悪魔の館にて能力を知る
紅い洋館の前にたどり着いた九条家一行。
ほぼ全てが紅色のその館を見て、若、政亜は開口一番にこう言った。
「御堂。この悪趣味な館は何だ?」
「シューコー。」
「みどー、この辺りはきりうすいよ?がすますく外したら?」
正人が霧が薄い事に気付く。
この程度ならば特に害も無いだろう。
「シュシュシュコー。・・・プハ!本当だ、薄いですねえ。霧を発生させた本人もあまり吸いたく無いんでしょうかね?」
「知らん。が、その可能性は充分ある。」
すたすたと正門に近づく正人。
誰かを見つけた正人が挨拶をするが、その人物は謎の弁解をしだす。
「あっ、誰か寝てるよ!こんにちは!!」
「わっ!?さ、咲夜さん違うんですこれは精神集中を・・・・・・誰ですか?」
一行を警戒する様な目つきで見る門前の人物。
中華風の衣装と人民帽のような物を身に着けている。
それに対して、また若が薄ら笑いと敬語の胡散臭い話し方になる。
「私は九条政亜と申します。私達は道に迷ってしまいましてね。此処がどこなのかも分からずこの館に着いた次第なのです。」
「あ、はい、そうだったんですか。それなら、申し訳無いのですがお引き取り下さい。ここは悪魔の館ですから。メイド長の咲夜さんに見つからない内に・・・」
そう言った中華風の服の女性の背後に音も無くメイドが現れる。
突然何も無い空間からメイドが現れた様に見えたのは目の錯覚だろうか。
「誰に見つからない内に、かしら?」
「ひえっ咲夜さん!」
「今日の来客は拒むな、とお嬢様が仰っていたのを忘れたの?何を帰らせようとしてるのかしら?」
「ね、寝起きで頭が回ってなかっt」
「寝起き?そう、門番のくせに、また寝ていたんですね?」
問答無用でナイフが現れ、門番に向かって飛来する。
やはりと言うべきか、このナイフもメイドが一切動く事無しに地面に突き刺さった。
「しまった!墓穴でしtちょッ、危な、ッ!?」
そのやりとりを見ていた一行だが、特に驚く様子は無い。
普通はもう少し、こう、取るべき反応があると思われるが・・・。
「若、何ですかい?この漫才は。」
「知らんな。だが『今日の来客は拒むな』という事はつまり、だ。」
「やかたに入れてもらえるね!」
と、そこで絶が今思い出したかの様にメイドに知り合いについて尋ねる。
「あア、そウ言えば・・・メイド。コの館に『人畜無害』とカ『低級悪魔』とか名乗っていル奴は居ナいか?」
「・・・『小悪魔』でしたら。」
「なラばソイツに一報入れてクれ。『無価値なる者を無力なる者が訪ねる』ト。」
「・・・?まあ良いでしょう。」
メイドが消える。
その時点での存在が他所に移ったかの様に。
そして一拍、いや、五秒程置いて、再びメイドが現れる。
「言伝の返答です。『ええ!?なんでこんな所に居るんですか!?』以上です。」
「ふム、そうカ。悪いナ、若、御堂、マサ。待たせタ。」
「・・・では、館の主がお待ちですので、そろそろご案内します。」
そう言って歩き出すメイド。
連れられて一行が来たのは、執務室、と言った雰囲気の部屋。
「ふむふむ。掃除は行き届いてますが生活の気配が全くしやせんねぇ。誰も使っていない部屋なんですかい?」
「そうなります。・・・そろそろお嬢様がお見えです。くれぐれも粗相の無い様にお気を付け下さい。」
しばらくして、部屋に入って来る館の主。
見た目は幼女だが、威厳はそこそこある。
「よくぞ参られた、御客人。私はこの館の主人、レミリア・スカーレット。単刀直入に言わせて貰おう、此方から望むのは一定期間の滞在。異論は無いか。」
そして、再び、敬語・薄笑いの若。
「いえいえ、それは私共にとっても渡りに舟。寧ろ此方からお願いしたい程で御座います。されど私共の滞在を望まれる理由を聞いておきたいのですが。」
「理由か。良き運命が見える、では駄目か?」
「運命が見える、と言いますと?」
方眉を上げ、訝し気な様子の政亜。
一瞬固まったレミリアは、少し考え、納得した様に言った。
「そうか、外来人は『能力』を知らないのか。」
「『能力』、で御座いますか。」
「ああ、例えば私は『運命を操る程度の能力』を持つ。・・・ああ、そうは言っても自在に操る事が出来る訳では無い。多少手繰り寄せる事は出来るが、言ってしまえば運命を覗ける程度の物だ。ついでに運命を覗いて貴殿等の能力を調べてやろうか?」
「それはそれは。では、この男以外をお願い致します。」
この男、と言って若が指したのは絶。
指された本人も当たり前だ、という顔をしている。
「え?なんで・・・ッ、コホン。では。」
「(成る程、腹芸の出来るタイプでは無さそうだな。言葉の端々に此方を見下す表現が有るのはナルシストか本当に優れているのか・・・。)」
若がそんな事を考えている内に、レミリアが再び口を開く。
「若、と呼ばれている代表者、貴殿の能力は『ありとあらゆるものを操る程度の能力』だ。そこの柄の悪い皮ジャケットは『完璧にする程度の能力』、そこの幼いのが『取って付ける程度の能力』。」
「成る程。左様で御座いますか。差し支えなければ、『能力』の使い方を教えて頂けませんか?」
「・・・わかった。ここでは何だ。図書室へ行こうか。」
一行と館の主レミリア・スカーレットは図書室へ向かった。




