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絶望を越えて

本日二話目の投稿です。

 エメネア王都、商業区。

 冒険者ギルド推奨の宿、『春の木漏れ日亭』の一室にて。


「あ~つっかれた~」


 仕事帰りのオッサンみたいな声を上げて、ミリルが三つあるベッドの一つにダイブした。

 ボフンッという気の抜けた、というか布団から空気の抜ける音を響かせて、割と上質なベッドが軋む。


「ミリル? 帰ってきていきなりベッドに飛び込むのはやめなさいって、いつも言ってるでしょ」

「べっつにいいじゃない。どうせ返り血もほとんど浴びてないうえに、リオンの魔法で一通り体は洗ってんだから~」


 お母さんみたいな口調でミリルを窘めるティアと、子どもみたいな言い分で反論するミリル。枕に顔の半分を埋めて、ミリルがふさふさの尻尾をパタパタと揺らしている。


「もう……そんなことしたらファリンが真似するでしょ?」

「も~う、真似してるニャ~」


 そんな可愛らしい声とともに再び聞こえるボフンッ。ファリンが隣のベッドに軽やかにフライングダイブを決める。空中で一回転決めての華麗なダイブは、前世で見たイルカのジャンプの様だ。今のように腹から着水したら痛いでは済まないだろうが、ベッドへのダイブとしては百点満点だ。


「ファ~リ~ン~」

「んにゃ!?」


 しかしこの場の審判はティアである。審判といってもスポーツ的な意味ではなく、裁判的な意味だが。あのティアにとっては、ファリンの華麗なダイブは減点ものだ。華麗であればあるほど減点されるとは、何とも悲しい競技である。


「二人はそこに正座なさい」

「あたし疲れてるんですけど……」

「ファリンもニャ……」

「せ・い・ざ」

「「……はい」」


 猫耳と狼耳の美少女が、その耳をシュンと折り曲げ、仲良く正座する。見ている方としては実にほのぼのとした可愛い光景だが、叱られている当事者の心境としては、ほのぼのとは程遠いだろう。


(まぁすでにお約束の光景なんだけどな……)


 二人を見下ろすティアの後ろで、リオン達野郎三人がすでに定番化したやり取りを何とも言えない表情で眺めていた。


 ちなみにこの部屋は女性陣三人の部屋である。


 別に男三人は覗きをしているとか、こっそり忍び込んでいるとかではもちろんない。単に全員で宿に帰還して、真っ先に繰り広げられた光景がそれなだけだ。リオン達は部屋の外にいる。男性陣の部屋は女子部屋よりも奥なので、通りすがりに、開け放たれた部屋の入り口から中の様子が見えたのだ。


(このあとの会議は……少し開始を遅らせた方が良さそうだな……)


 ティアのお説教が始まった部屋の扉を、リオンはそっと閉じる。


 閉まり行く扉の隙間から、ミリルとファリンが目で「助けろ」と訴えてきたが、リオンはそれにドヤ顔で「頑張れ」とサムズアップを返した。


(さ~て、風呂でも入るか)


 この宿は割と高級な宿で、部屋に風呂が付いている。ティアのお説教は長くなりそうなので、男三人がのんびりと風呂に入ってから会議を始めても問題はないだろう。その分ミリルとファリンの救出は遅れるのだが、リオンもジェイグもアルもそんなことは気にも留めない。入浴の順番をジャンケン(この世界にはなかったので、リオンが教えた)で決めて、三人はいつもよりもゆっくりと入浴を楽しむのだった。






 さっぱりした男三人が女子部屋を訪ねるまで、ティアのお説教は続いていた。見兼ねたリオンが「もうそれくらいにしとけ」とティアの頭を撫でると、ピタリとお説教は終わったが。


