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二二二二年  作者: 多堕野 吾圃
真実
18/22

調査後

 清水に帰った真はメモ帳に書いたことすべてをフォンに書き写した。夜、帰ってきてすぐ始めたが終わったのは朝方だった。一週間のうち一日丸々無駄にしてしまったが、得たものはかなり大きかった、警察にとっても、彼にとっても。もう寝ることもできないので、テキトーに朝ごはんを作った。久しぶりにアンパンじゃないのもを食べた気がした。白飯とみそ汁とあとは何やらいろいろ。

「ん、おはよう。」

 起きてきた隆弘は冷蔵庫を開け水を取り出した。夕べに消毒薬を飛ばしておいたものだ。

「ふーん。お前、料理できたんだ。」

「はい。不味くないものは作れます。」

「この水を使ってか?」

 隆弘は瓶の水を訝しげに光に透かす。

「どうですか?それ。俺はうまいと思うんですが…。」

「味気ない気がするんだが…。どうして水道水じゃダメなんだ?」

「俺の家がそうだったからです。」

 隆弘の質問に答えた彼は焦っていた。思わず口が滑りそうになっていたからだ。

「ふーん。」


「課長。報告書です。」

 彼は課長の机にデータチップを置いた。

 彼はただのチップが「報告書」と言う事に少々疑問を抱いていた。が、そんなことを誰にも聞けないので心の片隅からも掃き捨てる。

「お、ご苦労。大丈夫か?行った先で寝込んだと聞いたが…。」

 なんて部下思いな上司なんだこの人は。

 彼は感激していた。ここにも彼を心配してくれる人がいたことに。

「いえ。大丈夫です。なんともありません。」


 お昼時、久しぶりにそばを食べようと行きつけの蕎麦屋喜兵衛に行った。やはりここの掛け蕎麦はおいしかった。さすが老舗。伝統的な味がする。彼は聞いてみた。

「ここではどんな水を使っているのですか?」

「お、好いこと訊くね、坊や。」

 !俺って坊やですか!?

 十八になって坊やと呼ばれるとは思ってもみなかった。それを知らずに店主は続ける。

「このあたりに清水湖ってあるだろ?そこに流れ込む上流の川の水を使っているんだが、遠くてね…。最近じゃいちいち店を閉めないと汲みに行けないんだ。はぁ。」

 店主はため息をもらす。ここもやはり水道水は使っていなかった。彼は過去のことをしみじみと思い返す。

 そういえば前の店主も天然水を使ってるって言ってたか…。


 昼食が終わり町の見回りをしているとフォンに連絡が入った。課長からだった。ただし、捜査一課の課長だった。

 清水署に戻って捜査一課の課長と面談をした。捜査一課の課長、仲野有紀。

「あ、うちの仲野とは血縁関係はないからな。」

 とは言ったものの、年齢的には梓の父親でもおかしくなかった。仲野有紀は白髪が目立ち、薄くもなっていたが、体はしまっていて筋肉質だった。

「さて、本題にはいらせてもらう。仲野梓がなぜそっちに行ったか分かるか?」

 何か不思議な質問だった。捜査一課の課長が自分の部下を心配するのは分かるがなぜ、違う課の人に聞くのだろうか。

「いえ。全く…わかりません。」

「そうか。今日彼女は来てないんだが一度訪ねてくれないか?上司が行くより君が行った方がいいだろう。」

 本当は父親なんじゃないか?

 彼はそう勘ぐった。いくら無断欠勤とはいえ心配しすぎだ。

「あなたはいい娘さんをお持ちですね。」

「ああ。自慢のむす…!」

 ああ。やっぱり?

 彼はいたずらな笑みを浮かべながら課長室を出た。

「では、行ってまいります。」

「ちょ、ちょっとま、て。行ってしまったか。あいつ、なかなか鋭い。調査に抜擢されたことはある。」

 仲野課長は口元を緩めた。

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