第36話 鳳凰
「天狗・・・」
「そう、あの天狗。彼女は負力を解放すれば神通力で考えを読めて千里眼が使える。そうそう勝てる相手はいないと思うよ」
魔界軍で戦闘能力の高いスウが言うなら敵なしなのだろう。
「そうは言ってもどんな奴にも弱点はある。天狗は基本負力保持量が少ないから好んで戦いは避けるし相手の戦法を読めるから無駄に戦闘しなくても切り抜けられる」
ユウは天使のマコの前で魔界軍2位の弱点を晒すが今更マコが戦うわけでもないだろう。
「ま、どのみち戦争のことは私の中でもう済んでいますしそろそろ帰宅するとします」
マコは立ち上がり玄関へと向かう。
「あ、そうそうマコ、君に聞いておきたいんだけどさ」
スウが帰宅しようとするマコに首だけ向けて呼び止める。
「なんでしょう」
「『鳳凰』のクソガキはどうしてるかな?」
「・・・さあ。一度も天界に帰っていませんから」
そう言うとマコはペンションを後にした。
「ふーむ、サナからの報告を気長に待つとするか」
スウもさっさと自室に引きこもってしまう。
「ユウくん、鳳凰って・・・?」
「あー・・・天界軍の大天使なんだけどな。魔界軍第4位の悪魔を殺した奴だ。魔界軍幹部の中で4位のサキュバスは唯一故人なんだよ」
「サキュバスって、所謂淫魔ですか?」
「多分日本のサキュバスイメージとは少し違う。夢というか幻覚魔術が得意なんだ。広範囲かつリアルに幻覚を仕掛けられる。サキュバスが幻覚で惑わせてストラス族長のスウが隙をついて攻撃する・・・あいつら2人セットだったんだよ」
「じゃあスウさんは復讐しようとしてる?」
「そんなガラじゃないと思うけど・・・まあなんか思うところがあるのかもな。第4軍が壊滅して大分攻められてるし」
「鳳凰ってそんなに強いんだ・・・」
「俺も直接戦ったことないしなんなら見たこともないが・・・5軍4軍のコンビ相手に渡れるなら相当やり手なんだろうな」
「でも言っちゃあなんだけどスウさんも協力することあるんだ・・・」
「自分が楽したかっただけじゃない?隙付くほうが戦わなくていいし」
相変わらずハルカからのスウ評価は低いようだ。




