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八雲雑談

八雲家

夫婦喧嘩をご覧下さい


連投:④

此処は、何処にあるかも分からぬ八雲宅。

その、畳の六畳間。

藍と零と橙が出て行った後に残された紫と天夜は、やっと二人きりでの、落ち着いた、再会の余韻もなくなった後での時間が取れそうだった。

二人はちゃぶ台を挟んで、向かい合う。


「で、天夜。」

「何かな、紫?」


紫が、話を切り出す。


「今回は随分長く現代()に居たじゃない。ここに帰って来たく無いのかしら?」


紫は半眼で天夜を睨みつける。

所謂(いわゆる)「仕事と私どっちが大事なの!?」と言う奴である。その怒りに対し、天夜は落ち着いて正座に座り直し、こう言う。


「ふむ、随分唐突だ「唐突!?貴方が外にずっと「あー、先ずは僕の話を聞いてくれるかい?腹は立ってるだろうけど。一度、落ち着いて?」


呑気な天夜に怒りを露わにする紫。天夜はそれを遮り、落ち着けと言う。しかし紫はそれでも、賢者と呼ばれた身。溜息一つでなんとか落ち着き、しっかりと構える。


「ッ、・・・ハァ・・・良いわ、納得させて頂戴。」

「有難う。さて、まぁ、誤魔化してる様に聞こえるかもしれないけどね、僕が何故、仕事とはいえ・・・外に長い時間居られると思う?」


唐突な質問。

その質問そのものは満足のいく答えではなく、紫は捻くれた答えを返す。


「此処を大事に思って無いか「そんな事は無いよ。それは君自身が分かってる筈だ。ただ、君が本当にそう思ってるんだったら僕の態度が悪かったんだろうね。ごめん。」

「「・・・・・。」」


気不味い沈黙が、場を支配する。

紫は不満顔、天夜は僅かに口角の上がった、真顔だ。『捻くれた紫も可愛いなぁ』などと考えているに違いない。

話が逸れた。紫は、天夜がボロを出さなかったので次の言葉を促す。


「・・・・・そう、それで質問の答えは?」

「ああ、答え、ね。それは君が幻想郷(此処)を見ててくれるからさ。それに、それは君にしか出来ない。ま、早い話ね、紫が此処を管理してくれるからこそ、僕は外で色々頑張れるんだ。」


紫はその言葉に、なんとか反撃材料を探し、また捻くれた答えを返す。


「・・・つまり管理出来れば誰でも良いの「違うよ。僕は、いや、・・・俺はお前じゃなきゃ嫌だ、断言する。」


その言葉に少し頬を染めた紫は、しかし誤魔化されず、踏みとどまる。

口角が上がってしまったのか、急に口元を扇子で隠してしまったが。


「・・・じゃあ外にずっと居たのは何故?」

「あー、仕事が多かったからだよ。僕だって全知全能じゃない。それも君が必要な理由の一つだしね。まぁ兎も角、仕事が長引いたのさ。ごめんね?」

「ふーん・・・まぁ、許してあげるわ。」


言葉の上では偉そうな振る舞いの紫だが、頬を染め、目を逸らしながらでは彼は『可愛いな』としか思わないだろう。


「うん、有難う、紫。」


そう言った天夜は立ち上がり、座っている紫の背に自らの背をくっつけて寝転がり、眠り始める。

それに対し紫は一瞬、身を固めた。しかし、それはすぐ和らぐ。


「全くもう・・・。」


紫はそう言いつつ、一度座り直し、天夜の頭を掴み、膝の上に乗せた。そして天夜の髪を手でいじる。

まぁ、詰まるところの膝枕である。


「「・・・・・・。」」


そして、再び沈黙が場を支配する。

しかしさっきとは違い、言葉に出来ない、淡い幸せに満ちた沈黙だ。




それをスキマ越しに見ていた狐二人は安堵の溜息を吐いた。


「やれやれ、紫様がご立腹だ、と天夜様に伝え忘れた時にはどうしようかと思ったが、なんとかなったか・・・。」


ふう、と一息吐く藍。しかし何故か彼女は布団の上で、更に言えば裸で、寝転がっている。身体は色々なアレで濡れており、そして隣には零が居る。彼も全裸だ。


「は、は。藍、そんな心配などあの天夜殿に必要あるまい。しかし、何故座らぬ?」


笑いながらそう言う零。

藍は少しキレ気味に怒鳴る。


御前おまえにさっきまで散々ヤられていたからだ!!まったく、あんな性技、何処で身に付けて来たんだか・・・。まだ身体が動かん。」

「何処で、か。・・・天夜殿に教わった。」


その言葉に、藍は驚愕する。


「は!?では紫様はアレを受ける事になるのか!?性欲(アレ)が強い我々獣系の妖怪ならまだ良いが紫様だぞ!?」

「いや、天夜殿の事(ゆえ)その心配はあるまいよ。問題無く、(あの娘)を昇天させるであろうよ。」

「そう言う問題では無い!」


そこで少し、間ができ、零は話を変える。


「・・・(それがし)は、それだけ叫べるのであらば立ち上がれると思うが・・・。」

「ふむ、確かに。よいしょ、おお、動ける。では零!五回戦だ!」

「まだヤる気か!?」


今度は零が驚く番であった。


「当たり前だ、御前が外に居た時間分、しっかりと相手して貰うぞ!」


そう言う藍に、座っていた零はゆっくりと立ち上がり。


「やれやれ、(しか)らば何度でも気を遣ると良い・・・・・。」


そう言って、肩と拳をポキポキと鳴らす零に、藍は引き攣った笑みを浮かべた。


「お、お手柔らかに、な?」


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