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番外編:バレンタイン〜前編〜

こんばんは、おはようございます、こんにちは


今回はバレンタインデーにちなんだお話を書かせていただきました!

少し迷ったのですが、前編と後編に分けて投稿します。

よろしくお願いいたします。

 ことの始まりはミリアンの何気ない言葉だった。


「アイリス様はご存じ? 西の国ではバレンタインなるものが流行っているらしいの」


 懐かしい言葉に、バレンタインデーの記憶が蘇る。前世では渡す相手がいなかった。それゆえ自分用に買っていたなと。

 見慣れたチョコレートも包装が変わるだけで特別感が出る。バレンタイン仕様というパワーワードに乗せられるのだ。


 中でも珍しいものや高級なものばかりが目につく。内服薬をモチーフにしていたり、工具の形をしているものなど。それらは疲れた時の癒しになる。加えて笑いのネタにもなる。


 そして普段手が出ないからこそ、頑張った自分へのご褒美チョコにもなった。

 

「バレンタイン? 人の名前みたいですわね。初めて聞きましたわ」


 話したくて仕方ないというオーラを感じる。だからここでは知らないふりをした。


「そうよね! 何でも、恋人や家族にチョコレートを贈る日みたいなの」


 ミリアンの瞳の奥には星が見える。あたかも「わたしすごいこと聞いたの」と言いたげだ。この反応を見る限り、知らないふりをして正解だったと思う。


「まぁ素敵ですわ」


 今世では渡す相手がいることに、胸が暖かくなる。頭の中にバルザックが嬉しそうに微笑む顔が浮ぶ。自然に顔もほころぶ。


「でしょう! わたしも贈りたい方がいますの。アイリス様もバルに贈ってみてはいかがですか」


 おそらく使用人の彼のことだろう。そんなミリアンを横目に、アイリスは心なしか引きつった笑顔になる。気分も少しばかり下がる。


「えぇそうですわね」


 理由は単純。バルザックのことを親しげに愛称で呼ぶ。それが気に障るのだ。幼馴染だから仕方ないとはいえ、割り切れない気持ちがある。

 計略でも、前前世で婚姻を結んだ相手に変わりはない。そのうえ家族であるアイリスよりも、付き合いが長い。それが悔しさを助長させる。

 ミリアンは大好きな彼のことを心に思い浮かべているので、アイリスの様子に気づきもしない。


「それでね。大切な方には手作りがいいらしいの」

「手作りですか……私料理など作ったことありませんわ」


 思った以上に沈んだ声が出た。お菓子作りは壊滅的だった過去がふと蘇る。すると落ち込んだように見えたのか、ミリアンが慌てる。


「そんなにがっかりしなくても大丈夫よ! 今度我が家のシェフが作り方を教えてくださるの。アイリス様も一緒にいかがですか」


 あからさまに目の色が変わる。顔の周りには花が飛ぶ。モヤモヤはするけれど、提案は素直に嬉しい。呼び方さえ気にしなければ、問題はないのだから。


「本当ですか!? 是非お願いしたいです」

「ふふふっアイリス様ったら。とっても分かりやすく喜ぶのね。可愛らしいこと。こんなに愛されてるバルは幸せ者ね」


 何だか少し気まずい。


「あははっ」


 とはいえ愛称で呼ぶ声を聞くたびに、胸がチクリと痛む。これが独占欲なのだろうか。けれど、呼ばないで欲しいなんて言えない。器の小さい人間だと思われたくないから。過去はどうあれ、今は両思いなんだと言い聞かせた。これは周りから見れば可愛らしい嫉妬である。


 そんなこんなでバレンタイン計画は進んでいく。

最後までお読みいただきありがとうございました。


バレンタインは女性にとって一大イベントですね。女性から男性へ贈るのは日本独自の習わしではあります。そしていつの間にか友チョコが流行りだしたので、今はその限りではありませんが。何よりチョコ好きにはたまらないイベントだと思います。

私は手作りも、既製品の購入も両方したことがあります。デパートの催事場・特設会場に行くと沢山の種類が豊富に取り揃えてあり、目移りし放題でした。手作りキットまで沢山の種類があるんですよね。見ていて楽しかったのですが、規模が小さい方が選びやすいなと思いました。


次回後編、何かが起こります。後編は明日投稿する予定です。

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