化け猫集会
此処は迷ひ家。
道に迷った時折人間が時折迷い込み、その場合には何か一つ、物を持ち帰らせる場所。
八雲 藍が式神たる―――未だ未熟故八雲姓は名乗らせて貰えないが―――橙の仕事場であり、修練場であり・・・化け猫達の集会場でも、ある。
化け猫達は人間なぞよりもずっと互いに思い遣りがあり(恋や縄張りについての争いを除く)、老いた化け猫が死ねば皆で悲しみ、新入りが入れば皆で騒ぐ。
何が言いたいかと言うと―――
「お前が新入りかニャ!出身は何処ニャ?」
「分からない。」
「そうかそうか!そうするとお前さん飼われとったな!?然らば教えてやろう、此処ではな、自分の獲物は自分で獲らんとならんのよ!まぁ橙様の様に仕える主人が居れば別だがな!ガッハッハッハ!!」
「うるさいぃ。つぅかさぁ帰って良い?」
「しんいりしゃん橙しゃまみたい!」
「きっと私達より力があるのよ。」
迷ひ家にて、二足歩行する猫達が新入りを歓迎して酒盛りをしていた。
まぁそうは言っても囲まれている新入りは人間の14歳に近い見た目でやる気のなさそうな半眼―――いや、ジト目と言った方が分かりやすいか―――であり、黒と灰二色の毛並みの猫耳を頭の上に付けていた。
尚、服は助八と呼ばれた化け猫が咥えて来た肌着と『藍様』とやらの導師服を借りている。
「仕える主人は居るが?」
そう言って首を傾げる新入り。
「あー、だからな、そのご主人様は此処の外だろ?此処から外に帰るのはほぼ不可能だろうよ。」
「そうなのか?我が主人・・・。」
「そ、そんニャに悲しそうにするニャ!?帰れる方法が無い訳じゃ無いんだからニャ!」
と、そこに少女、いや、幼女の声がする。
「みんなー、また新しい人来てるのー?」
「へぇ、橙様、此方でさぁ!」
慌てて新入りの近くに居た老猫が新入りに耳打ちをする。
「橙様はな、妖怪の賢者様の式神の式神をやっておられる故、失礼の無い様にな。ふむ?待て、もしやお主、猫又か?尻尾が、ひぃ、ふぅ、みぃ、よぉ、いつ・・・!?」
驚愕する老猫を余所に、橙と言う少女と新入りの少年、いや青年?が挨拶を交わす。
「こんにちは!わたしは橙です!よろしくお願いします!」
「・・・・・千だ。宜しく。」
「えっと・・・どうすればいいか藍しゃまに聞いてきます!」
そう言って橙と言う少女は何処かへと消えた。
残された千は途方に暮れ、暫く佇んでいたが、ふとこう言った。
「・・・しかし不味いな。妖力が・・・。」




