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黄金樹の瞳  作者: エディ
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24 青の天蓋の城

24 青の天蓋の城



 ―――ガラガラガラガラ


 身だしなみを整えた一向を乗せた馬車が、宮廷へと走っている。


 馬車に乗ったアルは、帝都の珍しい光景に目をうじ割れて、先ほどから窓の外わ食い入るように見続けている。

 時に、大声をあげたり、馬車にいるラーベラムたちに「すごいゆ、すごいよ」と歓声を上げていた。


「子供って奴は、元気がいいな」

 と、ルートニックは感心する。


 一方、同じ馬車に乗る、ラーベラムはさきほどから何やら黙り込んで一言も話す様子がなかい。

「まさか、お前緊張してるんじゃないよな」

「ハアッ、そんなわけないだろう?」

 と、ラーベラムは返す。


「だよな、お前がそういう玉じゃないってのは、ここ数日でもうわかってるからな」

 と、ルートニックはわけしりに行った。


 ルートニック達と出会ってから、この帝都に来るまでに数日の旅程だ。、その間に、ルートニックはラーベラムの性格がある程度わかってきたのだ。

 始めは、兵士相手に喧嘩を吹っ掛けるようなバカだと思った。実際、今でもその評価は変わらないが、見た目ほどバカではないことも分かってきていた。


(正直、この俺にもこの男が玉に何を考えているのかよく分からん)

 巡察士として、各地を回ってきたルートニックである。

 巡察士は各地の官僚たちの横暴などを暴くほかに、市井の噂や情報の収集なども行っている。

 今までに様々な人間を見てきたルートニックは、人の心を見抜くことに自信があった。

 とはいえ、そのルートニックの眼力をもってしても、ラーベラムは理解できない部分がある。

 表面は単純そうな男なのに、時として理解できない深みを見せる。


(まあ、誰の心の中でって見通せるはずがないからな)


 それが、結局ルートニックの行きつく考えになった。

 とはいえ、心を見通すと思った時に、自然と彼の視線はアルの方を向いた。


(この少年の左目は今は青い色をしている。

 だが、たしかに金色の目をしていた……)


 もしも伝説の黄金樹であるならば、人の心の中をすべて見通せるはずなのだから。



 とはいえ、そのことはルートニックにもまだ確信がもてない。


「遺憾な、考えても仕方のないことだな」


 と、ルートニックは頭を降って、さまざまに浮かび上がる考えを一新した。

 そして、気晴らしに、目の前のラーベラムに話しかける。


「だが、驚いたぞ。

 お前この前はボコボコニされてたのに、よくこの短い間に顔が元に戻ったな」

 兵士たちとの喧嘩から数日。腫れあがっていたラーベラムの顔は、その後急激な回復力を見せていた。

 まだ若干殴られた跡が残ってはいるものの、あのときに比べれば彼の顔はほとんど元通りだった。


「昔から、回復力はあるんでね」

「そうか、まるで獣のような回復力だな」

「ま、そう言われても仕方がないかもな」


 と、ルートニックの言葉をラーベラムは素直に受け入れた。


(まあ、俺は人間でないからな)


 それが、ラーベラムの驚異的な回復力の秘密だ。




 その後、一行を乗せた馬車は宮廷の門を超えた。


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