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【ナーロッパではない中世へ】この転生には、いったいどのような<意味>があるというのか?  作者: エンゲブラ
本編

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26/71

24 御前会議⑤ 閉幕

「フェリクス殿()~!必ず、必ずや、冬までにはライフルと新型クロスボウのサンプルの件、(よろ)しくお頼み申しますぞ~!」


査問という名の長い質問会が終わり、小会議室を退出するフェリクス。その背中に、最後まで名残惜しそうに大きな声をかけていたのは、あの軍務尚書のヴルクであった。けっきょく質問会が終わったのは、昼食を(はさ)んで夕刻近くまでという、フェリクスにとっては、()()()()()()()()となった。


望遠鏡休憩の後、工部尚書のノイマンとは、シュヴァルツヴァルトとボヘミアとの技術提携。主にボヘミアからは技能実習生という形で一流の技術者候補たちの留学を受け入れ、代わりに資材の調達や授業料なども王家が負担。そして兵器を除く、各発明品の設計図等の正式販売価格などの話が詰められた。民部尚書のオラーチュとも同様に、新たな農法などのノウハウの伝授の約束。そして新型農機具等の納入の話が詰められ、どれもふたつ返事で皇帝ヴィクトールの裁可(さいか)を得ることとなった。


望遠鏡を覗き込んだことにより得た、初めての感覚。そして視点。それらがボヘミア首脳部全員の脳を焼き、熱病のようにシュヴァルツヴァルトの<未知なる技術>を求めさせる引き金となったことは、まさにフェリクスの()()()()()()となった。


「まだまだ一台あたりの単価は相当に高額ですよ?」と言っても、会議に参加した全員が望遠鏡を求め、オラーチュに至っては、年の俸給の三分の一にも匹敵する価格であるにも関わらず「絶対に必要です!」と購入の機会を譲らなかった。



馬車に乗っての遅めの帰宅後、フェリクスは今回発注を受けた諸々(もろもろ)の手配書を三通ほどしたため、翌朝には、二通を先触(さきぶ)れとして伝書鳩に(くく)りつけ、最後の一通は従士のひとりに手渡し、シュヴァルツバルトへと走らせた。


実のところ、望遠鏡に関しては、先に人数分と予備分を()()()()()()()()()()()()()()()()()状態であった。だが、従来のギリギリよりも、さらに()()()()()()()、それでもギリギリ「何らかの方法を使い、シュヴァルツヴァルトより届けられた」と錯覚させることが出来そうな日数の最適解を思案しつつ、()()()()()()を考えるフェリクスであった。



その日の深夜、城内のテラスにふたりの男の影。


「……どう考える、今日の会議?」


「どうもなにも、さすがに()()()想定外にございます」


「……だな。余もさすがにあそこまでの者とは想像だにしなかったわ」


「シュヴァルツヴァルトの連中が、陰で<神の子>などと申しているという意味がようやく理解できました。が、しかし……」


「あの気難しいリーシュカや強硬派であったヴルクですら、最後にはあの態度。皇帝の威光をもくらませる、怪しき<もうひとつの太陽>ともなり得るか、()の者は……?」


「今のところ当人には自覚もその意思もないようですが<(かつ)ぐ者>が現れれば、(ある)いは……」


「困ったことになったものだな……保守勢力の打倒と文明の加速は、余も望む所ではあるが」


「心中お察し申し上げます、兄上」

あとがき)

今回は、少々短めの回となっております。

次話は、ノイシュタット子爵領での吟遊詩人の登場回を予定(まだ書いてない)。


―― というか、何ですか、この会議の結果。

当初予想していた話の展開とは全く違うんですが、何事? ノイマンとオラーチュは想定通りとはいえ、リーシュカとヴルクがこんな態度の豹変ぶりでは、ヴィクトールとミロスラフも、必然的にこういった役回りになってしまいますやん。


登場人物に「顔」を与えるとこういうことが起こります。キャスティングと設定だけの「アドリブ演劇」作品。書きながらキャラといっしょに考えるタイプの筆者には、もう制御不能です(苦笑)。

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なろう系 オススメ 異世界転生
― 新着の感想 ―
 本当にキャラが作者の意図から放れて暴走しているとすればヤバい気が。  しっかりと良識という手綱を握っていてほしいところです。
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