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道具箱とんでもライフ   作者: 海の男
3/4

黒く暗い世界のなかで

きーのみきーのまま

僕は……あれから……どうなった?たしか……光に飲まれて……体が一気に重くなって……それから……

やっと光でつぶれた視界が戻ってきた。

周りを見渡そうとするがやっぱり暗い、というよりは黒い、しかも所々が歪んでいてとても気持ち悪いやっぱりまだ視界が回復しきってないのかな?

それよりおかしな感覚だ。なんと言うか自分が立っている感覚がない、もちろん横になっている訳でもない、まるで水のなかを漂っているような、おかしな感覚だが息はできている。思考もどこかおぼろげで、怖い、もしかして僕は死んだのか?あの光が爆発の前兆で、僕は粉微塵に吹き飛んだのか?ということは僕は死んだ?ここは死後の世界?冥界?嫌だ、怖い、助けて、姉さん、そうだ、姉さんは、姉さんは、無事なのか?ああ、いやだ、怖い、なにも、わからない、こんな、終わりかた、いやだ、動け、うごいて、お願い、うごいて、腕に、足に、体のあちこちに力を込めなんとか動かそうと気合いをいれる。指先が動いた!!徐々に力を込めていく、どうにか腕が動いた。もがけ、腕だけでも動かせるなら、なにかをつかめば動けるかもしれない。

がむしゃらに腕を動かす。なにかを、なにかをつかめれば…………指先を、なにかがかする。

(っっぅ!)

かなり掴みづらい位置ではあるけどなんとか腕を曲げ届くようにする。必死で手を伸ばす。

(とどけっ!どどけっ!)

腕と指に力を込め感覚を集中する。そして、ついになにかをつかんだ。

(よし!とどいた!)

そうして、とどいたことに喜んだところで(パンッ)となにかが弾ける音と共に手のなかでなにかが砕ける感触がした。

(しまった!)と思ってももう遅い。

手の中にはもうなにもない。虚しく空を滑る感覚が手に伝わる。

動く部位をフル活用して周りを探ってももうなにもつかめないかすらない、絶望感が押し寄せてくる。

目を見開いてもやはり黒いいまいち何があるかわからない、見えないわけではないが把握はできない。何もないわけではないがなにかはわからない。不安感と絶望感しかない、だがこのままなにもできない方が怖い!

周りになにかないか必死で目を凝らす。

できるだけ、少しでも助かる糸口を探さなくちゃ、もう何時間こうしているか、下手したら何日なのかもしれない、目が歪みに鳴れてきた。しかし、やっぱり周りに届くものがない、より深い絶望感が押し寄せてくる。

ものはあるが届かないもどかしい!体は以前として満足に動かない。

ああ、喉の乾きも、空腹感も限界だ。

せめてあそこに届けば、あそこに行ければ、なにかつかむことができればなにかが変わるかもしれないのに!!

手を伸ばす、少しでも届くように、少しでも動けるように、こんなところで諦めたくない、死にたくない、姉がどうなったか確かめたい、なにもわからずに終わるなんていやだ、そのためにもまず少しでもなにか知るために、僕はあそこにいきたい!!

その瞬間視界がぶれた、まるで映像が切り替わるかのように黒い歪んだ景色なのは変わらない、だけど。

腕を動かすと、なにかに当たる。

目を凝らすと、なにかがある。

(やった!!なぜかはわからないけど!僕は移動することができた!ものがある、触れる、なにかをつかめる!)

