突入
「お、にやけた顔で朝帰り。何かいいことでもあったな?」
隆弘は上機嫌に言う。
「ええ、ありました。安藤さんもうれしそうですね。」
「え、あ、まあな。」
朝から二人でテンションが高い。部屋に漂う香水の匂い。どうやら、隆弘にも彼女ができたようだ。しかも、家に入れたらしい。
そろそろ俺も家探さないとな…。
「そういえば、この水。どうやって作るんだ?」
冷蔵庫の中の瓶を取り出して言った。
「かくかくしかじか…。」
真は説明をした。
「なるほど。」
二人のフォンが鳴った。
「宮城、安藤、仲野、急いで来てくれ。ウェポンを持って来い。」
三人限定か。浜中に関してだな。
そう踏んだ真はシャープペンとメモ帳とポリ袋数枚を持った。ワープして警察署前に行くと仲野課長が立っていた。フォンの相手は高田課長だったが、待っているのは仲野課長だった。すでに梓はそこにいた。
「来たか。今、高田は動けないから私から説明する。研究所に入っていって欲しい。毒ガスのことは高田から聞いている。中和ガスだ。」
何のガスか分からないのにどうやって作ったのだろう?
彼らは仲野課長からボンベを手渡された。
「では、頼んだぞ。」
「はい。」
仲野課長の言葉に三人が答える。三人が行こうとすると真だけ呼び止められた。
「宮城。梓のこと頼んだぞ。」
「はい。」
仲野課長はいたずらっぽく笑った。真もそれに応じて笑った。
今度は奥に進まなければならないようだ。それにしてもここの臭いは酷い。醜悪なる臭いが三人の鼻をつんざく。白骨死体の山が三人を出迎える。
今となってみれば分かることだがここにある死体の大半は彼が殺した人々だ。最初に来たときは気付かなかったが床に茶色い物がしみ込んでいる。このあたりの話を聞いた梓は複雑な表情を浮かべる。愛する人がここで人を殺したのだから。
「真君。大丈夫?」
梓は真に気づかう。それに真も梓を気づかう。
「大丈夫。」
隆弘は中和ガスを使った。そして、奥へと踏み込む。
「苦しくなったらすぐに引き返してきて下さいよ。」
「大丈夫だ。中和成功した。」
「そうですか。なら行きましょう。」
奥へ進むとドアがあった。
「ウェポンを構えろ。開けるぞ。」
隆弘が言った。三人はレーザーウェポンを起動し剣を召喚した。それを確認した隆弘はそろりとドアを開ける。
「はっ!実験対象が戻ってきたぞ!捕えろ。」
研究者の一人が叫んだ。レーザーウェポンを持った機械が転送されてきた。
「みんな、俺から離れろ!」
真は叫んだ。
「どうして?」
隆弘が言う。
「俺が対象だからだ!」
「だったら戦わせろ!」
隆弘も叫び返す。
「真君は実験らせない!実験らせたくない!」
梓も叫んだ。
「へッ。悪いな。行くぞ。」
真は突っ込んでいった。それに続いて二人も突っ込む。大乱闘だ。真は本能が指示するままに動いた。体が自然と動く、反応する。
もう、迷わない。梓も隆弘もいてくれる。ここは生き抜こう。
「真君ーーー!」
梓は叫んだ。敵は真に集中する。夢で見たときよりも数は圧倒的に多い。外側から二人が攻撃してくれるとはいえ数がなかなか減らない。彼の息が切れてきた。
「くそッ。システムが押されてる!?」
研究員が呟いた。
システム?なら、どこかに制御する物があるはずだ。
体が咄嗟に動き出す。上に飛び上がって機械たちを踏みつけ研究員の手元の機械を破壊した。すると機械兵たちはいっせいに動きを止めた。
「はははは…。強くしすぎたなあ…。」
研究員は乾いた笑い声をあげる。
「あなたは何者ですか?」
真は聞いた。
「君を実験し続けた研究員の末裔だよ。」




