告白
「梓。起きろ。遅刻するぞ。」
真が目を覚ますと梓は彼にもたれかかって無防備な表情で寝ていた。多分五時、真は梓を気づかって早めに起こす。しかし、起きない。気が付いたら梓は真の腕に絡み付いて離れなかった。
有給休暇取ろうかな…。
しかし、ここからではフォンが通じない。どうしたものか。と、梓が目を覚ました。
「宮城君。あ、ゴメン。」
「気にするな。梓、休暇取るけど一緒にどう?」
我ながら変なことを誘ってるな…。やるな、俺…。しかも、「遅刻するぞ」なんて言っておきながら。
「うん。」
梓は笑って言う。
行き当たりばったりの休暇でないはずの休みができた。
「どこか行く?それともここで過ごす?」
柵を越えて戻ってきた真が聞いた。
「ここ。」
梓は迷わず答えた。どういうわけか梓はここが気に入ったようだ。普通の人が寄りもしないところだ。
「ねえ。お墓参りしていい?」
梓は突然言い出した。
「え?どこの?」
「宮城家の。」
昨日の呟きからすると嫁入り宣言?
梓はいろいろ普通ではなかった。異常なまでの好奇心、アンパンへの執着心、奇想天外な発想、人懐っこさ、今までのことを思い出せば思い出すほど変なところがあった。しかし、彼はそんな梓に惚れていた。
「ああ。こっちだ。」
親にも梓の顔は見せておくか。
彼は迷わない足取りで案内した。
「何回か来てるの?」
「ああ。何回も来てる。誰も管理してないし、見つからないから。」
嘘を交えつつ答えた。
「宮城家乃墓」と書かれた墓石を真はハンカチで拭いた。その間に梓は墓誌を眺めていたが、彼女は目を疑った。「宮城真」と書かれていた。
「み、宮城君…。これ…。」
梓は声を震わせて言った。もう隠しきれないし、隠していても二〇一二年には帰れない。そんな気がしていた。
「俺だ、二百十年前の。」
「二百十年…?」
梓は泣きそうな顔をしている。仕方がない。
「梓が嫌いで言うわけじゃない。それに俺は死んでない。だろ?」
「うん。」
梓は泣きそうな顔が少し和らいだ。
「俺、二百十年前のここに住んでた。…」
ここまでのことのすべてを打ち明けた。あの夢のことも、そこから推測されることも。
「ありがとう。全部話してくれて。」
全部話し終わると梓は笑顔で言った。切り替えの早さに少々戸惑った。が、その笑顔を見て真は話してよかったと心底思った。気が楽になった。これで隠す必要がなくなった。
「帰りたいとか思わないの?」
梓は興味本位で聞いた。
「人は過去には帰れない。それに梓を置いては行けないよ。」
それが真が長い夢を見ながら出した答えだった。梓の声を聴いたときに出た答えだった。
「え?」
梓は鈍いのかなかなか気づかない様子。仕方がない、単刀直入に言おう。
「好きだ!」
勢いに任せて少々声が大きくなった。梓の顔も真の顔も紅潮している。
「あたしも!」
梓は彼の勢いをそのまま返すかのように抱きつく。真も抱きしめる。




