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従者と従者、無情な九条(兄)

連投の2個目

紅魔館の一角。

時の止まった世界。

キッチンにて、御堂と咲夜は出会った。

お互いに意図せぬタイミングだった為、二人ともが一瞬にして、硬直する。

そして御堂が沈黙に耐え切れず、口を開く。


「あー、メイドちょ「きゃあああああ!!?お化けぇぇぇぇぇ!!!」ちょ、痛い痛い痛い!!?」


しかし帰って来たのは悲鳴と無数のナイフ。

御堂の四肢と胴に正確に突き刺さり、更に問答無用で額を割る。


「このっ!死ねっ!成敗ッ!!」


ザクザクと御堂を切り刻む咲夜。

出血が洒落にならなくなって来た御堂は、思考を巡らせる。


「(若かパチュリー様なら治癒魔法が使える筈・・・で、時の止まった世界では血も流れない・・・ならばメイド長が俺を運んでくれれば助かる、かね・・・?)」

「このっ!このっ!」


尚も刻まれる御堂。

彼は痛みに構わず叫ぶ。


「やめろ下せぇ、メイド長!悪いが治癒のできる人の所へ連れて行って下せぇ!!頼みやしたぜ!?能力の遮断解除!!」


途端、喋っていた御堂が、動きを止める。

それと同時に、出血も止まった。

時間が止まっているのだ、当然だろう。

同時に咲夜の能力の制約の内の一つ―――直接時の止まった世界で他人を害する事は出来ない―――が、効果を表す。

刺さらないナイフ。

それを見て我に帰った咲夜は、動揺する。


「えっ・・・?えっ?えっ?」


本来ならば、御堂の怪我の規模は絶命まであと数十秒持つかどうかと言った所であり、咲夜に動揺している暇は無い。

しかし、他ならぬ咲夜自身の能力によって、御堂はこの時の止まった世界に置いて、完全に保存されていた。


「・・・・・。」


サァ、と青ざめる咲夜。

しかし彼女とて馬鹿では無い。

すぐに政亜とパチュリー、どちらが彼、御堂の治療に相応しいかと思案を巡らす。

そして、彼女は普段の御堂を知る政亜の方が相応しいだろうと言う結論と共に、政亜、御堂両名や自身の主人に怒られる覚悟を決めた。


止まった時の中を、御堂を引き摺りながら進む。血痕が残っているが、どうせこの止まった世界のまま掃除してしまえば良い。

そう考え、扉を開けて、無礼を承知で政亜の部屋へ入り込む。

すると、相も変わらず、図書館の文献を前に腕組みをしている政亜が椅子に座っていた。


能力を、解除する。

途端、御堂が呻き出す。

そして咲夜が言葉を発するよりも速く、治癒系統の魔法が飛んできた。


「〈治癒クーラーション〉。御堂、何があった?」

「痛い痛い痛・・・く無い?おぉ、若!」


ヒョイ、と起き上がった御堂。

余りの展開の速さに咲夜は言葉を失う。

そして、咲夜が気を取り直すより先に、御堂が喋り始める。


「いやー、酷い目に遭いやした。何があったか、ですかい?俺が不用意にメイド長に近づいて、ビビられて刺されただけでさぁ。人を驚かすとロクな目に遭いやせんね、本当。」


御堂の言葉を黙って聞いていた政亜は、腕組みをやめ、咲夜に向き直る。

少し身を硬直させる咲夜に、政亜は淡々と告げた。


「ふむ。メイド長、馬鹿が迷惑をかけた。詫びと言っては何だが、その馬鹿を止めた時間の中でこき使ってやってくれ。」


それだけ言うと、また文献に向き直る政亜。

自らの従者が重症を負わされたと言うのに、あんまりな態度。


されど、御堂も大して気にしていない様で、ニコニコと笑いながら咲夜に話しかけて来た。


「そう言う訳らしいんで宜しく頼みやすぜ、メイド長。早速指示等ありやせんかい?」


咲夜は、なんとも言えぬ感情を抱いた。

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