第46話 帰国
「魔王様・・・」
リュウを含めた天界軍を何らかの魔術で壊滅させた少女。
ネネから見たら規格外の力を持つ大悪魔達が従っている魔王。それがまさかこんな少女だったのか。
「みんなどこに行ってたのだ!探したんだぞ!!」
おおよそ魔王のイメージとは似つかない子供の声で顔を膨らませ魔王は叫ぶ。
「いやあ、まあ戦略的撤退ってやつだ」
ユウは子供をあしらうかのように対応する。
「しばらく見ないうちにまたワガママになったみたいだねえ」
「スウには言われたくないぞ!」
スウもまた魔王を子供扱いし魔王も子供らしく返答する。
「てか魔王様が探してたなんてのが信じられないわね」
「ここはハルカに同意するわぁ。どうせ探すふりして遊んでたんでしょ」
ハルカもマリカも似たような反応だった。
「探したのは本当だぞ!3日くらい」
「俺ら居なくなって何日だと思ってんだよ!」
「サナがボンクラどもは生きてるからほっとけって言ったんだぞ?」
「あのクソ天狗・・・」
「まあボンクラなのに違いはないねえ。戦闘も終ったことだし後片付けは軍に任せて僕もう帰っていい?」
「あんたどこまでも自由ね・・・」
各々先ほどの戦闘がまるでなかったかのように団らんを始めている。割り切って考えているのかそれが当たり前の環境なのか。
「ところでそちらの少女は誰だー?」
「見た目魔王様の方が少女だぞ?」
「あ、私ネネっていいます・・・生まれはえっと、地球です」
異界の少女に自己紹介をしたことのある人間などネネを除いていないだろう。
「俺の地球で出来た友達だ。実は天界軍がいよいよ地球に来て襲撃を受けた。不本意だったんだが連れてくるしかなかった」
「ふーん・・・」
少女はじっとネネを見つめる。
「地球って楽しいんでしょ?きっといいところなんだろうね!」
「っ!」
悪魔の少女に屈託のない笑顔を見せられ思わずネネはたじろいでしまう。
「いいところだよ。いきなり戦闘になって悪かったが結構時間食っちまってる。
悪いが俺らはすぐ地球に戻る。すまねえ魔王様」
ユウは早口で言うと転移魔術の準備をする。
「ふむ。また話そう」
少女は笑顔とも寂しそうな顔とも取れる表情ではにかみ、姿を消した。
魔界へ飛び立ったのが夕食後だったので地球に帰った頃には深夜に差し掛かっていた。
「さすがに親に怒られるかなあ・・・」
「ほんんんとすまん!」
「まあユウくんが悪いわけじゃないし」
「それならネネの帰りは僕が送ってこうか?」
スウがまた似つかわしくない提案をする。
「お前がそこまで言うといよいよ心配なんだが。送られても心配だけど」
「君ら本当に僕のことを適当に扱いすぎだよまったく」
「でもスウにしては今回珍しく真面目に戦ったじゃない」
「その時の気分だね」
「で、働き者。なんでお前が送ってくんだよ」
「ほら、僕にしか出来ないことでこの状況切り抜けられそうだからさ」
スウは少し追加で負力を解放すると静かな夜の上空を飛ぶフクロウに相応しい翼を音もなく出現させる。
「ネネの親御さんには夕方に帰ってきたって記憶しなおしてもらえばいいんじゃない?」




