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淡きレテの果て〜世界を駆け巡る忘却少女の冒険譚〜  作者: 雪道 蒼細
3章

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4話 大罪人の息子の烙印

27日に投稿予定です


 「ーー見つけた。大罪人の息子…」

 「…っ!」


 脈打つ鼓動が早くなる。

 大罪人の息子。その烙印は夜鳩へ入社したときに消えたものだと思っていたのに。


 「…俺をどうするつもりだ?…もし俺だけが目当てならこいつは見逃せ」

 

 そう相手に言い放ち、カシアを俺の後ろに隠す。

 

 大罪人の息子という烙印は俺が幼いころから押されたモノだ。

 俺の父と母は多くの一般人を殺し、色々な物を盗んでいた大罪人。俺はそんな二人の間にたまたまできてしまった子供。

 そのせいかほぼ放置され育った。

 親の顔もまともに知らずに生きていた静かな日々。

 だが八歳の時にそれは変わった。

 一人で過ごしていた家に警官がやって来て俺を牢に入れた。

 警官らの話を聞けば、俺の両親は盗みに入った場所でしくじり、警官らの手によって殺されたらしい。

 そのすぐ後。大罪人の息子というだけで俺も殺す手はずだったらしい。

 だが別の囚人の処刑もあったため、日数を先送りにされた。


 だが先送りにされても死ぬものは死ぬんだ。俺はここで警官に殺されるーー


 ーーだが殺されなかった。

 俺が処刑される日。たまたま牢獄付近で人間と天種の争いがあったらしく、その流れ弾で牢獄の一部が破壊された。

 

 おかげで俺は牢獄から逃げ出すことができ、色々あって今に至る。


 (だから…その看守らが追って来てるかもとは思っていたが…いや…追手なのか?)


 どっからか情報を嗅ぎつけて俺を見つけたのだろうが、追手なら話をせずにすぐに俺を殺すはずだ。殺さないということはもしやなにか別の目的があるのではないだろうか。


 「…何が目的なんだ? 」

 「…目的は…お前の中にいるお前だよ」

 「は…ーーっ!」


 そう敵は言い放ち、横にいたもう一人の仲間が杖を掲げる。

 不気味に杖の先端の宝石が赤く光り出す。


 (なんだ?…何かが…体の中で……。引き出されるような感覚)


 段々と気が遠くなり力が抜けていく。この感覚は天種の力を全力で出した時。人格が入れ替わるときのような。


 (…?カシアはあっちの俺に負けねぇ。じゃあ何なんだ?あっちの俺の何を求めているんだ?)


 俺は分からず意識を失った。


 * * * *


 「アザー!」


 俺は地面へ倒れたアザーへ声を掛けるが返事はない。

 

 (…先程の光…俺には影響が無かった。何なんだ?いつものアザーでは目的が達成できないのか?)

 

 だがそんなことはどうでもいい。

 気を失ったアザーをこの敵から守らねばならない。

 俺は薙刀を持つ力を強くして、敵を見る。


 すると敵は微笑みアザーを指さした。


 「私たちの目的は、その男の持つ神器だ。小僧そこをどけ」

 「神器?」

 

 ーー神器。世界に三つの三存在する、神々より授かったとされるモノ。

 それを手にし、自身の魂と神器を結ぶことで神になることができる…と言われている。


 (二三一年前に西の地の国から神器が盗まれ行方が分かっていなかったが)


 それがアザーの中にあるのだろうか。

 三つのうち一つは南の地の国で保管されている。そして先ほど言ったのが一つ。もう一つはこの世界のどこかに隠されている…と言われていて今も探している最中だ。


 (…この人達は神器が欲しいのか?ーー俺も詳しくは知らないが何に使うんだ?)


 そう考えていたら、一瞬にして目の前に来た男に蹴り飛ばされた。

 急だったため、攻撃をモロに食らった。

 先程の腕の傷が地味に痛む。


 「ーーっ!はぁ!」


 だがアザーを守るため、アザーから離れるわけにはいかない。

 俺は締めへ着地すると、すぐに地面を蹴り薙刀を敵に振るう。

 だが敵は隙を見せず、俺の攻撃を全て防ぐ。大勢を変えるが、結果は変わらない。

 

 その間にももう一人の敵がアザーへ手を伸ばしていた。

 

 (っ!アザーせめて目を開けてくれ!あっちのアザーでもいいから…逃げてくれ!)


