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出会い。

あまりにも登場人物の描写が少ない為、急遽この話を差し込みました。

キャラ立って伝われば幸いです。

 





 side勇者


 日本で普通に暮らしていた俺は、突如眩い光に包まれた。

 目を開けるとそこは……


「召喚成功しました!!」

「おおっ…アレが異世界の…」「強そうにはみえぬな…」「これで魔王の脅威が…」


 ここは…どこだ?

 それに言葉はわかるけど、口の動きと合っていないというか…そもそも日本人には見えないな…






「勇者様、粗茶ですが」

「ありがとうございます」


 俺はメイドさん?からお茶を受け取った。

 どうやらこれが噂の異世界転移と言うものらしい。友達との会話で聞いた事はあったけど、俺には興味がなかったから触りしか知らない。


 ここは異世界にあるサンジェルマン王国という国で、この世界は今、危機に面しているらしい。

 その危機とは魔王の存在。この魔王を討ち倒さないとこの世界の人々に未来はないのだとか。

 そして、この世界に召喚された俺は……


「勇者様…申し訳ありません」

「いや、ナナリー姫が謝ることじゃないよ」


 俺の前にいる絶世の美少女は、この国のお姫様。めちゃくちゃ可愛いけど、俺が気になっている理由はそこじゃなくて……

 お姫様という立場も、これだけの容姿を持つことにも鼻にかけず、心が清らかなこと。

 こんな子、日本ではあった事がない。


「それにもう覚悟は決めたよ。俺が魔王を倒さないとナナリー姫が困るんでしょ?じゃあ俺のする事は一つだよ」

「勇者様…」

「タクマ。タクマって呼んでくれないかな?」


 俺が魔王を倒す切り札なのは何となく理解したけど、勇者呼びは流石に恥ずかしい…

 それにこのお姫様には名前で呼んで欲しいんだ。

 もう元の世界には戻れない。その事で落ち込んでいた俺を、優しく励ましてくれたこの女の子には。


「タクマ様。私に出来る事であれば何なりと申してください!」

「ははっ!じゃあキツい訓練にも負けない様に、話し相手になってもらおうかなっ!」

「もちろんですっ!この身の全てを賭して、お支えいたします!!」


 っ!!

 ヤバい…告白みたいなセリフに、俺の顔が赤くなってる…

 この子、これがデフォなの?それとも俺に……







 side剣鬼


「立てっ!魔王は待ってくれないぞっ!!」

「くっ……」


 チッ。こんな弱っちぃ奴がホントに勇者なのかよ…

 騎士団長命令だから従うけどよぉ、人は簡単には強くならねーぞ?


