閑話(3)
3度目の閑話となりました。
毎度のように設定を書き出したのですが、正直絵で説明したいぐらいです。
短いですが、閑話をお楽しみください。
エルドラド。
23人のプレイヤーからなるギルドであり、この規模のギルドにしてはランキングは上位に位置しており高ランクの占有拠点もある。
加入申請はどこからでもできるのだが、条件がある。
それは、アンフルへの課金額が1億円以上であること。
ギルドリーダーであるフィセラはゲーム仲間との公平な関係を望んでいた。4億円以上の課金をしているフィセラが望む条件としては、優しい額だ。
ギルドメンバーはフィセラのように幸運によって大金を得た者たちではない。ほとんどが真っ当に働いている。
いや、ある意味ではやはり幸運ともいえる。
恵まれた環境、生まれ持った才能と野心、すべてが得られる人生であろうとも潤せない渇き。
アンフルで第2の生を得ようとする幸運な人間だけが、エルドラドに加入できるのだ。
そんな第2の人生を過ごすなら「家」必要だ。
都市で豪邸を購入したり、平野に一から拠点をつくったりすることも出来る。
だが、このようなノーリスクで手に入れた拠点は総じてランクが低い。
高ランクの拠点が欲しければ奪うしかない。
<ゲナの血千砦>という名の砦。ゲナという吸血鬼のモンスターが支配していた。
それを、エルドラドがなんやかんやあって手に入れることに成功。
その後、名称が変更されて<ゲナの決戦砦>としてギルド拠点となった。
ランクが高いと何が違うのか。単純に広いのだ。広ければ広いほど行えることの幅も広がる。
もちろん、フィセラ達は目が飛び出る度の課金額で拡張工事を行っている。
まず地上部。
巨大な城壁が砦を囲い、荘厳な城門だけが唯一の入り口となっている。その内側にあるのは広場だが、ここにはほとんど施設は置かれていない。修練場と言われる場所があるだけだ。
その広場から左には、本館まで繋がる緩やかな坂道があり、その左右に多くの施設が立ち並んでいる。配置されているNPC数は断トツだ。
広場の右は農場だ。砦に立て籠もることがあっても安心だ。植物系のモンスターや妖精、エルフが緑の管理をしている。
本館がある高台はギルドメンバーが集う本館、謁見の間、教会、地下へのゴンドラがある。
地下部。
地下1階から地下3階までは、拡張によって増設した空間だ。
地上部では、元からある砦の雰囲気を壊さないようにしていたが、地下には比較的自由に制作を行っている。
地下1階は、宝物庫を中心とした多様な施設がある。中世ファンタジーの世界観を無視したものばかりだ。
地下2階は、牢獄というコンセプトだ。しかも水中に沈んだ大監獄である。看守や拷問官がおり、処刑は水中を泳ぐ巨大海獣が行う。
地下3階は、砦とは一切関係のない砂漠である。女神を信奉する砂漠の民、朽ち果てた神殿、魅惑のオアシス。そのあたりの文化が好きなギルドメンバーによる合作である。
地下4階。ここはもともと存在したステージだ。ここには不死のゲナが封印されている。と言ってもモンスターではなくオブジェクトとしてだ。この封印を解くことで砦が解放されてしまうため、このステージの上に地下を広げたのだ。
そういった成り立ちもあり、闇のモンスターや異形系のモンスターが多く配置されている。
まるで地獄、悪夢の体現である。
それが原因でフィセラを含む女性メンバーが、悪乗りをした男たちと対立したこともあるほどだ。
これらを管理するために作られたのが、ステージ管理者というNPCだ。
彼らは全員が120レベル。ゲナの決戦砦で公にされている120レベルは8人のみだと考えると、管理者の権力の強さが分かる。ちなみに、管理者以外の120レベルNPCは教会にいる聖女である。
誰にも明かされずに作られたNPCがどれほどいるかは誰も知らない(ヘイゲンは把握しているが、そういったNPCはメンバーの趣味全開であることが多いのであまり触れないようした方がいいかもしれない)。
砦保管庫には、まだ未使用の魂器人形がいくつかあるが、それが日の目を見られるかどうかは、フィセラとこの世界次第である。