 そう願うが、アザーの目は開かない。

 

 「くっ…はぁっ!ーーぐはっ」


 アザーのことを考えていたせいか、敵に隙を与えてしまい足を何か刃物のようなもので斬られ地面へと突き付けられた。

 すぐに起き上がろうとするが敵が俺の首に武器を当て、胴体を押さえつけていたため起き上がることはできなかった。


 「やれ」

 

 俺を押さえつけた敵はそう言い放ち、もう一人の敵は頷く。

 そして杖を再び掲げれば、アザーの体は光、何かが光に包まれ出てきた。


 (あれが…神器) 


 神器と思われしきものは、盾のような形をしていて宝石などの華美なものは着いていないものの、柄が掘ってあり綺麗だった。

 そして敵が神器を持つと光は消えた。


 「やはり。ここに隠していたか…。もう帰るぞ、あとは…好きにさせればいい。ここで暴れてもらった方が動きやすいしな」

 「あっ!ちょっと待て…!


 だが俺がそう叫ぶ頃には敵はその場にいなかった。

 

 「…よく…分からないが…とりあえず管理官に連絡を…っ!?ア…アザー!?」


 夜鳩の管理官に状況を説明せねばと思いスマホを取り出したのだが、その瞬間スマホは地面にたたきつけられていた。

 画面は割れたのか、破片が地面へ散らばっている。


 そして横には先程神器を奪われ横たわっていたはずのアザー。

 いつもの元気さはなく不気味に笑っていた。


 「…ふっ…あはははははっ」

 「…っ!?…アザー!」


 アザーが大声で笑い出したかと思えば、爪を俺に振り下ろしてきた。

 急ぎ薙刀で防ぐが、いつもよりも心なしか力が強いような気がした。


 (こいつ…あっちのアザーなんだろうが様子がおかしい。いつもよりも…力が増している?)

 

 いつもは俺の方が優勢なのだが今日は逆だ。

 戦って間もないのに押されている。俺が怪我しているのもあるだろうが、それでもおかしい。


 (もしかして…神器がアザーの力を押さえていたのか?)


 「あ」


 だがそうこうしているうちに、アザーはどんどん遺跡内を破壊していっていた。

 天井ばかり攻撃し、壊していく。恐らく地上へ出るつもりなのだろう。


 (まずい…市街地へ出られたら俺一人では対処できない…だが…ここで抑え込めるか?)

 

 いや考えるより、やれだ。

 ここで考えているだけでは後悔してしまう。

 

 そう思い、俺は急いでアザーを追った。


 * * * *

 

 

 私とツァイトは私が誘拐された遺跡がある街へと来ていた。

 名前はカジュラシュッドという街名らしく「ジュラシュッド」と呼ばれる最古の遺跡の名前が由来しているみたいだ。


 「ここは…なんか楽しそうな…明るい場所だね!」

 「そうじゃな…ここはそういう場所じゃ。他種族同士も仲が良い珍しい場所でもあるのぉ」


 ツァイトがそう説明してくれた。

 目の前には手を繋ぎ楽しそうに踊っている子供や大人の姿がある。

 

 「ピスや。遺跡はこっちじゃ」

 

 踊っている人たちを眺めているとツァイトにそう声を掛けられた。

 ツァイトが指さすのは、木に囲まれた遺跡だった。

 

 「…あれが…そうなの?」

 「そうじゃ。あれがジュラシュッド…世界最古の遺跡じゃ。お前さんが誘拐された場所も恐らくここだったんじゃないのかのぉ?ピスのメモ通りならこの中じゃが…入るか?」

 「…」


 私はすぐにツァイトに返事をせずに遺跡を見つめる。

 ここにきてもなお、誘拐されたときのことはさっぱり思い出せない。

 断片でも何か思い出せればと思ったが不可能だったようだ。


 (…でも何も情報が得られなくても…私は知りたい!)


 「…ツァイト!私…遺跡に…」


 「入る」そう言おうと思った瞬間だった。

 近くでゴンという大きな音と共に地面が揺れた。


 「うわっ!何事…!?」


 揺れで立っていられず、私は地面へ尻もちをつく。

 だがそのすぐ後、私の横に何かが飛んできた。


 「ぎゃあっ…って…え!?カシア!?」


 まさかの飛んできたのはカシアだった。

 腕から血が出ていて、顔や服も汚れている。

 気を失っているのかと思い、顔に触れようとしたがそれよりも前にカシアが起き上がった。


 「まずい…俺じゃあいつを…あ。すみません突然…ってピスか!?ツァイトも…」


 カシアが目を丸くし、私とツァイトを交互に見る。

 

 「そうじゃよ。わしじゃよカシア。…何があったか手短に教えてくれんかの?」

 「あ、あぁ…アザーが…暴走しているんだ!」

 「え!?」


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