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黄金樹の瞳  作者: エディ
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「お前の眼は目立つからこれをかぶっておけ」


 ルートニックが勝ってくれたのは、フード付きのロープだった。


「えー、かっこ悪いよこれ。どうせ買うなら、あっちのが言いな」

「ダメだ。高いから」

「ケチ」

「ケチじゃなくて、俺の今の手持ちじゃ仕方ないんだ。

 もともと1人旅のはずだったからな」

「ムー、そうやってルートニックは、いつもお金お金って言ってる」

「仕方ないだろ!本当にヤバいんだから」



 お金お金と言う、ルートニックにアルは不満だ。

 街に着いてから、宿の部屋をとり、ロープを買ってもらった。

 だが、そのたびにルートニックはお金と口にしては、なるべく安く済ませようとしている。

 宿の部屋なんて、雨漏りがするオンボロの部屋という有様。

 アルに買ったロープにしても、黒い色のものすごく地味な色をしていた。それで生地が頑丈ならまだしも、すぐに破れてしまいそうな、薄い布でできていた。


「ルートニックって、貧乏だね」

「貧乏いうな!

 ……今から昼飯にするけど、何ならお前は俺が食うのを見てるだけでもいいんだぜ」

「えっ!ごはん。もしかして、お店で食べるの?」

「そうだとも。せっかくの街なんだ。

 ちゃんとした飯を食わないと、やってられないだろ」

「そうだよね。

 僕たちって3日間歩き続けたけど、食べたのって塩辛い干し肉だけだもの」


 ルートニックが旅の野宿のために携帯していた干し肉はひどく辛い。おいしくないわけではないが、いつも同じなので2人ともとっくに飽きている。

 それに、もともとがルートニック1人分しか用意していなかったので、万属のいく量を食べることもできなかった。

 大人のルートニックにとっても空腹はつらい。だが、成長盛りのアルには、空腹はもっとこらえた。


「俺は貧乏だから、アルの分はなしだな」

「ひっ、ひどいよそんなの!

 ルートニック、お金持ちだね。

 うん、絶対にすごいお金持ちだよ。

 だから、僕にもごはんちょうだい!」

「お前調子がいいよな」

「お腹が空いてるんだ、早く行こうよ。

 あっ、あそこのお店から、いい臭いがするよ!」


 おいしい臭いにつられて、駆けて行くアル。手を振りながら、早くルートニックに、来て来てと呼んでいる。


「ま、お子様だからな」


 そういい、アルの少年らしい健気な姿に、思わず笑みがこぼれる。


「だが、この店はダメだぞ。

 絶対に高いから」


 しかし、アルに追いついたルートニックの第一声はこれだ。


「えー、でもお腹が空いて倒れそうだよー」

「ダーメダ。

 あっちの店にするぞ」

「……ねえ、ルートニック。本気なの」

「もちろん本気だぞ」


 ルートニックが指さす店は、どう見ても三流の料理しか出さない店だ。それも、安くてまずくて、量だけはあるという感じの。


「ルートニックのケチ」

「じゃ、アルの分は……」

「わああっ!

 今のは冗談だよ

 わーい、ご飯だご飯だ!」

「よろしい。子供は素直が一番だ」


 ご飯で子供心をつるルートニックだった。

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