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異世界ギルド創始生活  作者: 浮浪 太郎
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第一話 転生前

よくあるテンプレから始まる社畜の社畜による社畜の為の会社作りをする物語です。

「ふわぁ〜あ」


 眠い。今何時だ?後少しすれば朝日が上ってくる頃だろうか。

 俺はそんな時間にデスクに向かって仕事をしている。

 これが自営業ならばまだ良かったのだが、そうではない。雇われの身だ。


 世間一般で言うブラック企業という会社に勤める28歳童貞。東郷 隆介。

 デスクの上には資料とパソコン、コーヒー、そしてエナジードリンクの空き缶が数十缶。

 我ながら笑えてくる。

 これだけ積んであったら、写真に撮ってSNSに投稿すれば『リツイート』や『いいね』割ともらえそうだな…。いや、こんな写真に『いいね』をつけられても、何が『いいね』なんだと突っ込みたい気持ちにもなるが。

 とにかく今は目の前の仕事を終わらせなければ。


 瞼が重い。だが、これで長く続いたこの案件もこんお資料作成を終わらせてしまえば後は楽なものだ。

 しかし、周囲には俺以外に誰もいない。

 上司が俺のことを嫌っているのか、無理な仕事を振ってきて、悠々と帰っているからだ。

 他の連中も哀れみの視線を向けてはきたが、それ以上のことは何もせず、スルーしていきやがった。


「ブラック企業絶滅しろ」


 何度呟いたかもわからないそんな言葉を口にする。もしそうなってくれればどれだけ良いものか。

 今のご時世ブラック企業というのはあまり珍しくもないのかもしれない。

 今もこうして、俺と同じように徹夜で仕事をしている同士も何人かいるだろう。おぉ、まだ見ぬ同士よ。この戦を戦い抜こうじゃないか。


 Fuckin’ クソ上司。

 Fuckin’ ブラック企業。


 その精神で乗り越えてやろうじゃないか。



 恨み辛みをパソコンのキーボードにぶつける。

 おっと、すまないキーボード君よ。君は悪くないんだ。悪いのは全て上の連中だ。

 ん?気にしないでくれって?はっはっは、ありがとう。俺のことわかってくれるのはお前だけだ。


「…何言ってんだ俺」


 とうとう頭がおかしくなったのか。パソコンのキーボードに語りかけてどうする。


 気合を入れなければ。他の連中が来る前に終わらせて度肝抜かせてやるんだ。

 そして、誰がなんと言おうとその後帰る。帰って丸二日くらい寝てやる。

 その為にはこの重い瞼をなんとかしなければ。


 エナドリは…ない。コーヒーも…ない。買いだめしておいた分が全部ない。


「これだけ俺仕事してたのかよ…」


 仕方がない。顔でも洗おう。眠くては戦はできぬ。あれ?違ったっけ?


