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淡きレテの果て〜世界を駆け巡る忘却少女の冒険譚〜  作者: 雪道 蒼細
3章

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5話 救援がとても欲しい第五パーティー

 次回の投稿は3月1日になります。


 「ジュラシュッドから悪魔が出てきたぞ!!皆逃げろっ!」

 「でも逃げるってどこに!?ここには他の街にあるようなシェルターが無いんだぞ!」

 

 天種としての力を全開にし、見た目も悪魔になったアザーが世界最古の遺跡(ジュラシュッド)から出てきたことに、街の人達が気が付きパニックになっていた。

 

 「ーーっピス!…結界を張ってくれ!やり方は精霊に聞けばわかるはずだ!」

 「わ、分かった!…でもそれより、カシアは大丈夫なの!?傷だらけだよ!」

 「…俺は大丈夫だ。まだ動ける。だからツァイト。アザーを止めるのに協力してくれ。こうなった経緯は後で話す」


 カシアはそう言って立ち上がる。

 ツァイトも立ち上がりつつ大剣を取り出した。

 

 「ふー。了解じゃ。さてアザーは…」


 ツァイトがそう言いながら空を見上げたので私もつられて空を見る。

 アザーは笑いながら辺りを見渡している。

 次の標的(ターゲット)でも探しているのだろうか。


 (…よしっ。アザーが次の攻撃を仕掛ける前に、結界を張らなくちゃ)


 私はそう思い、ラピスラズリに声を掛ける。前回は会話をする前に寝られたので、今回は寝られないように先に用件を言おうと思った。


 (ラピスラズリ!…結界を張りたいの。お願い力を貸して!)

 (…)


 返事がない。やや早口で言ったが聞き取れただろうか。

 すぐに返事が無いことに焦り、私はもう一回用件を言おうとした。がそれよりも前に返事が来た。


 (結界…ですか?…できなくはないですが…マスターの体が耐えられるかどうか…)

 (それでもいい!私の体が…そうだな…死なないならいいよ!私は夜鳩の一員。今回はフィディスの脅威じゃないけど、危険から一般人を守らなきゃ!)


 たとえ人々の記憶から忘れられようとも。栄光と共に語られなかろうとも。

 力がある限り、私は誰かを守りたい。

 カシアもメルロもラチャもアザーも…そしてきっとツァイトも。みんな命がけで戦っている。なら仲間の私も同じく命がけで、全ての力を使い戦うべき…それがこれまでの依頼を通して私が思ったことだ。


 (…そうですか…ではマスター?口頭では伝えるのが難しいので、少しマスターの体をわたくしに貸してくださいませんか?見て覚えていただくのが一番かと…)

 (うん。いいよ!)


 よく分からないが、私は即答した。

 今は一刻を争う。ラピスラズリが結界を張ってくれるのなら、アザーの攻撃からも恐らく街の人達を守れるだろう。

 

 (ーーでは)


 ラピスラズリが短くそう言った後…体の力が抜け、視界が一瞬ぐにゃりと歪んだ。

 そのせいか気持ち悪くなり、口元を押さえようとした…したのだ。だが何かおかしい。


 (え…?か、体が動いてない。というか意識と連動してない!??なんで!!?)


 訳が分からず心の中で私は思いっきり叫ぶ。

 すると、私の声で返事があった。 


 「あ。マスター?聞こえてますか?えー理由はですね。わたくしがマスターの体を乗っ取っているからですわ。先程許可を取りましたよね?」


 ラピスラズリはそう言うと右手を真上にあげる。

 ーー確かに許可はとっていた。ただ「体を貸す」という行為が良く分からないかったのだ。

 

 (まぁいいけどさ…)


 やや不貞腐れつつ、見える景色を観察する。

 すると視界の端にチラチラと髪の毛が映る。 

 銀髪に毛先が青色。これは私の髪だ。恐らくだが精霊術を使用するから体が精霊化しているのだろう。

 

 (だけど自分の姿をこうやって見るのって変な感じ…あ


 そうこうしているうちに、ラピスラズリが結界を発動した。

 指先から火花が散り、光が天へ舞い上がっていく。

 「バーン」ーーとラピスラズリが言えば光が八方向へ散っていき地へ落ちていく。

 そして落ちた光が繋がり、半ドームの形をした、ガラスのように透明な結界が張られた。

 キラキラと輝き隙間が無い。さすがラピスラズリだ。


 (綺麗な結界だね!すごいよラピスラズリ…うわぁっ!)


