始まりの物語
ハロー!作者です!
作者まだまだ小学生で、
「まじつまんない」「ここがやだ」
などと色々思うところもあると思いますが、どうぞ暖かい目で見守って下さい
ここは、魔法や剣などを振り回しても何も言われないという夢にまで見た異世界である。
この世界には、『風の国』,『火の国』,『雷の国』,『水の国』,『草の国』、そしてずいぶん偉そうな名前の『神の国』という国々がそれぞれ土地を支配している。
そんなファンタジー感ありありな国のひとつ、風の国は、お祝いムードに包まれていた。
「国王様、おめでとうございます!」
「男の子ですか?女の子ですか?」
「今日は宴じゃ~~~!」
そう、勘のいい人も悪い人もお察しのように、国王と妃の間にとうとう子供ができたのだ。
「皆のもの、温かい祝福を感謝する。子供は無事に生まれた。女の子だ!」
「国王様に女の子!?」
「実にめでたい!」
歓声が一段と大きくなる。それを自分は冷静に振る舞おうといつものクールな表情を保とうとしているが、口元がニヤついている国王様が右手を挙げて制した。国民が静まったところで国王は続けた。
「しかもただの子ではない!生まれた子供の体に、ないと思ったのだが、国の規則だからな、膨大な魔力を自由に引き出せる「印」が、あるかどうか、探して見たのだ。そしたら……。
あったのだ!我が子にっ!王家の中でも少ししかいない、いや、本当に存在するのかさえ疑わしい、それでいて素晴らしい効果をもっている証の印があったのだ!我が娘の体にっ!」
いくらなんでも喜び過ぎだろう。
そう、思うかもしれない。だが、この反応が普通なのだ。そう、この国民のように………。
「「「し、印があるだとっ!!」」」
「「「これで我が風の国は永遠に栄えるわ!!!」」」
………と、国王の前で無様にも叫んだり、嬉しすぎて失神したりするのも何らおかしくないのだ。
「今から名前を発表する。」
シーンと皆が静まった。これからの国の未来、いや、世界すら変えるかもしれない赤ん坊の名を、誰も一言も聞き漏らしたくないに違いない。
国王は静かに口を開いた。
「我々の国の第一王女の名前はリリー、そう名付ける。
今日は大変めでたい日だ。王宮で宴を開くとしよう。本日は特別、一般人の入廷を許可する。今日という一日を、楽しもうではないか。」
そう言うとどっと歓声が溢れ、我先にと王宮へ人がなだれ込んだ。
こうして将来、絶対的な力と富、権力を手にすると約束された子供、リリーが誕生したのだった。
「お妃様、心境はいかがですか?」
「男の子と女の子、本当はどちらが良かったのですか?」
「リリー、と名付けた理由をお教えください。」
「リリー王女様をこの先、どのようなお方に育てる方針ですか?」
王宮の宴は本日限り身分問わず入れるので、記者やインタビューマンなんかで王妃様の周りは大変混雑していました。出産後でとてもお疲れの王妃様は質問にたいして「えぇ」「はぁ」「そうですね。」といった曖昧な返事をするのが精一杯だった。
それを見かねた国王は、
「妃は疲れている。質問は10日以降だ。」
と言い、記者やインタビューマンなどを一旦下がらせました。
「ありがとう、あなた。助かりましたわ。」
銀色の髪に吸い込まれそうなほど美しい同じく銀色の瞳をした、息を飲むほど美しい王妃が言いました。
「いや、疲れている君を気遣うのは当然さ。」
にっこりと女神のごとき笑みを浮かべた王妃の顔を見て、ちょっと照れた国王がいった。
「国王様……。これから末長く宜しくお願いいたします。」
「もちろん。こちらこそ、ペカーラ王妃……」
二人は誓いのキスをし……なかった。
なぜなら……
「て、敵襲!首に六角形の金ぱくネックレスをつけていることから、恐らく、神の国からの刺客、それも幹部が送られてきた様子!皆さん、早急に避難を開始してく……」
という恐ろしい放送が大音量で流れてきたからだ。