 足をプルプルさせた獣耳少女二人から、「何故それを早くやらない!」という涙混じりの視線を頂戴したが、リオンはスッキリとした顔でそれを受け流した。


 なおリオンがスッキリしているのはただ風呂上がりなだけだ。別にリオンのS心がひょっこりと顔を出したのでは断じてない。


「で、明日からの行動だが……」


 部屋に備え付けの椅子に腰かけて、リオンが話を進めた。


 それぞれが思い思いの位置についた五人の仲間の顔を、順に眺めていく。


「まずジェイグは工房に戻って武器の整備をやってくれ。それとエメネア反乱軍に流す武器の最終点検も頼む」

「おう、任せとけ」


 部屋の入り口の扉に背を預けて立っているのはジェイグだ。座る場所がないのではなく、誰かに話が聞かれないように廊下の気配を探っているためだ。


 ジェイクは五年前よりも背も体格も大きくなり、その顔つきもより逞しさを増している。相変わらずリオンとミリルにはぞんざいな扱いを受けてはいるが、その実力は決して見かけ倒しなどではない。


「ミリルもジェイグと一緒に工房へ。反乱軍への魔導具の提供はもう十分だから、作戦用の魔導具を作成してくれ」

「りょ~かい」


 ミリルは一番入り口側のベッドに腰掛けている。


 顔つきは以前より大人っぽくなっているが、残念ながら身長はほとんど伸びていない。魔導具開発にのめり込み過ぎているせいだと、ティアが口を酸っぱくして注意していたが、多分単なる体質の問題だと思う。


「ファリンは引き続き、王城内部の調査を。それと最終作戦に向けて、魔導具の設置も頼む。ただしくれぐれも慎重にな」

「まっかせるニャー」


 その隣のベッドにはファリンがいる。正座で痺れた足をベッドに投げ出して、ウニャーと伸びをしていた。


 残念なミリルと違って、ファリンはこの五年で随分と身長が伸びた。すでにミリルを追い越し、ティアとミリルの丁度間くらいになっている。


 ちなみに五年前の時点ですでにミリルに勝っていた胸の大きさだが、今では随分と差を広げている。こちらもティアとミリルの中間くらいだ。


 ミリルは口では気にしてないと言っていたが、この前ジェイグが胸のことを口にしたら、ミリルの二丁拳銃によって華麗なバク中を決めさせられていた。それを見たリオンが、「ミリルの前で胸の話はやめよう」と固く心に誓ったのは言うまでもない。


「アルはジェイグとミリルの補佐を頼む。特にミリルの魔導具は作戦の要になる。王都内で暗殺を起こした以上、しばらくは厳戒例が出され、大門の通行はできないだろう。必要な物があれば、予定通り、工房の地下道を使って調達してくれ」

「……わかった」


 アルは閉じた窓前のスペース、備え付けの小さな観葉植物の隣に腰かけていた。


 アルもこの五年で随分大きくなったが、それでも男としては小柄な方だった。背がファリンとほとんど変わらないため、何気に対抗心を燃やしているらしい。


 ただし剣の腕は、背丈以上に大きく成長していた。訓練の相手であるリオン達も腕を上げている為、本人はあまり自覚できないようだが、その成長ぶりには目を見張るものがある。


「ティアは俺と一緒に来てくれ。反乱軍への根回しも、最終段階に入る。色々動き回るが、しっかり付いてきてほしい」

「もちろんよ。どこにだって付いて行くわ」


 リオンの隣の椅子に行儀よく座って、ティアが空を思わせるような青い目を細めた。


 ティアの見た目はそれほど変わっていない。もちろん少しは背も伸びたし、顔つきも大人っぽくなっている。だが、元々年の割に随分と大人びた容姿をしていたせいか、成長したというよりは見た目に年齢が追いついたと言う方が、表現としては正しいかもしれない。


 ちなみにファリン情報だが、胸だけは絶賛成長中らしい。


 残念ながらファリンは、この情報をリオンにもたらした直後に猛烈なブリザードに襲われ、しばらく部屋から出てこなかった。部屋の中で遭難していたのかもしれない。


 なお、ティアのリオンへの好意も相変わらずである。先のセリフもそうだが、ティアのいる位置でもそれがわかる。


 こういった会議は度々行われているのだが、ティアはほぼ毎回リオンのすぐ傍を陣取る。本人はさりげなくしているつもりなのだろうが、さすがにそれが数回も続けば誰でもわかる。


