第20話 シャワー上がりに女子の部屋
結局日本、しかも静岡県付近で発生した大きな聖力の謎は分からぬまま、昼過ぎには家に帰ってきた。
「テメェよくも南米に飛ばしてくれたな・・・」
長めの髪に木の枝が刺さり服も汚れているユウは恨めしそうにハルカを見る。
「あんたが突然現れるから悪いのよ」
特に悪びれる様子もなくハルカは買ってきた水着を洗濯機に放り込む。
「ったく、シャワーでも浴びてくるか」
そう言ってユウはシャワー室に消える。
「ところでスウさんはどこにいったんですか?」
スウの姿が見当たらない
「あー二人が出て行ってすぐに寝たわぁ」
「あいつ完全に昼夜逆転してるわね」
どうやら就寝時間は午前10時頃らしい。
「まったく、あいつが起きてたらなんかヒントになりそうな情報えられたかもしれないのに」
「え、ハルカさんそれってどういう事ですか?」
「スウは約100年前にできた魔界軍発足当初からのメンバーだからよ」
400歳代であるスウは魔界軍でも古参のメンバーであるらしい。
「ま、100年も前のことだし基本自由人だから忘れてることも多いかもしれないけどね」
「でもあれだけ自由な人が100年も魔界軍にいるってなんか意外ですね」
「あのスウが魔界の事なんてどうでもいいっていうならー、当時子供だったマリカとユウくんはもっとだよねー。まだ吸血鬼のハルカのほうが理由があるわぁ」
「えっと、どういうことですか?」
「吸血鬼は今あたし含めて10人くらいかな。それ以外は絶滅してる」
「絶滅・・・してる!?」
「基本体が頑丈で圧倒的に負力容量が多い吸血鬼も弱点はあるのよ、多分500年もしないうちに絶滅するでしょうね」
ハルカはさらりと言うが500年で絶滅するなら190歳のハルカは最大でも700歳くらいまでしか生きられない。
魔界の平均寿命は800歳だとユウは言っていたから平均より少し早いくらいだが諦めがついてるのか単純に十分な寿命だと思っているのか。
ネネは理由を聞き出すことは出来なかった。
シャワーを出たユウはスウの部屋をそっと開ける。スウはこちらに背を向けてベッドで寝ていた。
「お前こんな時間に寝るのかよ・・・」
ユウは小声で呟いた
「・・・ここは君のペンションだけど一応僕も女の子だよ?ノックくらいしたまえよ」
相変わらず背を向けたままだがどうやら起きていたらしい。
「ニートがよく言うぜ」
「はは、周りに気を遣う生き方をしてこなかったものでねぇ。で、何か用があるんだろ?」
スウはユウが来るのを分かっていたかのような口ぶりだった
「まあな・・・どうしてあんな若い悪魔に付き従ってるんだ?」
「・・・・」
何も言わずスウは背を向けたまま首だけ180度真後にゆっくり振り返る。
「サイレントキラーと恐れられストラス族でも抜きん出てたたあなたが100年も魔界軍に所属して、かと思ってたら魔界のことなんかほったらかして日本で超スローライフを送ってる」
「そりゃあどうも」
「俺は魔界軍の発足当初、軍全盛期のあなたを見たことがないから今のあなたを見てるとよく分からなくなってきた」
かしこまった様子で要件を告げるユウ。
「容姿こそ幼いけどこう見えて僕は君の倍以上生きてるんだ。人は変わるもんだよ」
「お前も俺も人ではないだろ」
ユウはもとのフランクな状態に戻り苦笑いして突っ込む。
「僕ら根本的は人と変わらない。君だってそう思ってるんだろ?きっとそれが答えなんだろうね」
「どういうことだよ」
「わからないならいいさ」
そういうとまた首を戻してしまう。
ユウはこれ以上は話を聞けなさそうだったのでスウの部屋を後にした。




