閑話(1)
閑話という形で,章の間に世界観や設定を置いていこうと思います。
ストーリーを追っている方はいったん、ここは飛ばして次の話に進んでいただいて結構です。面白い、少し興味が沸いたという方は閑話を覗いてみてください。
もちろん、既に出ている名称や設定の説明なので読んでもらっても問題はありません。
楽しんでいただけると幸いです。
現在、双陽歴3008年。
カル王国。
双陽歴1972年に誕生。現在までに、1000年を超える歴史を持つ王国だ。
元は功労をたたえられた軍事貴族に与えられた領地であったが、その貴族の力によって領地が広がり今の形になった。
王都を中心に領土が広がっており、領域線での戦争は少なく,王都では平和の1000年が続いている。
王都を南下していき幾つかの村や都市を超えると、フラスクという都市につく。ここが王国では最南にある都市だ。さらに南下していくと、ラガート村を含めた村が3つある。中でもラガート村は端に位置している。
ここまで端に位置していると、王国の支配下・庇護下に入っているかも怪しいが一応は領土内だ。
「外」とは、ラガート村をさらに南下した先にある未開領域のことを言う。
ここに、アゾク大森林やフィセラの転移した大山がある。
ただ「山」と言われているのは誰も名前を付けないからだ。視界に入ろうとも、誰も到達することがない土地ならば興味も湧かないだろう。
アゾク大森林。かつて存在した、ある王の名からつけられた名前だがその名は秘匿されて久しい。侵入を固く禁じられた領域だ。まあ、禁じられようとそうでなかろうと、そこを踏破できる人間などいないのだが……。
人。
この世界では広義に人と言えば、ヒューマン・エルフ・ドワーフ・ジャイアント・ノームなどの人の形をした者たち全般を指す。種族の数は定かになっていないが、少なくともヒューマン(人族・人間種)が最も多いことは分かっている。
もちろん、オーク・ゴブリン・オーガ等は亜人というくくりで「人」とは違う括りになっている。
獣人についてはある議会で審議中である。
この世界では密かに伝承されている伝説がある。
未開領域の奥の奥、すべてを越えた先にあるのは闇の大地。
人間が未開領域に立ち入ると、闇に巣くう魔の王が人の匂いを嗅ぎつけるのだ。
人の立ち入れぬ領域を超えて厄災がやってくる。
だが、その真偽を知る者は、「少ない」。
ラガート村では、子供が森に近づくとこの話をして脅かしているらしい。