 五年前のあの日、リオンはティアに気持ちを伝えるつもりだった。


 しかし孤児院が襲われたことで、リオンはその機会を失っていた。


 リオンの気持ちもあの頃と変わってはいない。だが「全てにケリをつけるまでは自分達は先へ進むわけにいかない」と、リオンはずっとその気持ちを押し殺していた。


「四日後の夜までは今言った通りに進めてくれ。その後は一度工房に集合し、最終作戦の準備をする。この準備が終わったら証拠隠滅のために工房を破棄するから、ミリルとジェイグはそれも忘れないように。以上だが、皆の方からは何かあるか?」


 リオンが全員の顔を見回して確認する。


 特に言うことも無いようなので、リオンが締めの言葉を言って今日の会議は終了だ。


「これが最終作戦前の最後の準備期間になる。長かった俺達の戦いももうすぐ終わる。だからこそ最後まで気を抜かずに、全力で事に当たってくれ」


 全員がリオンの眼を見つめて力強く頷いた。


 あの夜から五年。


 六人全員が死に物狂いで力をつけ、ありとあらゆる準備を行ってきた。それがようやく実を結ぶのだ。今更気を抜くなどあり得ないだろう。


 会議が終わると、女性陣に「お休み」とだけ言って男三人は部屋をあとにした。すでに入浴は済ませているので、あとは軽く準備をして眠るだけだ。


「いや~それにしても今日の作戦は完璧に決まったな」


 部屋に戻ったジェイグが大きく伸びをする。体の大きなジェイグがやると、それだけでもちょっとした迫力があった。


「リオンの立てた作戦が上手くいかねぇはずがねぇけどな」

「信頼してくれるのは嬉しいが、あまり手放しに信じるのもどうかと思うぞ。絶対に失敗しない作戦なんてないんだ」


 楽天的な発言に釘をさすように、リオンがジェイグを戒める。実際、今日の作戦だって一歩間違えればどうなっていたのかわからないのだから。


「いや失敗するとしたら、それはお前の作戦のせいじゃなくて、実行する俺達に問題があるってことだ。俺達が気を抜かなきゃ大丈夫だよ」

「そこら辺は信頼してるよ。でなければ、あんな作戦はそもそも実行しない」


 今回の作戦の要は、侯爵の侍従に化けて標的の移動ルートを事前に知らせてくれたファリン、そして足止めした馬車に奇襲を仕掛けたジェイグの二人だ。


 作戦の目的は、当然ギュスターブ侯爵と護衛騎士の暗殺。


 だが、十人もの標的を一人も逃がすことなく殺すというのは、なかなかにハードルが高い。そこらの駆け出し冒険者やただの兵士ならともかく、軍のエリートでもある騎士が九人もいたのだ。いくらリオン達の実力が上がったとはいえ、簡単に倒せる相手ではない。


 また、このあとの作戦のこともあるので、こちらの情報は敵に渡すわけにはいかなかった。特にファリンの変身技術は絶対に。

 

 ゆえに、リオンが考えた作戦は奇襲。


 それも相手の度胆を抜くくらいに派手なもの。


 人間というのはどんなに警戒していたとしても、予想外の事態が起これば少なからず慌てる。冷静さを失う。それがほんの一瞬のことだったとしても、それは確かな隙となるのだ。


 その隙を突けば、たとえ相手が騎士であろうと、少なくとも四人は速やかに殺せる。レミントンはともかく、他の騎士ならば数で上回れば今のリオン達が逃すことはない。


 もしレミントンがすぐに冷静さを取り戻していれば、もう少し苦労したかもしれないが、幸いなことにレミントンは完全にリオンの策に嵌ってくれた。


 奇襲の内容はジェイグの作った特大の剣を用いて、馬車ごとギュスターブ侯爵を貫くという大がかりなもの。


 もちろんそれは簡単にできる作戦ではなかった。


 まずはファリンの潜入による、ルートの割り出しだ。侯爵の帰宅ルートは当日にならないと分からない。よって侍従に化けたファリンが、馬車に乗り込む前にルートを探り、騎士たちに気付かれないようにリオン達にその情報を渡した。


