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黄金樹の瞳  作者: エディ
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 兵士たちへの暴力行為はあったものの、ルートニックが巡察士としての権力をもちだした、兵士たちはグウの音も出さずに、ラーベラムを釈放にした。


「わー、ルートニックってすごく偉いんだね」

 と、アルは関心の声を上げる。

「まったくだ。巡察士さまさまだな」

 と、ラーベラムも同調して見せた。


「ラーベラム、お前がアルの兄だと分かった。

 だから、釈放してやったんだぞ」

「ああ、今度兵士と喧嘩するときは、確実に勝てるように喧嘩する」

「……お前、今すぐ牢屋に戻してやろうか?」

「ただの冗談だよ。そんなに怖い顔するなよ」

「……お前とは知り合ったばかりだが、全然冗談に聞こえないぞ」

「ハハハ」

「……」


 笑ってごまかすラーベラムだ。

(こいつ、絶対また同じことをしでかすな)

 だが、笑うラーベラムに、ルートニックは全く反省の色を見てなかった。



「ところでお前たちには、俺と一緒に帝都まできてもらうぞ」

「帝都?

 どうして、あんなところに?」


 帝都と言う言葉に、ラーベラムが反応する。


「すごーい。

 帝都って言えば普通の人がいけない場所だってお父さんが言ってたよ。

 すごく偉い人でないと、いけない場所なんでしょう?」

「そうだな……さすがは巡察士様だ」


 ラーベラムが、嫌味たっぷりに言う。

 リューシャン帝国の帝都は、貴族と宮廷につかえる官僚以外には住むことが許されていない。

 だが、ルートニックの身分である巡察士は、皇帝の直属であるため、帝都への出入りの許可とともに、帝都内に住宅を持つ権利が与えられているのだ。

「ジュンサツシ……偉いんだね、ルートニック」

「言いかお前ら、巡察士はあくまでも密偵のようなもんだ。

 あんまりその名前を連発するんじゃない」

「わかった、ルートニック」

「ヘイヘイ、分かりましたよ、巡察士様」


 わざと巡察士と呼ぶラーベラムだが、ルートニックは視線を飛ばして警告するが、ラーベラムは適当に受け流した。


「それより、ルートニックのおっさん。

 どうして俺達が、帝都に行かないといけいなんだ?

 俺たち兄弟は、帝都にいく用事もなければ、身分だって違う」

「お前の弟は、間違いなく黄金の瞳をもっていた。

 兵士たちが見た頃には、すでに青い目になっていたが、街の人間から、黄金の色の目をしていた少年がいたとの情報を得ている。

 つまり、目の色が戻る前のアルのことだな」


(チッ、このおっさんそんなところにまで調べたのか?)


 ルートニックの手際の良さに、舌打ちするラーベラム。


「だが、どうやらラーベラムはアルの目が黄金の色をしていたことは知らないみたいだな」

「知らないも何も、そんなバカな話があるわけないだろう」

「お前が知っていてトボケているのか、あるいは本当に知らないのかは関係ない。

 いずれにしても、帝都までは同行してもらうからな」

「……」

「僕、帝都を見てみたいよ、兄さん」


 ラーベラムは、帝都に行きたくなどないのだが、生憎アルの方は違った。

 生まれてこの方、辺境の村しか知らなかったアルは、今までに様々な場所を旅してきたことが嬉しかった。

 そして、大きな街や、帝都の姿も見てみたい。

 少年の心には、強烈な好奇心が宿っているのだ。


「……まあ、アルがそんなに言うなら、帝都の姿を拝んでみるか」


 あまり乗り気な様子でないラーベラム。

 しかし、彼が同意したことで、アルが青い瞳を輝かせる。


「よーし、そうときまれば、目指すは帝都だ!

 エイエイ、オー」


 一人元気に腕を振り上げて、アルは嬉しさから駆け始める。


「ほら、2人とも早くしないと置いてくよー」


 駆けるアルは、あとから歩いてついてくる2人に手を振りながら、「はやくはやく」と促す。


「あせらなくても、帝都は逃げないから安心しろ」

 と、ルートニックは苦笑する。

「前見て歩けよ、でないと……」


 ―――ドテッ


 アルがこけた。



「手遅れか」


 仕方のない奴だと思うラーベラム。だが、アルはすぐに元気よく立ち上がると、再び駆けながら2人の前を走っていくのだった。











「……おっと、残念だが、まだ今回の話は終わってないぞ」


 ―――ギュッ


 ラーベラムは歩いていると、近くを歩いていた太った男の首に、手をまわして捕まえた。


「グエエッ、な、何をする!」

 突然の捕まってしまった男が声を上げる。

「アントン、お前俺の顔を見忘れたのか?」


 だが、そんなことはお構いなしのラーベラムだ。にやりと笑いを浮かべる。


「顔だと、そんな腫れた顔の男なんて……」

「そうだった……

 殴られまくったから、仕方がないか。

 だが、声で分かるだろう?」

「……まさか、ラーベラムか?」

「そのとおり」

「ゲエェェー!!!

 お前から逃げられたと思って、安心していたのに!!

 そんな、そんな!

 バカなことが!!!」

「おいおい、俺とお前の仲なのに、怯えるなよ。

 それよりアントン、よかったな。

 俺たちこれから、帝都に行くことになったんだが、お前ももちろんついてくるよな。

 なんたって、帝都はこの国一の金持ちが集まるんだ。

 商人だったら一度は目指さないとな」


「い、イヤだー!

 誰がお前となんか行くか!

 お前のせいで俺は破産寸前に……」

 と、心の中では強烈に叫びたいアントンだが、小心者の彼には、そこまで叫ぶ勇気がない。



「オッサン、こいつ俺の知り合いなんだけど、帝都まで連れて行ってもいいよな?」

「ん?

 まあ、1人ぐらい増えても問題あるまい」


 あっさりとルートニックから同意を取り付けるラーベラム。



(だ、誰か―!

 俺をこの男から助けてくれー)

 そう、心の中で叫び声をあげるアントンだが、彼の心の声は誰にも聞こえるはずがなかった。

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