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異世界ギルド創始生活  作者: 浮浪 太郎
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第二話 俺、誕生!

今回は主人公の誕生した直後のお話です。

結構早く投稿できて良かったです。

「おぎゃぁ〜!おぎゃぁ〜!」


 …赤ん坊の泣き声?かなり近場で聞こえてくる……いやこれ俺の泣き声だわ!


「はい、もう大丈夫。元気な男の子だよ!」


 女性の声。抱き抱えられている感覚。助産婦か?

 前が全然見えない。目を開けてもぼんやりとしか見えない。まだ赤ん坊で目が発達していないからか…。聴覚は問題なさそうだ。


 おっと、抱いている人が変わった?


「…あぁ、私の…赤ちゃん。やっと……会えた…」


 …また女性の声。こっちは母親かな?まだ見ぬ両親の顔はどんなものだろう。気になるな。

 周りの声を聞き取りづらくしている自分の泣き声に鬱陶しさを感じつつも、本当に転生してきたんだと感じた。


「可愛い。これからあなたの成長を側で見ていくのね…優しい子になるのよ…」


 優しくぎゅっと抱きしめられる。…そして柔らかいものが当たる。赤ん坊とはいえ、中身は28歳童貞。いくら母親とはいえど、中々キツいんだが。

 しばらくして、俺は泣き止み、母親と思しき女性に抱かれていると、部屋の扉が勢いよく開けられる音がした。

 俺は驚いて泣いてしまった。こんなことで泣いてしまうとは情けない。赤ん坊の条件反射のようなものだろうか。


「おぉ!我が子よ!無事に生まれてきてくれたか!」


 父親か?父親も母親も子に無頓着ではなさそうで一安心だ。


「ちょっと、ディック?あんたまだ生まれて間もない子の前でそんな大きな音立てるもんじゃないよ?」


 助産婦らしき女性が父を諫める声が聞こえる。うん、見えなくてもわかる。この助産婦さん怒らせたらダメなタイプだ。


「あ…う…すまん。気を付ける…」


 …親父。気持ちはわかるし親父が悪いが、なんか頼りないぞ。大丈夫か。


「いや、しかし俺の子か…改めてこう、顔を見ると緊張してしまうな。俺が抱いても大丈夫なのか?」


 父親がオドオドしている様子が伺える。貴族なんだろう?こんな調子でやっていけているんだろうか。


「抱き方教えるから」

「おぉ、助かる」

「まず首の後ろに手を回してだね…それで股に腕を通して…」

「ふむふむ…」


 そうして、助産婦から指導を受けた父親が少しして、いざ本番という感じに俺を抱き上げた。


「おぉ…抱けたぞ!抱けた!!」

「これくらいで喜んでんじゃないわよ。育児するにはもっと覚えなきゃならないことがたくさんあるんだよ?」

「む。やれることはやるさ。俺だって育児くらいできる」

「育児舐めてると地獄を見るわよ。それにあんたガサツなんだから基本はレイラにやらせておきなさい。事故起こしそうで心配だわ」

「な!?たまにはいいだろう!!?」

「おぎゃ〜!!」


 近くで大きな声を出さないでくれ。まだこの体に慣れていないんだから勝手に泣いてしまうんだ。


「ちょっと、あなた?」

「ヒッ…」


 今度は母親の威圧する声。なんだ。この世界の女性はみんな怒らせたらまずいのか。

 父親の名前はディック。母親の名前はレイラ、あとこの世界の女性は怒らせたらいけない、父親が頼りないってことも俺の辞書に追加しておくこととしよう。




 ◇◆◇◆◇◆




 吾輩は赤子である。名前はまだない。どこで生まれたかの見当はつく。

 さて、俺が生まれて一週間。目も見えるようになってきた。魔法はまだ使えてはいない。

 そんな俺だが、早くも人生初の大きな問題に直面している。

 そう、名前だ。名前。まだ決まっていないのだ。


「…この子の名前どうしましょう」

「うむ。これだけ候補を考えておいて結局どれにしようか決められん」


 思いつかないという訳ではないようで、候補を出しすぎて決められないとかいうことになってしまっている。

 流石にずっと『赤ちゃん』と呼ばれるのは嫌だぞ?