 そこから速やかに奇襲ポイントを決定し待ち伏せを行うのだが、この奇襲ポイントの選定にも障害があった。


 貴族街というのは、文字通り貴族の邸宅が並んでいるわけで、そこには当然警備の人間がいる。防衛魔術を施している家も多いが、それでもどの邸宅にも必ず門番がいるのだ。それは深夜であっても変わらない。


 また、貴族街は他の場所と違って魔術灯が多い。待ち伏せに早めに気付かれてルートを変えられたり、奇襲の為の仕掛けを事前に見破られたりする可能性もあった。


 ゆえに、人目と魔導灯の少ない場所を事前に調べておき、当日に知らされたルートの中から最適な場所を選ぶ必要があったのだ。


 そして、いざ作戦本番。


 リオンが姿を晒すことで、所定のポイントに馬車を足止めすることに成功。


 ここまでくれば作戦は最終段階だ。


 もっとも重要なジェイグの奇襲。その成功の秘訣はあの規格外の大きさの剣にあった。


 侯爵が乗っていた馬車はそのほとんどがミスリルで作られており、防御魔術の効果もあって、その強度はかなりのものだった。どんなに大きかろうと、並の剣では貫くことはおろか傷を付けることさえできない。


 ミスリルの値段や希少性を考えれば、あれだけの大きさの剣を全てミスリルで作るのは不可能。魔鉄でなら作れるが、それでは強度が足りず、剣が折れてしまうだろう。ミスリル合金でも少し難しい。失敗は許されないので、確実に馬車を貫ける保証がなければ別の方法を探すしかなかった。


 そんな状況を解決したのが、硬度の違う金属を組み合わせることで細くても折れない剣を作り出した日本刀の構造だ。


 最も切れ味を必要とする切っ先の刃鉄はがねのみをミスリルにし、皮鉄かわがねを硬度の高い魔鉄、芯鉄しんがねを柔軟性の高い魔鉄にすることで『折れず・曲がらず・貫ける』巨剣を実現したのだ。

 

 とはいえ、さすがにあれだけの重量が生み出す衝撃を完全に殺しきることはできなかったようで、刀身にはヒビが入ってしまった。もともと一度だけ使えればよかったので、別に問題はなかったが。


 なお、あの大きさの剣を人目に付かずに運ぶという問題は、ティアの光魔法で剣に当たる光を捻じ曲げることでどうにかなった。長時間は使えないが、夜間で人通りは多くない中を移動するだけなら簡単だ。


 あとは、馬車が来るまでにポイントのマナ全てに干渉し、特大の風の魔法でジェイグを馬車の上空に飛ばせば奇襲は完了する。騎士を全滅させてしまえば、剣の回収も容易だった。