放送が不自然に終わったのは偶然ではない。殺られたのだ。その刺客に。ということは、もう、城内に侵入して…
「キャァァアアアアアッ!!」
国王の嫌な予感は見事的中し、放送係に続き、何の罪もない国民が犠牲になった。
「アーーーーーッハハハハハ!!マジやば!!風の国、防衛緩すぎるんだけどっ!!マジ間抜けぇ~~、ウケるんだけどぉ~~!!」
と言いながら、恐らく、神の国から送られてきた刺客が出てきた。
「こんなに緩いと、泥棒さんが遊びに来ちゃうよぉ~~♪なんつって*」
とことんふざけた刺客にイライラするが、勝負は冷静さを失っては負けだ、といい聞かせ、自分の国よりも明らかに強く、おまけに物資も多い神の国の刺客に望みのものを渡す算段をつけながら、
「お前が来たということは、我々風の国に要求があるのだろう?お前の国の望みはなんだ?」
と、聞いた。すると、刺客からは背筋の氷るようなことをさらっと口走った。
「きゃはははは!!欲しいもの、なんだと思う?あぁ、答えなくていいよ、頭の中までスカスカ過ぎて、風が吹く君達に多くを求めるのはよくないよ。
それはね、今生まれたばかりのくそゴリラ国の第一王女、リリー、だっけ?
まぁ、そんな感じのやつの命を頂くことさ♪」
これを聞くと国王は焦った。焦りながらもこう訴えた国王を称賛するべきだろう。
「ま、待て、待ってくれ!お願いだ、生まれたばかりの大事な娘なんだ!物資でも、土地でも何でもやる。お願いだ……」
刺客の女………今まで混乱し過ぎて気づいていなかったが、かなりの美人だった。女は美しい、しかし氷のように冷たい笑みをうかべながら、
「い*や*よ* こんな糞ランクの物資も、少ししかない土地も、この町のオラウータンどもも、使い捨てにもならないから要らないわ。なにより、若い芽は早めに摘んでおかないと、ね♪」
そういうと、それ以上は問答無用だとでも言うように、この場に似合わぬキャキャと笑い声を響かせていた赤ちゃんのリリーに刺客の女は目に見えないほど速く近づくと、リリーを殺すために長剣を取りだし「死ね」と、呟いた。
誰も速すぎて反応できないはずだった。だが、違ったようだ。そう……。王妃が、あの出産後で疲れていた王妃が、リリーのかわりに長剣を喰らったのだった。
リリーは、一時的だが助かった。しかしぺカーラ、と呼ばれたあの純白王妃はもうすっかり紅に染まっていた。
「あら、チンパンジーにも、自分の考えを実行する脳みそがあったのね。」と呟きながら、再び長剣を降り下ろした。が、リリーに剣が突き刺さることはなかった。代わりに……
『カキィィィイイイイン』
刀を弾く音が響いた。長剣を弾いたのは………
「私の名はモルガナ。風の国、防衛団体、隊長。王妃を殺した罪、償ってもらう……」
風の国の中でもベスト3に入るほどの腕効き魔女、モルガナだった。
モルガナは刺客女を殺ろうとしたが、国王はそれを止めた
「大王様……?何故ですか?」
モルガナはいつものようにクールで冷静だったが、その目には、凄まじい怒りが込められていた。国王はこう言った。
「モルガナ!王妃はもう助からない!だったら復讐するために力を行使するのではなく、残った人を守るために使え!モルガナ!だから……だから、モルガナは刺客女を倒すより前に、リリーを……リリーを、助けてくれぇ!」国王の必死さが伝わったのか、モルガナは刺客女の耳元で「お前はいつか滅びる……」と言うと、リリーを連れて逃げた。
「絶対……誰も、届かない所へ」
モルガナは王家に伝わる呪文を唱えた。
「空間と時空の神よ
我を時の狭間へ招きいれ
空間という名の世界へ飛ばせ
アイタキラス」
こうしてモルガナとリリーは科学も魔法も大して発達していない、異世界へと旅立つのであった。
あと作者、飽きっぽいのと最近忙しいのとで更新するのがいつかは分かりません。
気長に待とうぜ