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淡きレテの果て〜世界を駆け巡る忘却少女の冒険譚〜  作者: 雪道 蒼細
1章 始まりの旅

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4/20

4話 魔法

今月は毎日更新で行こうと思います。結末は決めてあるのでぶつ切りにはならないと思います。よろしくお願いします。

誤字修正2026,1,24

 「なんの音!?‥ごめんシア、話はまた後で!騒ぎのした方へ行ってみよ!」

 「あ。‥あぁ」


 ピスはそう言って騒ぎのした方へ走っていった。

 俺はその背中を追いかけることもなく見つめていた。

           

 (…そうだ。今のピスは何も知らないんだ。巻き込んだのは俺。‥本当に守りたいなら俺は。‥違う選択をすべきだったんじゃないのか‥?)


 なのに俺はピスを離さなかった。離すべきだったのに。


 (俺は‥俺は…)


 俺は自分の拳を握りしめピスの背中を眺めた。

 彼女の過去の姿と重ねながら。

 

 * * * *


 爆発音のした方へ向かってみれば、一つの建物が半壊し炎が上がっていた。

 建物からある程度離れているのに、焦げ臭いにおいがする。

 周りに野次馬が多くいるせいで中の状況は分からない。


 (早く火を消さなくちゃ。いや‥それよりも怪我人がいないか確かめた方がいいかも…)


 どちらを優先するべきか悩んでいると、ラチャに声を掛けられた。


 『ピスさん、少し壁になってくれませんか?魔法を発動したいんです。あとできればあの野次馬に建物から離れるように言ってください』

 「え?あ。うん‥分かった!」


 メルロが先程とは違いとても真剣な表情をしていたので私は頷いた。

 私は言われた通りメルロの前に立ち、野次馬になっている人たちからメルロが見えないように壁になった。

 きっとメルロなりの策があるのだろう。なら初心者の私はそれに従うべきだ。

 

 「半壊した建物の近くにいるみなさーん!危ないので離れてください!その建物は全壊する危険性があります!」


 そう私は叫ぶ。だが数名の野次馬が建物から遠のいただけで、他の野次馬はなかなか建物から離れようとしない。

 聞こえていないのだろうか?


 「はーなーれーてくださーい!十秒以内に離れないと殴りますよー!?」


 もう一度私が大声で叫べば、群衆は驚いた顔をしつつも素直に応じて半壊した建物から離れてくれた。

 脅しというものはこういう時有効らしい。


 『ありがとうございますピスさん。…【食べる魔法セイヴァー】!』

 

 メルロが直径二十センチほどの赤い杖を取り出し半壊した建物へ向ける。

 すると白い球体がどこからか現れ一瞬で炎を飲み込んだ。

 野次馬もは何も言わずにその光景を見ていた。

 

 「…!すごい炎が…消えた」


 建物は半壊したままだが、炎が消えたおかげで中にいた人がいるなら救出することが可能になった。


 (これが魔法‥!初めて見たけどすごい!一瞬で炎が消えて‥)

 

 初めて奇跡のようなものを見たからか私は少しばかり興奮していた。

 奇跡を魔法使いたちは起こせるのだ。

 興奮のあまり私はメルロに抱き着こうと後ろを振り返った。だがメルロは顔色を悪くし、地面にへたり込んでいた。

 

 「っ…‥はぁっ‥はぁっ‥」


 喉に手を当てている。とても苦しそうだ。ほんの少しだが先程よりメルロの顔が赤い気がする。


 「メルロ!?苦しいの‥!?ねぇラチャ!どうしたらいいの?すごくメルロ辛そう」


 私はメルロを地面に寝かせラチャを見る。

 だが焦る私とは違いラチャはとても落ち着いていた。メルロを一番に考えるラチャならこういう時一番焦りそうなのに。

 もしかしたら前にも同じようなことがあったのだろうか。


 『あーメルロの魔法【食べる魔法】はメルロが遠隔操作している白い球体に取り込みたい物体を取り込ませ、メルロに転移させるってものなんだ。白い球体に取り込んじゃえばどんな物でも魔力に変換されるからそんなに影響はないが炎だとなぁ。水もそうだが、固体じゃないと上手く魔力に変換されないみたいで、時々こうなる。死にはしないよ‥辛いけど』

