第11話 秘密の部屋が欲しい
「んちゅる・・・・ふぅ」
ハルカが入学してから昼休みはほぼ毎日吸血されている。嫌ではないのだが入学して1週間毎日二人で居なくなることにそろそろ違和感を抱かれてもおかしくない。
そしてその予想は的中することになってしまった。
血を吸わせた後忘れたと言い訳していた課題を提出するべくユウは職員室に向かっていた。
「ちょっといいでしょうか」
「俺の事ですか?」
「ええ。私のことは分かりますよね?」
校内履きの色からして上級生、3年と思われる。だがどこかで見たことのある人物だった。
「ああ、生徒会長の・・・マホさん?」
「マコです」
違ったらしい。
「会長が何か用ですか?」
生徒会長に声を掛けられるような覚えはない。
「2年生の間で首筋を舐めあっている生徒がいると生徒会に匿名で苦情が来ています」
「舐め『合って』はいねえよ!」
つい反応してしまった。
が、時すでに遅く
「やはりあなたの事でしたか」
「な、何のことかわかりませんね」
「とぼけなくて結構。目撃者が言う特徴と一致してますから。チャラチャラしたダメ男というのはあなたでしょう?」
「チャラいはともかくダメ男は完全に言いがかりだろ」
しかし見られるリスクがあるのでわざわざ屋上で吸血しているのだがなぜバレているのか。見えないと思い込んでいるだけで校庭や向かいの校舎からはもしかして見えているのかもしれない。
「とにかく。次そのような行為を目撃もしくは報告があったら停学を掛け合いますからね」
「まじかよ・・・」
「まじです」
そういうと会長はスタスタと去ってしまった。
「まずいわね・・・まさか見られてたなんてね」
早速ハルカに報告した。
「校内で俺ら二人が居ても不自然じゃなくかつ見られない教室が欲しいよなあ」
「催眠魔術で空き教室を使うのは?」
「全校生徒に催眠魔術なんて掛けられるわけないだろ。催眠魔術は相手と目を合わせるか魔女のキスでしか掛けられねえんだぞ」
「幻覚魔術は?」
「それっぽいことはできるかもしれんが俺もお前も幻覚魔術に長けてる悪魔じゃない。それこそこの規模の人数に幻覚魔術かけられるのはサキュバスくらいだろ」
「そうね・・・堕天使なら色々な魔術使えるんでしょ。なんかいいのないの?」
「無茶いうな。あったら最初から使ってる」
「つまり自然にかつ合法的に教室を使えればいいわけよね」
「教室を使うことは違法じゃねえだろ」
「放送室とか遮音もされてるんじゃない?」
「放送部が使ってる。放送部くらいの人数なら催眠魔術使えるが全員と目を合わせてっての毎回するのもなあ」
「じゃああたし達で部活つくればいいじゃん」
「・・・・・なるほど!お前すげえな」
「すごく馬鹿にしてない?」
「それじゃあ部活の申請書もらってくるか!部屋さえ使えりゃいいから内容は帰って適当に決めるか!」
「会長様。心を入れ替え部活動を設立したく思ったので申請用紙をいただけるだろうか」
最大限の誠意で頼み込んでみた。
「内容は?」
「それは・・・これから決める次第であります」
「却下ね。内容も決まってない時点で部活とは言えないじゃない」
「そこをなんとか!用紙だけでも!」
ユウは誠心誠意真っ直ぐ目を見て頼み込んだ。
「・・・第一人数は最低でも4人。メンバーがそろって初めて申請書。そこから設立に値するかの審査をします。何一つクリアしていませんね」
そういうと会長はさっさと行ってしまった。
「結局ダメだったと」
「ああ・・・人も足りてないしそもそも何をする部活かも未定で速攻無視された」
「仕方ないわ。メンバーはあたし達が悪魔だと知ってる人じゃないとだめ。まずは部活名から決めましょう」
「教室が欲しいから文化部系にするか」
「天文部なんてどうかしら。故郷月だし」
「確か既にあったはずだ」
「じゃあ・・・チアリーダー部よ!」
「メンバー4人でも足りねえだろ!」
「そうね・・・そもそも地球にきて3週間そこらじゃわかんないわよ」
「海藻を研究する昆部ってのはどうだ?」
「・・・・・・」
「今日は帰るか」
「一回帰ってネネちゃんに手伝ってもらいましょう」
「ああ・・・しかし妙なんだよなああの会長」
「なにが?」
「申請用紙を頼み込んだ時俺は催眠魔術を使ったのになんで術が効かねえんだ・・・?」




