第35話 終戦
マコはユウ達に向き直ると聖力を収める。
「もう80年ほど前の事です。私の友人達は当時同い年だった僅か100歳に満たない悪魔一人に殺されました。その悪魔は天使の偽物で私達と友達でしたね」
「・・・お前、マーちゃんか?」
ユウは忘れかけていたかつての友人、幼馴染だった少女を思い出す。
「やっと思い出しましたか。私の事も、あなたがどれだけ最低な事をしたのかも」
「・・・ああ」
「あの時私達は堕天使の存在は知りませんでしたし、天界軍に所属してもただの悪魔が堕天使を名乗っているだけだと思っていました。悪魔に聖力を扱える者が存在するなんて信じられませんでしたから」
「そりゃあそうだよな」
「私達は本当に天使同士の友達だと思っていたのに・・・」
「それは、当時は俺だって」
「ふざけないでください!!先に裏切ったのはあなたです!・・・でも・・・あなたの痕跡を追って日本で過ごすうちにいつのまにか復讐心を忘れていく私も居ました。そして私もあなたの同胞を多く屠ってきました。本当は私にこんなことを言う資格なんてないとも思い続けていました」
ユウとほぼ同時期に来て日本に潜伏していたのだった。
「俺もいつのまにか殺し殺されてた日々なんか忘れていた。俺に取れる責任なんかない。だから何も言えることはないがそうだな・・・」
ユウはマコに歩み寄ると同じくエネルギーを収める。
「俺もお前も戦争でたくさん失ったし得られなかった。今更過去をどうにかできるわけじゃないが日本に来て色々変わったろ?今度は人間として友達にならないか?」
マコは泣き笑いのような顔でユウを見つめなおす。
「本当に昔から勝手ですね・・・そして昔から優しかったところも変わってないです。ずっと会いたかった・・・」
「ああ。久しぶりだな」
「仕方ないです。水に流してあげます。ほら」
「・・・なんだよ」
「こういうときは握手じゃないんですか?」
「全く」
そういって二人は80年ぶりに友人同士に戻ることを決意した。
「なんだかなあ・・・すごい置いてけぼりなんだけど」
空気と化していたハルカはそうぼやくと自身もエネルギーを収めて見守る事にした。
その後人間研究部は悪魔ペンションに集結し活動を終了しようとしていた。
「よかったです・・・また二人は友達に戻れて」
「人間のあなたまで巻き込んだことは申し訳なく思っています。本当は私も平穏なこの生活をずっと求めていたんだと思います」
マコは改めて過去の遺恨を流しネネに謝罪をする。
「しかしなんであの時サナとネネが一緒にきたの?」
ハルカは天狗と共に現れたネネに問う。
「あの方サナさんっていうんですね・・・突然現れて私に気になるんだろう?って」
「僕が魔界に戻って彼女と少し接触していたからね。日本のことも監視してもらうように頼んでおいた」
意外にも答えたのはスウである。
「それで魔界に帰っていたの?ものぐさなスウがぁ、急に帰るなんて言い出すから変だなあとは思っていたけど」
我関せずでペンションで日柄主婦をしていたマリカは初めて話題に参加する。
「まあね、ユウの催眠魔術が聞かない時点で変だと思っていたし僕もこのスローライフにちゃちゃ入れされたくないしね」
「相変わらずお前らしい理由だな」
ユウは自宅に寄生している不良債権に呆れる。
「サナが出てきてくれれば基本安心だろう?」
「まあな・・・」
「そんなにすごい悪魔なんですか?」
ネネはサナがあの時戦わなかったので素朴な疑問を口にする。
「僕たちとは別格だよ。魔界軍第2位の天狗さ」




