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「お父様、お医者様が言うのにはルイーゼお姉様はいつ目覚めるか分からないのですって。寝たきりの不義の子の世話なんてみんなしたくないわよねぇ~」

 ユメアの真似をしてノックもせずに乱暴にドアを開いて入る。

「おお、ユメア。ユメアは優しいから怪我をしたルイーゼを屋敷に向かえたが、追い出そうか。どうせ牢屋行きなんだ。目が覚めようと覚めまいと放り出してしまえばいい。医師には見せたんだから」

 首を大きく振る。

「だめよ、お父様!もしこのまま亡くなってしまったら、レオン殿下が殴ったせいになっちゃうわ!怪我のせいじゃないって言うために、半年……ううん、1年くらいは生きていてもらわないと」

 お父様がむむっとうなった。

「屋敷にいれば、半年以上生きていることにできるでしょう?牢屋じゃ無理だわ」

「ああ、そうだな、生きていることにできるな。うん、そうだ、不義の子だったとしても我が子として育てたので情がある、牢屋に入れるのはかわいそうだから家で幽閉すると申し入れてみよう」

 父がニヤニヤと笑う。

 情なんてこれっぽちもないくせに。

「しかしそういうことか。次々に使用人が辞めていったのは寝たきりのルイーゼのせいか。面倒なことだ。流石にしばらくは医師に診察を続けさせなければ不審がられるだろうからな……放置するわけにもいかないだろう」

 何も分かっていないふりしてポンと手を打つ。

「給料をいっぱい出せばだれか働いてくれるんじゃない?」

「おお、ユメアは賢いなぁ。そうだな。そうだ。ワシもそう考えていたところだ」

「じゃあ給料は倍で……あ、そうだ!いいこと考えちゃった!」

 倍の給料は言質取った。じゃあ次は。

「ほら、前に働いてた人たちに声かけたらいいんじゃない?」

「前に働いていた人?」

 お父様が首を傾げる。

「ほら、なんて言ったけ、ルイーゼの侍女?いたよね?あの人たちなら寝たきりになったお義姉様の面倒も見てくれるんじゃない?ねー?」

 家令を見て笑う。

「ああ、マーサや他の者たち……今は新しい場所で働いているでしょうが、給料を倍だすといえば何人かは戻ってきてくれるかもしれませんね」

 私のお墓に顔をうずめて泣いていたマーサの姿を思い出す。

 私の体を見て、マーサはひどく悲しむかもしれない。

 でも、だけど……。もう一度会いたかった。

 会って、お母様の話を聞かなければいけない。

 不貞をしていたのか。マーサなら知っているはずだから。絶対にそんなことはしていないと、そう思ってはいるけれど。


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