寒さの中でも熱いもの
どうしてこうなった
作者迷走中
冬もそろそろ明ける頃。
時期としては、暖かくなり始める頃合。
しかし、霧の湖に張った氷は、溶ける兆候どころか厚くなるばかり。
外は常に吹雪が吹き荒ぶ有様。
それ故、寒さが苦手な火の妖精、フラムは大妖精作の氷の家に閉じこもっていた。
「あばばばばば寒ぃ・・・。」
敢えて説明しておくが、銀世界どころか吹雪が止まなくなっている外と比べ、イグルーの中は非常に暖かく、快適である。氷の家だからと言って、外より寒い訳では無いのだ。
「彗!あたいを離せ!」
彗に抱きしめられ、藻搔きながら叫んでいるのはチルノ。
だが、普段より年齢を重ねて見える。
また、どこか賢くなっている様に思われる。
「嫌だよ、久々に君と『恋人』として居られるのに。」
チルノの顎を撫でるようにして手を添え、自分の方を向かせる彗。
目が合ったチルノは頬を染め動きを止める。
彗がそのままキスをしようとしたところで、無粋な声が水を差す。
このイグルーの家主(?)のフラムである。
「うげ、よくそんな事言えるな彗。オレはそんな事言えねぇぜ。しかもそのままキ、キスまで行くとはよ。」
水を差された彗は少しばかり苛立った様子で、フラムに言葉を返す。
「・・・君はそもそも素直じゃないからね。」
「なあ彗ー、離してくれってば。」
腕の中に収まっているチルノを無視した彗は、悪戯を思いついたかのようにニヤリ、といつもの五割増しの笑みを浮かべてフラムにこう言った。
「それとも、羨ましいのかい?フラム君。」
「だっ、誰がッ!?」
「ん・・・ぅ・・・・。」
フラムに見せつける様に、チルノにディープなキスをする彗。
チルノはされるがままになっている。
頬を染めて固まるフラム。
と、大妖精がイグルーへと入って来た。
「フラム君元気ですか寒くないですか大丈夫ですか!」
「お、おう。」
一気に捲し立てる大妖精。
フラムは話の内容よりも、その動いている唇が気になって仕方がない。
しばらく喋り続けていた大妖精は、やっとフラムが自分の顔を見ながらぼうっとしている事に気付いた。
「フラムく・・・どうしたの?」
「へ?」
間抜けな声を出したフラム。
大妖精への返答は、彗によって代わりに行われた。
「あぁ、大ちゃん。「フラム」って呼び捨てにして欲しいみたいだよ?それと、キスもね。」
目をぱちくり、と瞬かせる大妖精。
「へぁッ!?」
敵わないのはフラム。
妙な声を出し、赤面する。
あまりの動揺で、頭の中が真っ白と言った様子だ。
そのフラムを見た大妖精はうーん、と暫しの思案の後、フラムの名を呼んだ。
「フラム。」
「へ、は、うっせぇ、人を呼び捨てにすんじゃねッ!?」
いつもの悪癖が出たフラムは、悪態をついている途中で、唇を塞がれた。
いつもの八割増しでニコニコとし始める彗。
「ぷは、な、なななななな・・・。」
「ごちそうさまです。」
動揺でいつもの悪態すら出ないフラム。
ペロリと舌舐めずりした大妖精は見た目にそぐわぬ妖艶さを醸し出している。
その数秒後、氷の家は爆散した。
〜再建された氷の家内部〜
「オイ、彗。」
「何だい?」
「何でソイツがデカくなってんだ?」
「はーなーせー!」
「ああ、チルノは氷の妖精だからね。妖精は自然そのもの。それは君も知ってるだろう?」
「おう。ちょ、大妖精!」
「そんなに私に触れられるのは嫌?」
「い、いや・・・。」
「今自然はどうなってる?まるで氷河期じゃないか。まあつまり自然界に氷が増えれば増える程、チルノは成長、もといもう一つの姿になるのさ。・・・聞いてるかい?フラム君?」
「おっ!?おう!」
「ま、いいや。まあ、大火事でも起きれば君も成長した姿になるかもね。大ちゃんは風、かな?」