「お〜い。アンナ。お前も手伝ってくれないか?」


 アンナというのは俺が生まれる時にいた助産婦さんの名前だ。


「あぁ?そういうのは両親が決めるもんでしょうが。そもそも、まだ決めていなかったのかい?早く決めな」

「迷っているんだよ。名前を決めたら、それがこの子の名前になるんだろう?よく考えないと」

「何当たり前のこと言ってんだい。まぁ気持ちはわからんでもないけどね。だけど早く決めてあげないとこの子、名無しのままだよ?」

「それはいかん!待ってくれ我が子よ。今日中には決める!」

「でも…どうしましょう。やっぱり後悔はしたくないし…」


 うん、後悔とかいいから早く決めてくれないかな?待たされるこっちの身にもなってくれ。


「あんたたちが悩むようならいっそのこと、この子に決めてもらえばいいんじゃない?」

「「え?」」


 え?

 いやいやいや!そういうのは両親が決めるものだってさっき言っていたじゃないか!

 自分で自分の一生涯の名前を決めるなんて嫌だぞ!?両親もきっと自分たちで決めたいだろうし却下だ却下!


「「……」」


 ほら。困ってるじゃないか。とにかく、今日中に決めてさえくれればなんでもいいから。


「「いいじゃない(か)!」」


 ……マジですか父上母上。


「なんでそれが思い浮かばなかったんだろうな!」

「えぇ。この子に任せればきっと良い名を選んでくれるわ!私たちの子ですもの」


 おいおいおいおい。生後初の仕事が自分の名付けだって?冗談じゃないぞ。


「じゃあ、候補を紙に書いて、その中からこの子が最初に触った紙にしましょう」


 んんんんん?これはもう決定の流れなのかな?俺の意思は?いやまだ喋れないんだけどさ。


「よし、できた」


 どうやら、俺の名前候補の一覧を紙に書き終えたらしい。


「じゃ、いくわよ」

「産んだ直後なのに大丈夫なのか?」

「えぇ。このくらいなら平気よ」

「そうか。だけど、無理はするなよ」

「えぇ。もちろん」


 そう言ったかと思うと紙が目の前にふわふわと浮かんでくる。

 …え?

 明らかに物理法則を無視したように、空中に幾枚かの紙が浮遊している。

 これが神様が言っていた魔法とやらか。この流れで初めて魔法を見るということに複雑な気持ちもあるが、前世も含めて人生初の魔法を目にした俺はテンションマックスに。


「あー。だー。」


 上手く回らない舌で喜びの言葉を表現しようとする…が、やはりできない。

 そうして、魔法に夢中になってしまい、名付けのことを忘れて、空中に浮いている物を触ったらどうなるんだろう?という興味本位で一番近くの紙を触ってしまった。


「「これだ!」」


 驚いた。楽しんでる時に急に大きな声出してくるんだもん。だが、中身は28歳。生まれて一週間、もうこういったことで泣くということはない。泣くときはオムツを変えて欲しい時やお腹が空いた時だけだ。


 心の中でそんな自分語りをしていると、父が俺が触った紙を取る。


「これだな…どれどれ」

「アルバート…アルバート・シルヴェスターね」

「おぉ!いいじゃないか!流石俺の子だ。いい名前を選んだな」

「えぇ。本当に。これからよろしくね。アルバート」


 選んだんじゃないんだが。というか、この際だからもっと吟味すれば良かったかな…まぁいいか。名前なんてどれでも変わらないだろ。

 そういえば家名ってシルヴェスターなのか。とすると父が『ディック・シルヴェスター』で母が『レイラ・シルヴェスター』になる訳か。改めて、これからよろしく。父さん、母さん。


 とにかく、会社を作るのにはまず成長しないとだよな…。そして、貴族というからには領地とかもあるんだろうし、領地や領民のことも知っていかないと。

 あと、魔法を使えるようになりたい。魔法、超凄い。

次回は一気に幼少期の段階に進む予定です。

アルバートがこの世界について知ったり、魔法を使ってみたりといった感じになるかと思います。

一週間に一本程度とは前回言いましたが、気まぐれに早く投稿したりするかもです。

次回もよろしくお願いします!

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