 急に体の所有権を戻されたからか、私はめまいがした。

 せめて一言声を掛けてから、体を返してほしかった。

 

 そうラピスラズリに文句を言おうとした時だった。


 「…っぐ…っ…」


 急に頭痛が襲ってきた。だがそれはいつもの頭痛よりも痛かった。

 頭を何回も殴られたかのような…ガンガンと頭の中に響く。

 そのせいで立っていられず私は地面へ座り込む。頭を押さえても頭痛は止まない。

 それと同時に体中が鈍器で殴られ、蹴られたよう激痛が来た。


 「いっ…っ…」


 すぐには終わらずずっと痛みは私を襲う。


 痛みからか涙が一滴零れ落ちる。

 どうにかしてこの激痛から逃げたいが、治し方も知らない。

 

 体が精霊術に耐えられなかったのだろうか。


 (…これも…もしかしたら私が精霊種じゃないから…?で…でも結界は張れた。これで街の人は大丈夫のはず…)


 そうだ。死ぬわけではない。これで街の人を守れるなら安いものだ。

 私はそう自分を励まし、空を見る。空にはアザー相手にカシアとツァイトが戦っている。


 (…アザー。ちゃんと元のアザーに戻ってね…そして戻ったら、また一緒にカシアに悪戯して怒られようよ)


 * * * *


 「ーっはぁっ!」


 俺は薙刀を持ち、宙に浮いている

 アザーへと攻撃を仕掛ける。


 だが傷はつけられたものの

 アザーの上場に変化が無かった。


 というか身体が固すぎて

 刃が奥に入らなかったのだ。


 (防御面で優れてるのは天使

  のはずだが…。なんで悪魔

  なのにこんなにも体が硬いんだ?)


 疑問を持つがそれらを考えている

 時間は無い。


 俺が薙刀を振るった、そのすぐ後。

 アザーが俺に向かって爪を振り降ろす。

 

 ーーすぐに対処しようとしたが

 それよりも先にツァイトが剣でアザーの

 攻撃を防ぐ。


 「っ」


 そして大剣を思いっきりアザー

 の胴体に振り下ろす。


 アザーは大剣を受け止め

 ツァイトを蹴り飛ばす。


 そしてアザーは結界に向けて攻撃を

 仕掛けようと取り出したサーベルを思いっきり

 振り下ろそうとする。


 「待てっ!」


 それを急ぎ俺は止める。

 何回…何十回と恋劇を

 して、アザーを結界から遠ざけようと

 試みるが、いつもに増して

 力が強いからか、現状維持が精一杯だ。

 

 それにどんどん攻防を繰り返す

 うちに傷が増えてきた。


 元々右腕をあのフードの者に

 攻撃されたのもあり、

 上手く動かない。


 それに今までアザーと

 遺跡内で戦ってきた

 疲労も蓄積してかいつもなら

 避けられるはずの攻撃も避けれず

 攻撃を食らってしまっていた。


 ツァイトも攻撃を繰り返しているが

 変わらない。

 

 (こっちのアザーの時

  ツァイトが数十分戦えば

  いつもツァイトが勝つはずなのに)


 それほどまでにアザーが強いのか

 それとも…


 「っ。はぁっ」


 俺は勢いよくアザーに

 薙刀を突き刺す。

 するとアザーの体から血が

 ポタポタと流れる。


 (…っ。せめて気絶させられればと

  思っていたが、手加減していれば

  こちらがやられる)


 そう思い俺は薙刀を捻る。

 それと同時にアザーから苦痛の

 声が漏れる。


 (ごめんアザー…っ)


