いかついきみとかわいいおれ
ゆるいふたりのゆるい日常。
たぶん、クラスメイトだったらずっと話さなかったであろう2人がたまたま同じ職場で先輩後輩になったことで、
ふとしたきっかけから絡むようになって……。
BL展開はありません。
モデルはいますが、あくまでも創作オリジナルです。
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「たなかー?」
「なんすか??」
目の前にいるのは俺より10センチほど背の高い細い男。
髪色はシルバー、ジャラジャラと重そうなアクセサリー。
指にはゴツめの指輪が複数。
薄い色のサングラスに、黒の上下。
いかつい………。
反面、俺はというと年齢を一発で当てられたことはない
童顔。可愛いとか綺麗とか女顔とか言われるような顔面。
160代半ばの身長。
そして人見知り、口下手、陰キャ。
ボーッとしてるだけなのに、
憂いがある表情で何かを考えていると思って
話しかけられない。との声が多数。
いや、そっちから話しかけてくれないと
俺からは行けないから!!と心で訴えるも、
大抵気がついてもらえない。
近寄りがたい男子。
そんな2人がなんで仲良くなったかといえば。
あれ………なんでだっけ。
「ねぇ、田中と俺ってなんで仲良くなったんだっけ?」
「え、俺のことちゃんと仲良しだと思ってくれてたんすね」
「いや、今その話してない」
「めっちゃ嬉しいなー」
チャラくていかつくて、近寄りがたそうなこの男が、
仲良しって言われただけで、くしゃっと嬉しそうに笑ってる。
それがちょっと不思議だ。