抱エル狂気ハ猛威ヲ振ルウ
間を置いて本日4投目
ヤッタァ☆
さて、博麗の巫女と、紅き館の主の決着より、少々時は遡る。
数刻前ぐらいだろうか。
地の底で二人の声が反響する。
フランと正人が駒がそこら辺に転がっていたチェスを指しながら、語り合う声だ。
「ねえ、どこから来たの?」
「とおい所から、かな。はい、フランのばん。」
「うん、わたしは、こう。」
「う、これはつらい。うーん・・・。」
案外鋭いフランの一手に、正人は唸る。
「・・・・・ふふっ。」
「どうしたの?」
「楽しいな、って。お友だちはまさとが初めてだから。」
そこで正人は、フランの様子が可笑しい事に気付いた。
「ネぇ、あなたハ私と遊んでて、楽しい?」
「うん、楽しいよ?」
「本当、ニ?でモ私ハ、モっと楽しイ事がしたイな。」
「・・・たとえば?」
「弾幕ゴッコトカ、ドウ?」
フランのその言葉と同時に、無数の弾幕が正人を襲う。
しかし、紙一重で正人は躱して行く。
ただしそれは取って付けた様な動きだ。
「(だめだ。せいしんがやられてる。にーさんなら何とかできるかな・・・。)」
正人ははそう考えつつ、少しずつフランを入り口へと誘き寄せる様に誘導する。
「アハ!アハハハハ!?楽シイ?デモネ、コウヤルトミンナ私カラ逃ゲルンダ。デモアナタハドウカナ!?」
笑みを浮かべながら正人を襲うフラン。
滅多矢鱈に弾幕が打たれている。
「(・・・フランを助けるためにはにいさんの力をかりるしか無い・・・ここはてったいだ!)」
結論から言おう。
正人のとった行動は最適解ではあるが、同時に最もとってはいけない行動だった。
「ヘェ、アナタモワタシカラ逃ゲルンダ。許セナイ。ユルセナイユルセナイユルサナイ!!」
フランの狂気は増し、呪詛の言葉と共にとても弾幕とは言い難い威力の妖力弾をそこらにばら撒く。
正人は自分の失敗を悟るが、今更フォローは不可能だ、との考えに至り、政亜の下へとひた走る。
「ネェ、何デ逃ゲルノ?ネェナンデナンデナンデナンデェ!!?」
そこで正人が振り返ればフランの目に浮かぶ涙に気付いたかも知れない。
しかし彼は―――
「うわ!?」
爆発の余波で吹き飛ぶ正人。
更に追撃が迫る。
―――如何せん実力が足りないのである。
吹き飛んだ先は階段。
正人は段を二、三段転げ落ち、追撃の、豪速により歪んだ弾幕を回避する。
歪んだ弾幕は階段に着弾、大穴を開けた。
「貴方、ヤッパリ。」
フランの様子が少し可笑しくなり、すぅ、と右手を正人に向ける。
「く、にーさーん!!」
正人はそれに嫌な予感を覚える。
切羽詰まり、兄を大声で呼ぶも、ここは地下深くである。政亜に聞こえはしない。
そして。
「 要 ラ ナ イ 」
少し正気を保っているのだろうか、少女は言葉とは裏腹に、泣きそうな顔で、目を瞑る。
しかし少女は確かに、伸ばした右手を、握り込んだ。
グシャ、と嫌な音が響く。
見れば正人がさっきまで立っていた所には、血痕と、少しばかりの破れた衣服が散っている。
フランは暫しそれを泣きそうな顔で眺めていたが、直ぐに興味を無くし、地上へと続く階段を見やった。




