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盗まれた神器

この話は三人称視点ですが、次の話からほとんど一人称視点になります。

 



「報告しますっ!!」


 金属鎧を掻き鳴らし、玉座の間に飛び込んできた騎士がそう告げる。

 居並ぶ王侯貴族達と勇者パーティの面々は、次の言葉を固唾を飲んで待っている。


「神器…見つかりましたっ!」

「おおっ…して。犯人は?」


 騎士の言葉に国王が問う。


「は、犯人は…勇者…です!」

「馬鹿な…」「う、嘘ですわ…」「マジかよ…」


 騎士は犯人が勇者だと告げた。流石に犯人に敬称は拙いと思ったのか、騎士の言葉が詰まる。


 国王は国の英雄がなぜ?と唖然とし、未だ婚約者ではないが、心優しく、仲睦まじい様子を以前から見せていた王女も信じられないでいた。

 仲間達からも次々に声があがり、自然とその視線は勇者へと集まる。


「嘘だろ?なぁ?」


 旅の間に絆を深めた仲間の一人、剣鬼ロードナントが勇者に問う。


「当たり前だろ!何で魔王を倒してこれからって時に、盗みなんて働くんだよ!」


「そうですね。いくら頭の悪いタクマでも、王女殿下と結婚すれば、ゆくゆくはその神器が自分の物になるとわかっていたはず。

 盗む理由がありません」


 勇者タクマの声にいち早く同意を示したのは、言葉使いは丁寧でも一々棘のある言葉選びをする魔女、アフロディーテだった。


「し、しかし…神器が勇者の私室に隠されていたのも事実です」


 このままいけば、責められるのは自分になる。そう感じた騎士が、さらに詳しく説明をした。


「うーむ…」


 板挟みに合い、苦慮する国王。そこへこの国の宰相が提案の声をあげる。


「陛下。勇者殿には申し訳ないですが、軟禁といった方法もあります」

「な、なにを…」


 宰相の提案に王女は驚きを隠せない。この国は救国の英雄にその様な扱いをするのかと。


「…よし。では嫌疑が晴れるまで、勇者タクマには不便を掛けるが、その様にしよう」

「おと…陛下っ!」

「黙っておれっ!タクマ。許して欲しい」


「…まぁ、ちゃんと調べてくれるなら」

「それは約束しよう。連れて行け」


 国王が下した沙汰に、王女は不満を隠せないでいる。

 だが、勇者が同意したことにより、それはなされた。




 この国に突如として現れた英雄。その英雄が起こしたとされる窃盗事件には緘口令が敷かれた。


「陛下!(わたくし)は未だ勇者様にとっての何者でもありません!

 ですので、王族の一人としてお願いがあります!」


 勇者が去った玉座の間、そこで王女が国王に訴える。


「…申せ」

「私に勇者様の嫌疑を晴らす機会をお与えください」


「っ!!お主が調べると申すか?」


 王女は才色兼備揃った王国の宝と言われている。

 しかし、その知は少女の領域を大きくは逸脱していない。

 だが…


「…良かろう。好きにするがいい」

「はい。ありがとうございます」


 国王である前に一人の父親でもある。この判断がどう出るのか、誰にもわからない。


「では、皆様。ここで聞きたいことが二つあります。まず、勇者様の部屋の警護をされていた騎士方。

 部屋に入れた人がいたのか、そして、それは誰なのかを、教えてください。

 それがわかるまでですが、皆様退室なされないよう、お願いします」


 王女の取り調べが、幕を開けた。












 うぉおおおっ!!きゃーーっ!!ありがとーーっ!!


 街は文字通りお祭り騒ぎとなっている。

 それもそのはず、これまで城壁の中で我慢に我慢を重ねていたのだ。

 その諸悪の根源である魔王を勇者パーティが無事に討ち果たした。それを喜ばなくて、何を喜べというのか。


 凱旋パレードを終えた勇者一行は、城へと辿り着いていた。


「じゃあ国王様への報告の前に、各々休むとするか」


 王都へと帰還早々凱旋パレードをしたのだ。ここまで死線を潜りながら半年を過ごした。目に見えない疲れが溜まっていて当然だろう。


「確か報告は夕方のパーティ後でしたね。私は神への報告を先に済ませておきますわ」


 聖母の様な笑みを浮かべる聖女マリア。聖女は王城から、王都内の教会へと歩み出した。

 その背を見送った四人は、各々用意されている自室へと向かった。


 そして事件は起きた。

 盗まれたのは神器。神器とは、ただの飾りではなく、世界に存在する魔の物からこの国を守る為、神が王家の先祖に託した秘宝である。


 神器が見つかったとはいえ、国を、はたまた世界を揺るがしかねない事件。犯人が見つかるまで、犯人探しが終わることはない。

一人称視点と三人称視点があります。

読みづらいかと思いますが、ご了承ください。


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