第38話 襲撃
夕食を食べ終わった全員は各々リビングでくつろぎだす。課題はマコに尻を叩かれ夏休み序盤で終わらせていたため学生には特にすることもないのだ。
ユウはマコもネネも一時間ほどすれば帰るだろう。そんな風に思っていた。
「ぐっ!」
「んあ!!」
「ひゃあ!」
「のわっ!」
ユウは体が一回びくっと揺れ、ハルカ、マリカ、スウはその場で膝をついた。
「どうしたんですか!?」
ネネとマコは何事もなく驚き同じセリフを吐く。
「今のは・・・」
「聖力エネルギー・・・だね。ユウは生粋の悪魔じゃなくて天使の血を引いてるからそこまでじゃないだろうけど・・・悪魔の僕たちにはけっこうキツイ衝撃だったね」
その場の悪魔が一瞬で膝をつくほどの大きな聖力エネルギーが発生した。
「そりゃあマコはなんともないはずね・・・」
「これほど大きい聖力をマコ一人で発生させられるわけがない。これは想定していたけどいよいよ日本に天使の連軍が来たんじゃない?」
ハルカやスウよりも負力が少ないマリカは言葉を発せないほどダメージを受けている。
「おい・・・外」
ユウは窓から外を見ると絶句する。
ペンションは総勢200人はいるであろう天界軍に囲まれていた。
「一応聞くけどあなたの差し金じゃないわよね?」
「そんなわけありません!」
ハルカはマコに聞いてみたが当然マコではないため否定される。
「やー、厄介なことになったねえ。これだけ居るなら人の居ない南極やらでやりあっても人間に気づかれるだろうね」
「・・・もちろん地球でやりあうわけにはいかねえ。ネネを返して魔界に戻る」
ユウは一度本来のフィールドである魔界に戻り天界軍と戦う事に決める。
「この襲撃の目的ってさあ、案外僕ら悪魔じゃないんじゃないかな」
「スウ、多分そうだ」
「どういうことよ」
「やつら天界軍は俺ら悪魔が三人も魔界から出たのに追ってこなかった。戦争に参加しなくなったマコかもしかすると・・・」
「月の秘密を知ったネネのほうかもね」
「!」
ユウやスウの考察にネネはおもわずはっとする。
「どっちにしろここ攻め込まれるのは時間の問題だ。マコにネネと転移してもらって俺らは天界軍と」
ユウの考えを最後まで聞き終わらぬままついに窓を破られる。
「まあおおむね正解だよ偽天使」
「お前・・・リュウ!!」
天界軍を率いてきたのはユウのクラスメイトにして友人であるリュウだった。
「人間関係を避けてた一年のころのお前は気が付かなかったろうが俺は二年進級時に入学してんだよ。てめえを追いかけてな」
リュウの優しくも活発な性格は演技だったのか、ユウは少しショックを受けるが落ち込んでいる場合ではないのでなんとか気丈に振る舞ってみる。
「目的は俺か?」
「お前だけ相手すんのにこんな人数連れてくっかよ。読みどおりネネと裏切りもんのマコを消すためだよ。まあマコはついでだがいつ天界軍の事情をペラペラ話すかわかんねえしやっぱ消しとかないとな」
「あなた・・・天界軍幹部を殺す気ですか?神に無断で」
「か、神・・・?」
ネネは本当に神などが存在するのか、と思ってしまう。
「今更神の許可なんて必要ないだろ、大天使が悪魔に墜ちようとしてる・・・それだけで殺害対象なんだわ」
そんなやり取りをしているうちに天界軍の軍員はどんどん中に入ってくる。
「くそ・・・ネネを逃がしてる時間はねえ、ネネも連れてくしかねえな、飛ぶぞ!」
ユウは負力を解放しネネを掴むと転移する。それが合図かのようにその場にいた全員が一瞬で消え、先ほどまで賑やかだったペンションは静まり返った。




