プロローグ、相談者
0「プロローグ、相談者」
公立会談高校。三階の一室には七不思議部と書かれた表札が一際目立っていた。一人の女子生徒はその勧誘のポスターを無視し、部室の中へと入っていった。中には部長と書かれた表札の置いてある机に足を乗せ、アイマスクをしながらいびきをかき眠っている男がいるだけだった。部室の中はまるで接待室の様にテーブルを囲み、いかにも高級そうなソファーが並べられていた。後ろから声がしたのは、彼を起すべきなのかを考えている所だった。
「彼方、入部希望者?」
後ろを振り返るとこれでもかとばかりに難しそうな本を両手一杯に持っている少女が佇んでいた。彼女は持っている本の横から顔を出し言った。
「入りなよ。ほら、其処のソファーで座った座った。今、何か飲み物入れるから。」
満面の笑みを見せられ、今までの緊張の二文字はもう無いだろう。言われたとうりに、女子生徒はソファーに座った。それを見た彼女もニコッと笑い持っている本をアイマスクの男が足を上げ寝ている机にドンと音を立てておいた。
「大体こいつは、私にこんな本探させておきながら、のん気にいびきまでまでかいちゃって。」
そう言うと寝ている男のしているアイマスクを引っ張り、勢いをつけ放した。パチン!大きな音を立ててアイマスクは元の位置へと戻ったが男はまるで起きる気配が無かった。
「もう。」
「駄目駄目、そいつを起すのはちょいとしたコツがいるんだよ。」
そう言いながら今度は眼鏡の男が部室へと入って来た。彼はおもむろに寝ている男に近づき耳元でそっと囁いた。
「おい、早く起きないとアニメ始めるぞ・・・。」
ピクと体が一瞬動きアイマスクの男は目覚めた。
「なに〜!!早く録画しないと、って!真っ暗だぞ。何も見えない、まだ夢の中かぁ〜!?セーブポイントにたどり着いた途端のバグはキツイ〜!!」
あたふたした彼のアイマスクを眼鏡の男が無理やり取り外した。寝癖が目立つ髪形は言うまでも無いだろう。
「分けの分からん事言うな、ほらお客さんだぞ。」
この時初めてこの女子生徒はこのアイマスクの男と目が合った。あ!っと何かを思い出した様に彼はゆっくりとその女子生徒の前のソファーに座った。全くと、呟き彼を起した眼鏡の男も腕を組みアイマスクの男の横に佇んでいた。ハイどうぞっと目の前にコーヒーを置き、彼女も今まで寝ていたアイマスクの男の横に座りこんだ。
「で、用件は?あ!分かっていると思いますがここでは冗談は通じませんよ・・・。」
「はい・・・。」
そして、その女子生徒は静かに話を始めた。