「…まじで疲れてるな。一先ず、顔でも洗いにいkーーーーー」


 俺の意識はそこでブラックアウトした。




◇◆◇◆◇◆




 ふと目が覚める。


「…まずい!?寝てた!!?今何時だ?仕事がまだ終わってないのに!!」

「はっはっは。仕事の心配とは君の社畜っぷりには頭が下がるよ」


 ん?誰だ?聞き覚えのない声だ。そんでここはどこだ?仕事場ではない。

 真っ白な空間。あれだ。精神と○の部屋みたいな場所だな。そんな空間に、俺と…いやほんとあんた誰だ。二十代後半くらいの男性が目の前にいる。


「おっと、名乗るのを忘れていたね。僕は君の世界の創造主さ。神様って言った方がわかりやすいかな?」


 は?神様?どういうことだ?ってことはつまり、俺は死んだのか?なんで?いやいや。落ち着け。まだここが死後の世界だと決まったわけでは…。


「いや?ここは死後の世界だよ?」


 は?いや待て。俺は何も言ってないはずだぞ?まさか…。


「えっと、あんたって心読めるの?」

「もちろん。当たり前でしょ」


 逆になんでみたいな顔されてもな。


「え〜と、わからん」

「何が?心読めることが?」

「違う。今の現状が。もしかして、妄想癖のあるやつに誘拐されたのか?」

「誰が妄想癖だっての。そもそも、心読める時点で察して欲しいものだけどね。神様だからそんなの余裕だよ」


 それもそうか。人間だったらまずできないわな。


「うん、そうそう」


 …だからってあんまり心を読むのはやめて欲しい。


「そういえばさっき、ここは死後の世界だって言ってなかったか?」

「うん。そうだよ?死後の世界。ちょっとお邪魔させてもらってね」

「えーと、つまりだ。俺は死んだのか?まだ仕事残ってたのに」

「死んでも仕事の心配?まぁ、そうだよ。君は死んで、今はわかりやすくいうと魂の状態ってところ」

「死因は?」

「過労。あとカフェインの飲み過ぎもちょっとあるかな」

「なるほど。確かにありえない量毎日飲んでたもんな…飲んでましたしね」

「思い出したように敬語使わなくていいよ。君が話しやすい姿を投影してるだけだから、僕は君より圧倒的に年上だけどさ」


 神様ってもっと傲慢なものかと思った。割と寛容なんだな。でも神様にタメ口ってのもなぁ。このまま敬語でいかせてもらおう。


「で、なんで俺神様と対面してるんです?」


 まさか、神様って閻魔様的なこともやってるのだろうか?とすると、俺はこれから天国か地獄かのどちらかに行くことに?


「別に天国とか地獄とかには行ってもらう必要はない」

「え?」

「いやまぁ、閻魔君からちょっと無理言って君の魂を引き抜いたんだよ。君には、異世界に転生してもらおうかなって」

「異世界転生って、漫画とか小説でよくあるあれ?」

「そうそれ。でさ、君の社畜根性を見込んで頼みがあるんだけどさ」


 ふむ。転生。しかも異世界に転生してもらえるのか。

 頼みか…元の世界に帰りたいとは思わないし、異世界転生させてもらえるんだし、そういった使命とかある分にはむしろ喜ばしい。目標がある方が社畜の俺としてはありがたいし、やりやすい。


「会社を作って欲しいんだよ。君に」

「え?俺が?何故です?」

「うん、そこの異世界っていうのが、よくある剣と魔法のファンタジーな世界なんだけど、文明があんまり進んでいなくってね。君にはそこで会社を作って、人々の生活水準を上げていって欲しい」

「え〜と、会社っていうのは、どんな会社を?会社と言っても、業務内容はそれぞれの会社によりけりなんですけども」

「なんでもいいよ。君のやりたいように会社を運営してくれると助かる」


 なんでもいいと言われると逆に困るな。


「ま、君のことだし、少なくともブラック企業を作って反感を買うようなことはしないだろう?」


 そりゃ、前世であんな思いをしてるってのに、来世ではクソ上司側の人間になるなんざまっぴらごめんだな。


「君は絶対そんな会社を作らないって確信があるから君を選んだんだ」


 誰よりもブラック企業を憎んでいる男だもんな俺。


「で、なんでその世界の文明発展させないといけないんですか?地球では勝手に文明発展していったりしたのに」

「あ、地球でも他の世界から転生させたりしたよ?ただ、まだ別世界からの魂を転生させるってことに慣れてなくてしばらく記憶が戻らなかったけど。トーマス・エジソンとかその代表さ。彼の場合は記憶が戻るのがまちまちだったみたいだけど」


 マジか。あの発明王にそんな裏話が…。


「ま、会社を作って欲しいっていうのは、その異世界なんだけど血筋ばっかり優遇されちゃって、有能な人が埋もれちゃったり、貧富の差が激しかったりしてるからそういうのも一緒に解決しれくれたらなって。このままじゃ多分この世界ダメになっちゃうって他の世界管理してる神様に言われちゃってね。なんとかしなきゃって。他の世界とのバランスも乱れちゃってるみたいだし」