 「そうなの!?じゃあ今メルロ炎を取り込んだって感じなの!?‥えっ!?メルロ生きてる!?大丈夫!?」


 私はラチャの説明を聞き青ざめる。魔法使いなのだから人間よりかは丈夫だろうが、炎を取り込めるものなのだろうか。

 私の慌て具合に逆に冷静になったのか、メルロは少しはにかむ。

 

 『‥ピスさん大丈夫ですよ。固体じゃなくても、一応白い球体を通しているので炎を直接取り込んでいるわけではないですし。少し熱いなって感じなので。それより、あちらの対立している群衆の仲介をした方がいいと思います。私は大丈夫ですから』


 そうメルロが指を先には二つの群衆が対立していた。


 「そっちがこの教会を爆発させたんじゃないのかい!?」

 「…」

 「ーっ!どうなんだよ!幸い死者は出ていないが、怪我人は出たんだぞ!?魔法で沈火したからってチャラにはなんねーぞ!」

 

 一方的に片方の群衆が怒鳴っている。もう片方の群衆はその様子を黙って見てた。

 一部の者が杖を持っているところを見るに話してない方の群衆は魔法使いなのだろう。 

 一人で仲裁するにもこのままでは群衆の声に押しつぶされてしまう。

 どう仲裁しようかと考えていると、視界の端にこちらへ歩いてくるカシアを捕らえた。


 「‥あ。シア!もう来るのが遅いんだからっ!あの群衆の仲裁するから手伝って!」


 私はゆっくりと歩いてきたカシアにそう叫ぶ。

 

 「あぁ分かった。‥あ。メルロ、これ火傷に効く薬だ。飲めば痛みが和らぐと思う」


 そう言って地面に横たわるメルロに小瓶を手渡す。

 

 『わぁ!ありがとうございますカシアさん』


 メルロは嬉しそうにその小瓶を受け取った。


 (あーいうのさりげなくできるのカッコいいなぁ。私も今度薬持ち歩こうかな)


 少しばかりカシアに嫉妬するピスなのであった。


 * * * *


 群衆の揉め事は私たちが仲裁することで事なきを得た。(二時間ほどかかったが‥)

 人間側は私が。魔法使い側はカシアが受け持ってくれ、意外とすんなり話し合うことができた。

 すごい相手側《魔法使い》の愚痴を聞かされたが‥。

 まぁ魔法使い側は意思疎通がかなり大変だったとカシアが言っていたのでそれよりはマシかもしれないが‥(どうやら絵に描いてもらって必死に言葉を理解しようとしていたらしい)

 

 (やれやれ。疲れたぜ。まだ依頼内容も聞いて無いってのに‥)


 そう。ここに来たのはいいが、肝心の依頼内容を私は聞かされていないのだ。

 さっきの揉め事を仲裁するが依頼ではない‥と思う。

 依頼内容を聞かされてなければ動きたいのに動けない。


 ‥ということなので揉め事の仲裁をした後、私達はカシアから依頼内容を確認した。


 「今回の依頼内容は、フィディスを取り込んだ魔犬を討伐してほしいというモノなんだが‥」

 「‥え?犬なの‥?討伐内容。犬なんてさっきの対立の話の中に出てきてなかった気もしたんだけど…いや少しは出てたかもしんないような‥?|


 メルロとラチャも私の意見に賛同してか頷く。

 それもそうだ。だって私的には人間と魔法使いの間でフィディス関連の事件‥的なものだと予想していたのだから。


 「まぁとにかく犬なんだ。それに人と魔法使いの対立はよくあることだ。依頼主は人間だから魔法使いが魔犬を使って街から人間を追い出そうとしてるとでも思ったんだろう。フィディスを魔犬が取り込んだのは偶然か必然かは知らないがな」


 そう冷たくカシアは言った。

 

 (うーん。そうなればさっきの人間側の主張は理解できるかも)

 

 ‥そう先程の人間が私に対して言っていた《愚痴っていた》ことなのだが「魔法使いが俺達を追い出そうとしてる」「魔法使いはフィディスを取り込ませた魔犬を使って私達を食い殺すつもりよ!」「もうこの街はお終いだ‥!」などと言っていたのだ。

 この話を聞くまではピンとこなかったのだが依頼内容を聞いた後では何となく伝えたかったことが分かってきた。


 「‥それなら俺も魔法使いたちから情報を貰った。「人間たちが何か勘違いをしている」「魔犬は私たちは飼っていない」「フィディスがそもそもこの街に存在しているのかもよくわからない」などなんだが‥」


 カシアが少しばかり考えそう言った。

 

 (人間側からはフィディスの話あんまり出てこなかったけど、魔法使い側からはフィディスの話出たん‥あれ?)


