紅魔郷EX=紅
これは
連投
前話読んだ?
正人は、瓦礫の中で目を覚ました。
階段に弾幕が当たった時に抉ぐれて出来た凹みに足を滑らせ落ちた事によってフランの攻撃から逃れたらしい。
彼は暫し辺りを見回して、やがて上から聞こえる轟音に顔を顰める。
「・・・たすけに、行かなきゃ。」
彼は一歩ずつ、一段ずつ、確かに、音へと近づいて行った。
さて。
パチュリーは狼狽していた。
自分より強いであろう悪魔は破壊され爆散、そこそこ賢いであろう魔法を良く知る人間は床の上で眠りこけている。
「(咲夜は何してるのよ!?いつもなら直ぐに来るのに!小悪魔はまだ応援を呼べてないの!?)」
「タノシイネ?」「タノシイナ!」「タノシクナイノ?」「ツマンナイ?」
彼女は、パチュリーは一度フランを追い詰めた筈なのだが、絶と政亜が倒れて相手が四人になった事によって窮地に立たされていた。
挙げ句の果てには応援を呼びに行った小悪魔は戻って来ないし、呼べば何時、何処でもレミリアの世話をしていない限り現れる咲夜も姿を現さない。
「「「「ネェ、タ ノ シ イ ? 」」」」
「ぐ、くぅ!?」
宙を舞う魔術書が一つずつ力を失い、また破壊され、落ちて行く。
それはパチュリー自身にもフィードバックを起こし、
火の焼ける様な痛み、
水の留まる様な痛み、
木の体内で何かが成長するかの様な痛み、
金の鋭い痛み、
土の重量ある痛みが、
それぞれ、彼女の全身を蝕む。
呪文もさっきから途切れ途切れとなり、まともに発動している呪文だけでは防御が追いつかなくなって来ている。
「(そろそろ死ぬかもしれないわね。・・・親友の妹に殺されるなんて昔の私が知ったら鼻で笑うかしら?)」
パチュリーは諦め気味に薄い笑みを浮かべ、昔の自分を懐かしむ。
「アハハハハ!パチュリー、死ンデ?」
「パチュリーガ死ネバ外ニ出ラレル!」
「モウ閉ジコメラレナイ!」
「ワタシハ・・・
ジ ユ ウ ニ ナ ル ! 」
特大の弾幕がパチュリーに向けて放たれる。
パチュリーは死力を尽くし防ごうとするが、打ち消す為に打った魔法は他の三人のフランによって掻き消される。
何より、そろそろ魔力が切れる。
パチュリーの目に、走馬灯が浮かぶ。
パチュリーはそれを何処か、他人事の様に眺めていた。
「操りの力よ、俺の意思に従え。」
しかしそこに、不思議な程に響く声。
狙いを外し、逸れる弾幕。
後方で着弾した弾幕は轟音を立てる。
「た、助かっ、たの?」
「不覚だ。眠気を抑え込む程度の事も出来無いとは、俺も此処の環境に慣れきって居ない様だな・・・パチュリー!もう一度助太刀する!おい絶!いつまで死んでいる!」
どうやら政亜が目を覚ましたらしい。
そして黒いカケラが、絶の破壊された腕のカケラがカタカタと動き始める。
やがてカケラは集まり、絶がまるで立体パズルの様に組み立てられる。
そして、目を開き、動き始めた絶の腕から、墓場から死者が這い出すかの如く藁人形が這って現れ、苦しんだ後、爆散した。
絶はキメ顔でこう言った。
「身代わリ人形ト言う奴ダな。」
そしてトドメを邪魔されたフランは不貞腐れ、凄まじい猛攻を再開する。
一人は絶に肉迫、拳を絶の鳩尾に叩き込み、
一人は弾幕を無差別にばら撒く。
一人は最後の魔道書を消し飛ばし、
一人はスペルカードを取り出す。
「禁弾「過去を刻む時計」!」
青い二つの十字型の弾幕は政亜に向かい、赤い細かい弾幕はパチュリーに向け、放たれる。
「眠気は抑えたが、戦況はジリ貧だな。」
政亜の攻撃は力不足、全く効いて居ない。
かと言って、パチュリーは魔力切れ寸前。
火力を期待出来よう筈も無い。
そうなると頼れるのは絶だが―――
「ケ、止メだ止め!飽キた。代償ハ我ガ行動、望ムハ彼ノ者ノ拘束!」
絶がそう言うと同時に、鎖が現れ、フラン四人の内一人を縛る。
同時に絶も縛られた。
「おい絶!チッ、もう戦う気が無い様だ。」
「冗談じゃないわよ!もう一度戦わせなさい!」
舌打ちと共に絶の戦線離脱を告げる政亜に、パチュリーは血相を変えて怒鳴る。
「・・・あの悪魔を完全に縛れると思うか?パチュリー。奴は俺に、契約では無く自分の意思で従っている。無理強いする事は奴をも敵に回す事になりかねない。一人縛ってくれただけでも御の字、と言った所だ。」
「・・・・・」
パチュリーは言葉も無い。
政亜は肩を竦め、フランに向き直る。
「モウオハナシハ」「オワッタカナ?」「ジャアイクヨ!」
「ハナセ!シネ!オワレ!クタバレ!」
三人が政亜とパチュリーにかかり、一人は鎖の中で藻掻く。
「随分と口汚イ事だナ。」
「ウルサイウルサイウルサイ!シネシネシネシネシネ!ハナセハナセハナセハナセハナセハナセハナセハナセ!」
「煩イのハお前ダ。」
二人の声をBGMに、圧倒的に火力が足りない政亜と魔力切れ寸前のパチュリーは再びフランと激突した。




