった。
どうせ二人とも殺されるなら、せめて自分が先に……
たとえ一分一秒でも、大好きな妹を守って死にたい。
ファリンの死ぬ瞬間を見たくない。
そんな最後の我儘。
そしてその目論見通り、ダイナドランは意識の失ったままのファリンを素通りし、ティアへと向かって来る。
(ゴメンね、ファリン。守ってあげられなくて)
自身へと死をもたらす存在を前にして、それでもティアの視線はファリンへと真っ直ぐに向けられていた。
(ゴメンね、ミリル、アル、ジェイグ……)
ここにはいない大切な家族の姿を思い浮かべ、謝罪の言葉を呟く。
(ゴメンね、リオン……)
そして、最後に最愛の人の名を……
(リオン……)
すでに目の前にまで迫った死の瞬間を前にして、それでもティアの心の中にはリオンの姿が映っている。
助けを求めているのではない。死への恐怖を前に最愛の人に縋ったのでもない。
ただ、その願いは一つだった。
(最後に、リオンに会いたかったな)
ティアの空色の瞳から、一筋の涙が零れ落ちた。
そして、ダイナドランの巨大な足が持ち上がる。あと一歩その足を踏み出せば、ティアの細い体など、羽虫のごとく簡単に踏みつぶされてしまうだろう。
そんな光景を前に、ティアはその名を呟いた。
「リ、オン……」
その瞬間の事だった。
何かが飛来するような風切り音。
その直後、大岩を砕いたかのような轟音が鳴り響き、ダイナドランの巨体が横に大きく傾いた。
「ガアアアアアアアアアアッ!」
突然の衝撃。片足を上げた状態だったダイナドランは、衝撃に抗うこともできないまま倒れていく。
地面に倒れたままのティアの体に、ダイナドランが倒れた際の振動が伝わった。
何が起こったかわからないまま、ティアは横倒しになったダイナドランの巨体を見つめていた。
だがすぐに、ふわりと自分の体が浮かび上がる感覚。それが自分が誰かに抱きかかえられたのだと理解するよりも早く、その声が心を埋め尽くした。
「ティア」
最愛の人の声。
その人がただ自分の名を呼んだ。
ただそれだけで、ティアの心は温かな安らぎに包まれていくのを感じていた。
ザ・王道展開ww
ベタとも言う……
けどバトル物を書くなら、一度はやりたいと思っていたのでここでやっちゃいました。
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厳しいご意見なども真摯に受け止めさせていただきます。
よろしくお願いいたします。