紅魔郷・終わらぬ狂気
これ
連投
2個目
ここは紅魔の館。
そのリビング(そう言って良いかは疑問だが兎に角人が集まる事の多い部屋)にレミリア、モーニ、フラン、咲夜、そして御堂と正人が居た。
「ああ、フラン。フランが正気でここに居るなんて夢の様ね!いや、夢すら生ぬるいわ!」
くるくると舞い踊るレミリア。
モーニが微笑ましそうにそれを眺めつつ、しかし時折フランを警戒している。
「お姉さまキモイ。」
そしてとうとうフランはそう言い放った。
モーニと正人は苦笑いしている。
「ゴフッ・・・・いや、フランから何か言ってもらえただけでも進展よ!」
キモイと言われたレミリアは血を吐き、それでもすぐに復活し、終始ニコニコしている。
普段の彼女を知る者で事情を知らない者はいっそ不気味に思うだろう。
と、そこに政亜が入室して来た。
後ろにパチュリーもついて来ている。
それに、フランが目に見えて怯えだす。
「モーニブラッド、狂気の治療を開始する。レミリアスカーレットを抑えてくれるか。」
「・・・ハァ、やれやれ。わかったよ。気は進まないけど、やらなきゃいけない事だからね。」
言うが早いかモーニはレミリアを拘束。
様々な魔法を丹念に重ね掛けする。
「ちょっと、モー・・・・」
レミリアが四角い空間に閉じ込められた。
貼られているのは彼女が壁を叩いて暴れていても音すら伝わってこない高度な結界の様だ。
それを見て中々の術式だ、と溢す政亜。
それをモーニが急かす。
「政亜君、早くしてくれるかい?余り長くはもたないんだ。」
「了解だ。パチュリー、手伝って貰えるか?」
「それ以外にここに来る目的はないわ。」
「では、始めようか。」
結界の中でレミリアが喚いて居るのが見えるが、音すら伝わって来ない。
「フランドールスカーレット。指示に従え。その身に宿す狂気で、再び他人を傷つけたくはないだろう?それともお前の隣の正人も壊してしまうか?」
政亜の怖気さえ覚える様な淡々とした口調にモーニが肩を竦める。
「こ、壊したく、ない!」
逃げたが戻ってきた、唯一のひとを壊してしまうのか、と問われたフランは涙目で叫ぶ。
「で、あれば従え。何、正人も同伴する。恐れる事は無い。いや、恐れるべきはフランドールスカーレット、お前がこれを最後まで受けられない事だ。お前の心が折れれば元も子もない。」
「・・・何を、するの?」
恐る恐るそう言ったフランに、政亜は問答無用で施術を開始、その様子を見たレミリアが更に暴れだす。
「少々痛むぞ。〈激痛〉。」
「うっ、が、がァァァァァァ!!?」
痛みに叫ぶフラン。
その声は獣性すら宿しているが、レミリア以外に動揺する者は無い。
「フラン、がんばって!」
「痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イ痛イイイイイィィィィィィィイ!!!!」
フランは正人の励ましも聞こえない状態で叫び、頭を振り乱し、のたうち回る。
「まだ甘いな。パチュリー、引き摺り出すぞ、重ねてくれ。」
「わかったわ。〈激痛〉。」
真剣な顔で観察する術者二人によって、更に痛みが倍加。
地獄の様な苦しみがフランを襲う。
「痛イ痛イ痛イ痛イイタイイタイィィィィィィ!!!アガァァァァァァ!!!!?」
そして、血涙すら流して苦しむフランに何かを見て取った政亜は正人にこう告げる。
「ふむ、正人。無理矢理で良い、剥がせ。俺が引き受ける。」
「わかった!この狂気を、『とって』にーさんに、『つける』!!」
正人がそう叫ぶと同時に政亜はパチュリーに支援を頼み、深呼吸を一つした。
「術式解除。パチュリー、術式を解除して、支援を頼む。さて、後は俺次第、か。」
途端、フランが気を失い倒れ、政亜が頭を押さえて苦しみだす。
勿論、倒れたフランは正人が倒れる途中で抱き留めている。
「グ、ガ、中々、これハ、強イな。グッ!?畜生メ、呑マレカネン!」
間髪入れず、パチュリーが術式を行使。
「〈精神治癒〉!!」
「ヌ、グ、ガガ、ガ、ヌゥ。中々ニ、苦シイナ。フランドールスカーレット、オ前ハコレに耐えていたのか。しかし外部の狂気は今、俺が引き受けた。これで―――」
狂気に侵されながらも、正気を取り戻し、狂気を押さえ込んだ政亜。
彼は少し話した後言葉を切り、目を閉じて深呼吸をする。
そして少し間を置き、ゆっくりと目を開けてこう言った。
「―――お前自身の狂気を治療するだけで済む。何、心配は無用だ。お前自身が抱えているその狂気は穏やかに過ごして居れば治る。問題は、俺がヒキウケタこの狂気が何処から来たか、だな。」
その彼の言葉にはその場に居た全員が、耳を疑った。




