0.1話
光に照らされた円形の部屋。
それは巨大な議場。
中心には何も置かれておらず、中心を囲むように上下に3段の机がある。
置かれている席は広さのわりに少ない。
多い必要はないのだ。
もとより、この場に来られるものは、この人界でそうはいないのだから。
「カル王国で4千人が消えた。それも未開領域の近くで、だ」
長い髪を後ろにまとめた男が報告を行っている。
「白銀竜の仕業らしいが、その竜の姿はどこにもない。かなり怪しいぜ」
「消えたとはなんだ?詳しく話せ」
その声は平行に並んでいるはずの机の、はるか上空から聞こえてきた。
「言った通りだ。消えたんだよ、軍が1つな。髪の毛一本なかったぜ。白銀竜はそんな芸当出来る奴だったのか?蜥蜴の王よ」
「蜥蜴の王」と呼ばれるには、あまりにも蜥蜴には似つかわしくない。
その姿はまるでドラゴンだ。
「白銀竜?あの小僧にそんな力はない。あれは純粋な身体能力こそ持っているが、魔法などほとんど使えない。ひとを消すことは出来ん」
「すると、誰がやったんだろうな?」
「もったいぶるんじゃねえよ。魔王だろ?何が来た?」
女の声だ。
彼女には椅子が小さかったようで、机の上に座っている。
そんな様子は、「巨人の女神」のわがままさをしっかりと表していた。
「魔王の姿も見ていない。それにカル王国は1000年以上、魔王を呼んでいない。それらしい動きもなかったしな。今も動きはなにも」
長髪の男の声は、ある一言で止められた。
「どうでもいい」
この場に集う者たちは皆、それぞれの土地の長であり王であり神であり、最強でもある。
力の差は確かにあるが、それを比べるにはあまりにも強大すぎる。
だが、一人。
あるゆる最強さえ踏みにじる者がいた。
女と言うには幼く。少女と言うにはその強大さを表せない。
毛皮を羽織った気だるげな者。
「カル王国の人間を未開領域に近づけるな。今の王国に魔王を止められる戦士はいない。抑止は4千人の犠牲で十分だ。……この一件、これ以上事態を動かすな……いいな?英雄語り」
「監視か。それなら楽だ。……詩を2・3、歌っていればいい」
英雄語り。
彼もまた、人の身でありながら世を覆す力を宿す者。
世界の中央。人界の守護。
彼らは魔王を「許す」者たち。
主人公に忍び寄る不穏な影が、、、ていう話でした。(あまり気にせずに)
さて、第1章が終了いたしました。
現在は第2章が連載中です。
続きも読むぞ!
あるいは、
ここで休憩、第2部終わったら教えて
という読者の方がいると思います。
そのような第2部にも興味を持たれた方は、ぜひ感想だけでも残していってください。
評価、ブックマークもあるとうれしいです。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
次話から第2部です。