第44 流星群
リュウとの戦いはユウ、マコに任せマリカとネネは魔界城の敷地まで何とか逃げ込む。
当然50人の天使兵に追われて逃げ込んできたので現状何も解決はしていない。
「マリカ様!!」
狙い通り司令官が居なくなった今も配下の兵は城に常駐していたようだ。
「第6軍!天使兵が50人あり。可能な範囲で鎮圧!」
「はっ!!!」
ネネは普段言葉尻が間延びしているマリカしか見ていないためこの指揮能力に驚く。
魔界城といっても想像するお城のようなものではなく軍の基地、と言った方が近かった。
地球と違い科学ではなく魔術が発展しているので灯りは明治時代のようなガス灯だ。
「ひゃあ!!」
突然マリカは天使のエネルギー弾を食らう。マリカと共にほうきに乗っていたネネは負力などの超能力は持たないためそのまま落下する・・・と思った矢先だった。
「第6軍は防御魔術の魔法陣で迎撃。第5軍は攻撃に」
「スウさん!」
「スウ様!!!」
「了解!!魔法陣準備!!」
落下するネネを片腕で抱え、もう片手には魔法陣の盾を出現させ放たれるエネルギー弾を防ぐ。
日本では昼頃寝て夕方からソシャゲネトゲと自由三昧なフクロウはこと戦場では頼もしく見えた。
「スウさん!その服・・・」
スウの茶色いポンチョは背を大きく裂かれ、体こそ何ともないように見えるが多量の血痕が付着している。
「少し攻撃を食らってしまってねえ・・・情けない限りだが。ただ日本に比べて負力の回復が早い。やっぱりこっちのほうが本領発揮できるようだね」
スウやハルカのような悪魔は少し休んで負力が戻れば多少のケガは治癒するようだ。
「防御に関しては結界魔術や魔法陣が得意な魔女軍に任せようか。マリカを筆頭に防御へ、それから!!!!」
スウの指示は最後まで通せなかった。スウは左から何者かの接近に気づきネネを抱えて飛び去る。
スウのいた場所にはエネルギー弾による大きなクレーターが発生する。
「さすがだなあ。猛禽類は食物連鎖の頂点。たしかフクロウは耳がいいんだよなあ?日本で勉強したぜスウ。お前の動きは流石に読めんかったから来ない前提だったんだが」
ユウと戦っていたはずのリュウが何故か現れた。そのことからネネは激しく動揺する。まさかユウは敗北したのだろうか。
「まああれだよ、気まぐれ」
スウは適当に返すが流石に動揺しているのか普段の気の抜けた顔ではなくなっている。
「おとなしく日本で過ごしていればよかったな」
「リュ、リュウ様!」
マリカ軍に防御され手も足も出ない天界軍。
「お前らもこれしきの防御魔術で防がれて慌てんじゃねえ」
「リュウ!!」
「ちっ」
「ユウくん!」
リュウの出現からすぐにユウが現れ、すぐにハルカも追いついてきた。
つまり魔界軍の幹部は全員無事だったことになる。
「こいつの狙いは最初っから本拠地だ。軍を分散させたのも単純にこちらの戦力を分散させるためだったみたいだが・・・」
「ま、こいつらの戦力を甘く見ていたのは失態だったな。結局こうして司令官全員を相手にしなきゃならん。俺が率いてた軍曹共じゃ流石に勝ち目なかったか」
「配下捨て駒にするとはどっちが悪魔なんだか」
「うるせえよ偽天使。お前ら幹部連中がくたばってくれりゃ楽に越したことはないがまあここ突き止めただけで良しとしよう」
「麒麟は捕虜にしてある。そいつから天界軍の情報を引き出すわ。あなたをここで殺すか捕虜にするかは流れ次第だけどどっちにしても勝ち目はない」
ハルカが本拠地のどこかに軟禁した麒麟の存在を明かすとリュウは露骨に面倒くさそうな顔をした。
「んだよ・・・殺してねえのか。捕虜は流石に想定外だぜ」
「さっきから想定外ばっかりじゃないか。君の想定ってただの理想だね」
「クソフクロウ、無駄口叩けんのも今のうちだぜ」
リュウは口でこそ余裕を見せるも文字通り逆鱗に触れたのか片手を空に向けると聖力を放出しだす。
「ぐっ!」
その場にいた悪魔全員が呻く。
「なんだこのバカげた聖力量は・・・」
龍神の持つ聖力量は吸血鬼の負力を軽く上回っていた。
リュウの聖力で城周辺の岩石が中に浮き、火を纏う。それはまるで隕石のようだった。
「なんだこれは・・・天候魔術・・・ではないな」
一番年上の悪魔スウを以てしてもリュウの魔術は初めて見るらしい。
「本拠地も分かったし麒麟のエミも捕らわれてるとなると面倒だ」
リュウは自身で浮き上がらせた隕石より上空に転移する。
「流星群」
小さく呟くと魔界軍本拠地に向けて数多の隕石を向け、より一層発火させる。
「クソ!まじかよ!!!!」
ユウは叫ぶと聖力に切り替えエンジェルガードを発動する。
エンジェルガードは通称『神のご加護』。以前マコが使用した聖力由来のガードスキルであり全ての物理攻撃を防ぐ。
「俺らと違って不完全な天使であるお前のエンジェルガードはどこまで耐えられるかな?」
それが合図だったかのように隕石の雨が軍本拠地に向けて激しい轟音を響かせ降り注いだ。