 俺は心の中で謝る。

 そしてツァイトも攻撃を

 アザーに仕掛ける。


 先程ピスが地面に座り込んで

 頭を押さえていた。

 きっと精霊術の反動なのだろう。

 

 だからこそ早くこの戦い

 を終わらせなければならない。

 

 精霊術は本人の意識がないと

 術が維持されない。

 だからピスが痛みで気を失えば

 この結界は壊れてしまうのだ。


 (それに早くピスにはこの場を

  離れさせたい。なんでここにいるのかも

  分からないし…)


 もしかしたら夜鳩で何かを

 知ったのだろうか。

 だがピスには知られたくない。もし

 知ってしまったら苦しい過去も

 思い出してしまうかもしれない。


 (あの過去は…ピスには背負わせ

  られない…)


 だから思い出させるわけにはいかない。

 ここにピスをいさせるわけには

 いかない。


 (だからアザー!早く…早く戻っくれ!)


 何故こんなことになったのか。

 どうしたらアザーを戻せるのか。


 もう考えすぎること

 が多くて嫌になる。

 

 そんな雑念が入ったせいか

 俺はアザーからやや気が

 逸れていた。


 「…!ぐはっ!」


 アザーの目が見開き

 ニヤリと笑ったかと思えば、

 地震に突き刺さった薙刀を

 深く差し、反対側に

 突き出たた刃先に俺を突き刺した。


 腹に思いっきり突き刺さり服に

 血が滲む。


 「っ…」


 そして俺の顔が歪んだ

 のを確認して、アザーは

 薙刀を抜き、薙刀と共に

 俺を投げ捨てた。


 無論重力に逆らえるはずが無いので

 俺に体は真っ逆さまに落下していく。


 ツァイトは俺に構わず攻撃を

 続けるが、少しの隙があだとなり

 遠くへ吹き飛ばされる。


 邪魔者がいなくなったからか

 アザーは笑いながら

 結界を破壊していく。


 その光景を見て、止めようと動くが

 俺は落下した地面から動けずにいた。

 

 (背中が痛い…受け身をあん

  ま取れなかったから…)


 息も荒く、整えることができない。

 

 (立て。立て。立て立て立て

  立て…カシア!!)


 このままでは街の住民を

 危険にさらす。


 (俺がアザーをこの街へ

  連れてきたんだ。責任は

  俺にある。俺がここで

  やられてどうする!!)


 その思うまま、少しずつ体を動かす。

 そしてやっと立つことができた。


 そう思ったと同時に


 バリン


 という嫌な音が聞こえた。


 空を見上げればピスの張った

 結界がバラバラに砕け散っていた。


 「…嘘だろ…」


 * * * *


 (俺…どうなったんだっけ…?)


 記憶が朧気だ。よく思い出せない。…これではまるで記憶喪失のピスみたいではないか。

 

 (でも…本当に何があったんだ…ん…でもまだ眠い)

 

 このまま寝てあの夢の続きを見ていたい。あの幸せな夢の続きを…


 (だって夢の中じゃ…幸せな気持ちでいられんだもん‥‥)


 俺の育ての親のような存在の「兄」と過ごした時の記憶。

 これは俺にとって宝物の記憶だ。


 そう思いあともう少しで覚醒しそうだった俺の意識はまた夢へと引きずり込まれた。

 

 あの幸せな夢の続きを見るために。

 

 全種族大戦があった名残からシェルターはどこにでもあるんですが、この街は全種族大戦があった時ですら他種族同士の仲が良かったためシェルターがありません。

 助け合いの精神で生きていて数年前までは竜種が生きていたこともあり他種族からの攻撃対象にはなりませんでした。


 * *

 ラピスラズリがすぐさまピスに体の所有権を返したのは、精霊術の反動の痛みを体験したくなかったからです。ピスとラピスラズリは仲が悪いわけではないのですが、ラピスラズリが、ピスの体(自分の依代)が壊れなきゃ(死ななきゃ)いいやという考えの元に行動しているので、やや薄情な感じになってます。(まぁ精霊ですしね。人間のような感情はないこともないですが鈍いです)

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