 なんで会社?って思ったが、なるほど。色々理解した。あと神様にも管轄とかあるんだ。なんか親近感。

 世界のバランスというのは気にはなるが理解できなさそうなので聞くのはやめる。関係ないだろうし。


「とまぁ、これまで全部こっちの都合なわけだから、君の希望とかあれば聞くけど?」

「…それってチート能力もらえたり?」

「そういうのでも大歓迎。使命を与えてるんだから、それくらいやらなきゃ。すぐのたれ死んじゃったりされても困るし、こっちもあんまり転生とかできないからね」

「う〜ん。向こうの言葉とか話せるようにしてくれればなって」

「それは問題ない。それと、地方貴族レベルの家に生まれるから特に金銭面での心配はしなくていい。

 ほら、本当になんでもいいよ?ぶっ飛んだ能力求めても構わないし。遠慮はいらない。さぁ」


 何この特別待遇。必要なもの全部揃っちゃってるじゃないか。ともなれば、会社を作るのに役立ちそうな力でも…。


「あ、そうだ。その異世界って剣と魔法の世界なんですよね?」

「うん、そうだけど」

「じゃあ魔法を作って、それを自由に操れる能力とかくれません?」

「お、なかなか欲張るねぇ」

「いや、常々思ってたんですよ。

 主人公がこういう好きな能力得られる時になんで能力作っちゃう能力をもらわないんだろうって。

 遠慮いらないなら、もういっそ、そういうの貰おうかなって」


 とは言っても、その能力を乱用しようとは思わない。

 使命はあくまで会社運営。必要になった時だけ使うつもりだ。

 こんな能力を大手を振って使っていたらそれこそ力の乱用で元から住んでいた方々に申し訳ないし、あんまり強い力を見せると畏怖の念で見られたりしそうだし。

 力の乱用という意味ではクソ上司と同じことをしてるとも言える。それだけは絶対に避けたい。


「ふ〜ん。ま、悪用するつもりはないみたいだしね。いいよ勿論。ほほいのほい」


 そう言って、神様は俺に向かって指をクルクルして見せた。

 すると直後、俺の体は光り、体に何かが入ってくるようなそんな感覚がした。


「これで能力の付与は終わったよ。ついでに創造神の加護も与えておいたから。その世界では最高クラスの加護だよ」

「え?あ、ありがとうございます」


 なんか、先ほどの能力と言い、申し訳ない気持ちになってきた。ぶっちゃけ、あんな能力なんでもできちゃうもんなぁ。


「気にすることないよ。多くを望まないだけ君は緩いもんだよ」


 慰められてるのか?それとも褒められているのか?いや、褒められてるはないか。


「他の世界管轄してる神様からは、人生計画事細かく伝えられて、その通りにしろとか言って来た人もいたみたいだし」


 何それ。人生が決めた通りに進むってつまんなくないか?ハプニングあってこそだろうに。


「てなわけで、他に何もなければ転生するよ」

「あー、魔法の使い方ってどうすれば?」

「魔法は念じれば使えるよ。周りを照らしたかったら『明るくなれ』って念じれば明るくなる。

 要はその魔法の適性とかあって使えたらできるって話なんだけど…君には関係ないね。

 あと、RPGでいうMPみたいなものもあるから、使い過ぎに注意だよ。MP切れになると、気絶したり吐き気を催したりで少なくとも気分のいいものではないからね」

「なるほど……ありがとうございます。あとは自分で色々調べながらやってみます。あとは特にないです」

「OK。じゃあ転生するよ。…あ、ちょくちょく世界覗くから、たまにそっちに遊びに行くかもしれないからよろしく〜」

「遊びに来れるんですか」

「別に禁止されてるわけでもないし」

「…その時は事前に伝えておいてください」

「わかった〜。じゃあ行くよ。覚悟はいいね」

「…はい」


 俺がそう答えると、先ほどと同じように俺の体を光が包み込む。

 そうして、程なく俺は意識を失った。

この度はこの小説を読んでくださりありがとうございます。

このように、小説を真面目に連載形式で書くのも、投稿サイトに小説を投稿するのも初めてとなりますが、なんとかやっていければと思います。

一週間に一本ほどのペースで進んでいきたいと考えています。

皆さんの暇つぶしとしてでも読んでいただければ幸いです。

これからよろしくお願いします。m(_ _)m

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