 そこまで考えふと疑問が浮かぶ。


 「…ねぇちょっと質問なんだけど」

 「なんだ?」

 

 私は挙手をし三人を見る。

 そう。私はとても大事なことを聞いていなかった。


 「ねぇ。どうやってフィディスを取り込んだって分かるの?」

 

 ‥そうフィディスは石だから発見することはできるだろうが、取り込んだフィディスは発見することが可能なのだろうか。それも依頼者は一般人‥普通分からないと思うのだが‥。普通のではないのだろうか。


 「あ、そう言えばフィディスの話を簡単にしかしてなかったな‥すまない。フィディスを取り込んだものは手足の爪が青色に変わるんだ。そして瞳が宝石眼になる。だからそのような人物や動物を見たら依頼して解決してもらうという考えが世界で浸透しているんだ」

 『そうそう!だから依頼されたらこうやって回収に回るんです。フィディスは取り込まなきゃ多分危険じゃないので。まぁ飲み込まなくてもフィディスを受け入れちゃえば取り込めちゃうから、扱いは難しいんですが‥』


 多分危険じゃないとは‥!?と心の中で叫んでしまった。医者の時と言い多分は信用ならない。

 まだ分かっていないことが多いとのことなのでメルロ自身もあまり分かっていないのだろうが。

 だが納得はした。手足の爪が青色、瞳が宝石眼に変わるのならかなり目立つだろう。

 

 (ん?でも治療にも使うんじゃなかったっけ‥?)


 そのような人も変わってしまうのだろうか。


 「ねぇ。治療の人はどうなの?病を治した人も手足の爪が変わっちゃうの?」

 「いや。変わっていない。これは俺の持論だが、受け入れる人の感情が作用するんじゃないか?詳しく知りたければ今度研究施設を覗けばいい。詳しい話が聞ける。実を言うとそこまでの情報は俺達に降りてこないんだ‥」

 『そーだよね。私もよくは知らない。それにフィディスを長期間体に留めていてもいいのかも分からないし。まぁこれだけは私たちも分かるけどさ‥悪意を持ってフィディスを取り込めば最初の数日は凄い力を手に入れるけど、そのうち力が暴走して自分が死に至る‥ね。そうならないようにこの術を相手に貼り付けてフィディスを吐き出させる』


 そうラチャは言ってメルロが直径十センチほどの正方形の紙を私に見せてきた。

 正方形の中には転移陣に書かれていたような陣が書かれている。

 私にはよく分からないが、異物を体内から吐き出させる効果があるんだろう。


 (けどこの紙を貼るのも弱ってるときしかできないだろうし‥それに相手を殺すのも駄目だろうし…)


 意外とこの職大変だな。そう思った瞬間だった。

 ーー血の匂いがしたのは。


ちなみにメルロの声を代弁するラチャですが、代弁する際かなりの候補から口調を絞ったそうです。


 テイク1


 「俺の名前はメルロだぜ。よろしく‥痛っ!だめのかよ‥」


 テイク2


 「あたいの名はメルロ。良い子にしないと食っちまうぞ‥ごめんって」


 テイク3

 

 「あっちの名はメルロ。あんたの心を‥痛い痛い。分かった違うのだな‥!」 


 :

 :

 :

 テイク138


 「私の名前はメルロ。よろしくおねがいします。・・どうだ‥!やった!これだな!」


 ‥と言う風に決まったとか決まらないとか‥そのため基本的に敬語で話すラチャはメルロの声を代弁している状態です。

 * *

 フィディスを見つけたら「夜鳩」に通報という形で世間ではなってます。

 (厳密に言うと夜鳩のまとめ役?のような存在)

          ・・

 夜鳩は制服が一応。一応存在しており、制服についているバッジをつけることで認識を阻害できます。

 ちなみにツァイトとピス以外はバッジを服のどこかにつけています。

 (※制服は誰一人として来ていません。理由は単純。制服のセンスが壊滅的だから)

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