 ちなみにリオンは囮役で魔法は使えなかったので、ジェイグを飛ばした風魔法はアルが行った。


 アルの適性は第一が風、第二が火だ。


「アルも良くやってくれた。お前の魔法があったから、ジェイグもあの奇襲を成功させられたんだ」

「確かになぁ。あれをミスってたら、見当違いの方向に跳んで行ったり、馬車の中にいたファリンごとぶった切ってたかもしれねえな」

「物騒なこと言うな、バカが。第一、それはアルの魔法どうこうよりも、お前の腕の問題だろう」


 ケラケラと笑うジェイグの頭を容赦なくぶん殴るリオン。


 だが、話題に上がっているアルからは一向に反応が返ってこなかった。


「アル?」


 アルの様子を不思議に思ったリオンが声をかける。アルは考え込むような表情で俯いたままベッドに腰掛けていた。


「……ん? ああ、ゴメン、聞いてなかった。何の話だっけ?」

「……どうした? 何か気になることでもあるのか?」

「いやぁ、ちょっと眠かっただけ」


 誤魔化すように笑いながら、アルが頭の後ろをボリボリと掻く。その拍子に茶色い癖っ毛の束が指の隙間からピョコンと跳ねた。


「なら、早く寝るといい。もし疲れが残るようなら、明日は無理せず休んでも構わない」

「オレだけ何もしないわけにはいかないっしょ」

「最終作戦も近いんだ。無理をして、当日に支障をきたすのが一番困るんだぞ?」

「だいじょ~ぶだって。リオンってば、ティア姉の心配性がうつっちゃったんじゃないの~?」


 両手を頭の後ろで組んだアルが、ニヤニヤとからかってくる。


 以前は恋だの愛だのよりも、剣と食い気といった感じだったのに、最近はこういった方面での成長も著しい。あの純粋だった少年はどこへ行ってしまったのか……


「まぁあれだけベッタリ一緒にいれば、うつってもしゃあねえな」


 アルの軽口にジェイグも厭らしい笑みを浮かべて便乗する。


 だが、当然そんな風にからかわれれば、あのリオンが大人しくしているはずもなく――


「ほう……ところで明日から三日間、お前達はミリルと一緒になるわけだが……」


 ニヤリと口の端を吊り上げた嗜虐的な笑みを浮かべ、だがその赤い瞳に確かな怒りを宿して二人を睥睨する。


 リオンの表情と、何よりも不穏なその発言を聞いた二人は仲良くピシリと固まった。さっきまでのニヤニヤとした笑みから、一転まるで目の前に悪魔が現れたかのような表情へと変わってしまった。その頬からはタラタラと冷や汗が流れ落ちる。


「……おい、まさか」

「いや~オレ、やっぱり明日は休もうかなぁ……」

「いや、そんなに元気なら、ジェイグとアルは明日からミリルの魔導具の実験に協力してもらおう」

「「汚ねえぞこの野郎!」」

「そんなに興奮しなくても、ちゃんとミリルには伝えておくから安心しろよ」

「無理だって! 死ぬ! 死んじゃう!」

「作戦前に味方の実験で死ぬとか笑えねぇからな!」


 切羽詰まった表情で許しを請う二人に、満足気な顔のリオン。


 それは子どもの頃からずっと繰り返してきた、他愛もないじゃれ合い。


 だが、そこにはまだ少しだけぎこちなさが残っている。


 さっきの女子三人のやり取りもそうだが、こういった昔のようなじゃれ合いも、ここ二、三年くらいでようやくできるようになった。


 あの事件のあとは随分とふさぎ込んでいた六人も、五年も経てばある程度は元気になるものだ。心の傷も時間と仲間の存在が少しずつ癒してくれている。


 それでも心に巣食った怒りや悲しみ、憎しみなんかが消えたわけではない。


 あの日の光景を夢に見ることだってある。

 

 そして皆がどんなに笑っていても、やはりその笑顔にはどこか影を感じてしまう。


(やはりこの復讐を終わらせない限り……この気持ちにケリを着けない限り、俺達はきっと心から笑うことはできないんだろうな……)


 いつものドタバタを終えたリオンは、一瞬だけ窓の外の空に目を向けた。


 五年前のあの日と同じ、満点の星空だった。


(何としてもやり遂げてみせる。そして全員で生き残るんだ)


 異世界の空に、リオンはもう一度誓った。


 仲間全員の目的と、そしてリオンの願いを果たすために……


五年の月日を経て、成長したリオン君達。

奇襲が成功したとはいえ、十人近い騎士をあっさりと屠るくらいに強くなってます。

が、騎士を相手に無双するのはもう少し先です。


次回からは話を進めながらも、仲間の一人一人の心情を描いていきます。

最初は猫耳の彼女です。

投稿は明日の22時です。

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[気になる点] ~ 五年前のあの日と同じ、満点の星空だった。 満点→満天 でしょうか。
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