とりあえず一番近くにあるものをつかむ、前回のように砕かぬよう力加減に気を遣い、指先に意識を集中する。

(パンッ)という音がした。また壊してしまったかとあせるが、どうやらものは無事のようだった。

顔の前に引き寄せ、目を凝らす、どうやら液体がガラスの容器に入っているようだ。

喉の乾きも限界だったこともありできれば飲みたい。しかし毒や薬品だったら怖い。

考えた結果、爪で指先に傷をつけ一滴駆けてみることにした。

痛みがあることに少し安堵感を覚えてしまうのが少し悲しい。

そして一滴駆けてみると、みるみるうちに痛みは消えた、というか傷が無くなった。

驚きもあったがそれ以上に喉の乾きが限界だった。

最後の理性で舌先に一滴垂らす。

味は……甘い!!そこからはもう、止まらなかった。

気がつくと、容器の中身を全て飲み干していた。

喉の乾きが消えた。空腹感も多少はましになった。

そのおかげで、心にも多少の余裕が生まれ、気づいた。

体が軽くなっている。まともに動くのは腕くらいで足は動かすのも億劫なほどたったのに、足がとても軽い、しかし足が重いときと同じ感覚で動かしたのがいけなかった。

ブンッと勢いよく振り抜かれた足が2、3個なにかを蹴り抜いた。バリンッとなにかを蹴り抜く音が二回パンッという破裂音が三回聞こえたからおそらく二個は壊してしまった。あとひとつは…………さっきのんだとの同じ液体のようだった。

(蹴り抜かないでよかった。)

容器を手に握っておくこれでまたいつでも飲める。

ふと、唐突に気がついた。体が軽い、そしてさっきより鮮明に周りが見える。これは嬉しい。

確認するように周りを見渡し気づいてしまった。食べ物がある!反射的に手を伸ばすが届かない距離だ。わかっている。だが空腹感には勝てない。

(食べたい!)

……するといつのまにか食べ物は目の前にあった。よく見えるようになって気づいたがものの周りを薄く丸い膜のようなものが覆っている。透明なのでシャボン玉にも見える。

だが今はそんなことはどうでもいい、力任せに膜を破り中の食べ物を口一杯に頬張る。

少し塩気は薄く獣臭いがそんなことは気にならない程の空腹感からか、とても美味しい!

もう何日ぶりかもわからない、まともな食べ物に感動し涙が出てくる。

(うまい!うまいよ!)

しばらくは泣きながら食べた。久しぶりに食べ物を口にいれたせいか喉に詰まりかけることもあったが飲み物があったので無理矢理流し込んだ。

久しぶりに満たされた。食べてる間は不安感や絶望感が薄れた。満腹になったことで心に余裕ができたのもあるだろう。

(さて、これからどうしよう。食べ物と飲み物はある程度確保することができそうなのはわかった。体もだいぶ動くようになった。それどころか、ここに飛ばされた前より、軽くすら感じる。この無重力のような状態にもだいぶなれた。……他には)

ためしに適当な方向に向け手を伸ばす、力を込める、手を握りこむなどしてみるがやっぱりさっきのような現象は起こらない。今度は、適当なものに向けて視線を集中する。動かない、手を伸ばす、すると

(おっ、できた!)

そこで周りを確認してみると、さっきまで手元にあったはずの液体を飲みきった空の容器がかなり後ろの方にある。

つまり、僕は物を引き寄せているのではなく、僕自信が一瞬で移動している?

(いよいよ訳がわからないな。こんなのまるでファンタジーの世界じゃないか。)

困惑しながら、内心ワクワクしてしまっているのはしょうがないと思うんだ。男の子だもの。

だってこれワープ能力でしょう?これさえあれば姉さんにアイス買ってきてーとか、シャンプー買ってきてーとかすぐに終わるじゃん?最高だな。

というかこれちゃんと使えるようになればもとの場所にかえれるのでは?

やったな解決じゃん。

これなら…………なんとか……なる…………かも……………………










「………………ZZZZZZZ」









意識が遠のいていく、寝る前の微睡みにもにた優しい心地だ。ゆっくりと閉じていく瞳と微睡みのなかで感じた最後の感覚は、体に、全身にめぐっている不思議な熱だった。



探索中の寝落ちは死亡フラグ(テンプレ)

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