「おらっあっ!!」バキッ

「ぐえっ!?」


 しまった…やり過ぎた…

 俺はイラついた気持ちを剣に乗せてしまい、手加減する事なく勇者を木剣で叩いてしまった。


「も、もう一本…」ザッ


「!!?マジかよ…」


 俺は本気で叩いたはずだ。俺の一撃をモロに喰らって立ち上がれた奴を、俺は知らない。


 後から聞いた事だけだよ、俺は勇者の鍛錬中に笑っていたらしい。自分でもこえーと思うけど、コイツはよく耐えたよ。




「しっ!」カンッ

「うおっ!?」


 あれから三日後、遂に勇者は俺の剣を止めやがった。


「タクマっ!やったなっ!!」

「あ、ああ…死にそうだ…」

「ははっ!そりゃそうだろうな!普通死んでるぜ?」


 俺とまともに剣を合わせられるのは、騎士団でも団長クラスのみ。

 剣の握り方も知らなかったコイツは、たった三日でその領域に足を踏み込みやがった。

 だが、コイツがすげぇのはそこじゃねー。


 何度やられても立ち上がれる不屈の精神。


「タクマ。お前はすげー奴だよ」ボソッ

「ん?何か言ったか?」

「いや?腹が減ったなって、な」


 そしてこんなガサツな俺とも気の合うところだ。







 side王女


 お父様が治める国は多大な犠牲を払い、遂に勇者召喚を成功させました。

 いつもの様に花壇の世話をしている私の目の前には、何故か勇者様がいます。


「タクマ様…殿方が…いえ、世界の希望であらせられる勇者様が花いじりなど…」

「ナナリー姫。こうしていると落ち着くんだ。許してくれないか?」


 この国では、未婚の女性と同年代の男性が一緒に作業する事を良く思われません。許されるのは婚姻の約束をしている者達くらいですね。


 しかし…タクマ様の懇願する様な視線を受けては……断れません。

 もし、これを断れる女性がいるのなら、それはとても稀有な存在でしょう。


「わかりました。では、そちらの鉢植えを日当たりの良いこちらへお願いできますか?」

「わかった!!これでいいかな!?」

「はいっ!」


 あれだけ辛い訓練を受けているタクマ様が楽しそうなのです。これは間違いではありませんね。








 side聖女


「イテテ…」


 私の前には満身創痍の勇者様が。

 私の仕事はこの方を治し、何度でも必ず立ち上がらせること。


「肋骨が折れていますね。翌朝までには治してみせます」

「わ、悪いな。マリアさんには迷惑ばかりかけて」

「いえ。それが私の使命ですので。それにさん付けは必要ないですわ。勇者様」


 毎日ボロボロになるまで鍛錬をされている。常人であれば身体の前に心が壊れてしまうでしょう。

 この方を突き動かすものとは一体…


「わかった。マリア。俺の事も名前で呼んでくれ。仲間だからな」

「仲間…はい。タクマさん。ところで一つお聞きしても?」

「ん?なんだ?」


「タクマさんは何故、ここまでの事に耐えられるのでしょうか?」

「うーーん。理由は沢山あるけど、一番は責任かな」

「責任?」


「そう。俺がこの世界に召喚されたってことは、みんなの期待を背負っているんだ。俺に力があるのかはわからないけど、その期待には応える責任があると思っている。

 もちろんそれだけじゃなくて、打算もあるけどね。

 俺は目の前に困っている人がいたら放っておけない性分なんだ。

 後、みんないい人達ばかりだし。仲間も守りたいし。

 もちろんマリアもね!」


 タクマさんは私の目から見ても弱者です。ですが…心が…心が眩し過ぎます…これが勇者…

 最後のセリフは私に気があるのでしょうか?

 いけません。この身は神に捧げたもの。如何に心優しき勇者様とはいえ!!

 モテる女は辛いものですね…神様。私に一体幾つの試練をお与えになるのですか?


「あっ!そういえば、マリアは美人なのに結婚してないんだよね?この世界ではそろそろ適齢期って聞いたけど?」

「……私の身は神に捧げています。その様な事とは無縁ですわ」

「そうなんだ!まさかナナリー姫も……?」


 ……どうやら私の早とちりだったようですわね。

 タクマさんは時折年齢よりも幼い仕草で、屈託のない笑みを浮かべます。

 ―この方を守らなくては―

 タクマさんの笑顔を見る度に、私は聖女としてではなく一人の女性として、強くそう思うようになっていました。







 side魔女


「何度言ったらわかるのよ!?貴方、頭の中空っぽなの!?」

「いや、教え方の問題じゃないか?」

「喧嘩売ってるのっ!?」


 もうっ!何なのコイツはっ!!

 勇者の指導は一日の中で細かく分かれている。今は私が魔法を教える時間なの。


「いや、ディーテが天才なのは間違いないぞ。でもな、教えるのは下手だと思う…」

「気安く呼ばないでよっ!!この馬鹿タクマっ!!」

「自分は呼んでんじゃん……」


 私は良いのっ!!天才魔法使いなんだからっ!!


 勇者の指導はかれこれ五日目。

 最初から馴れ馴れしかったコイツに、私は丁寧に接していたのが馬鹿らしくなって、今では取り繕うのはやめて素の自分で接しているの。

 何よ、勇者って。全然敬えるところなんて無いじゃない!


 それに私は五日で初歩の魔法は全部使えたわ。それなのにタクマはまだ使える気配すらない。

 教える意味があるのかな?

 私も一緒に戦うのだから、魔法使いは一人で充分よ。


「アホらし…タクマにいくら教えたってどうにもならないわっ!私が魔法を使えるんだから、もう諦めなさい!」

「いや、ダメだ」

「何でよ!?」


 もうっ!ずっとこれっ!いい加減キレるわよ!!


「だって、もしディーテが魔法を使えない状況になれば、誰が魔法で援護するんだ?

 俺達はたった五人の仲間だ。

 その責任をディーテだけに背負わせるわけにはいかない。

 俺は誰に何と言われようとも、魔法を諦めない。頼りないかもしれないけど、守らせて欲しいんだ」

「っ!!………何ぼさっとしてるのよ!さっさと魔力操作の練習を再開するわよっ!!」


 もうっ!!なんなのっ!?







 side拳聖


「うむ。動きが格段によくなっている」

「本当!?やったぜっ!!」


 タクマ殿は子供の様にはしゃいでいる。

 いや、某達が住む世界とは違い、タクマ殿の世界ではまだ子供だったか…

 一人年上の某は、どちらの世界でも大人のようだ。


「ここまで上達が早いと末恐ろしくもあるな」

「それは二人の教えが良いからだな。俺に戦闘のセンスなんてなかったし、もしかしたら転移した時に何かしらの恩恵を受けたのかも」

「それはあるやもしれぬ。某達もこの後、祝福を授かる。タクマ殿にはそれ以上の何かが与えられているのかもしれぬな」


 祝福を授かるとそれだけで強くなると聞く。

 これまでの修行で何度も命を落としそうになった。そんな某は、自分の限界を知った。この機会はそんな某に神が与えた贈り物なのやも。


「某は勇者パーティの最年長。しかし、リーダーはタクマ殿である。纏めるのは性格的に合わぬが、仲間としていつでも頼って欲しい」

「助かるよ。俺もリーダーって感じじゃないしね!」


 いや、タクマ殿には人を引っ張る何かを感じる。

 この者についていけば、必ず魔王を倒せると…

1人一話くらいの話も考えていましたが…この小説に必要か?となり、ギュッと纏めちゃいました。

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